
第197号(2022年11月7日) 急接近するロシアと北朝鮮
【今週のニュース】ウクライナ侵略への決断をめぐる裏舞台 ほか
チェコの戦車を米蘭が改修の上ウクライナへ供給
2022年11月5日、チェコが保有する戦車をウクライナに供給するための米国とオランダの協力枠組みが公表された。旧ソ連製のT-72B戦車90両を改修するための費用を米国とオランダで半分ずつ(つまり45両分ずつ)負担し、ウクライナ軍へ供与するという。詳しい改修内容は明らかにされていないが、『ポリティコ』は、これが光学機器、通信装置、装甲に関するものであるという米当局者の発言を伝えている。
このほか、改修型のホーク地対空ミサイル、M1117装甲車250両、河川舟艇40隻、フェニックス・ゴースト無人航空機(UAV)1100機が米国からの新たな援助パッケージには含まれる。
ウクライナ侵略への決断をめぐる裏舞台
英『タイムズ』は、ロシアのウクライナ侵略をめぐる決断に関するスクープ報道を掲載した。これによると、ロシア政府内ではウクライナをロシアに従属させるためにさまざまな案が検討されたが、2021年夏にはパトルシェフ国家安保会議書記とボルトニコフFSB長官の間で「直接信仰しかない」という合意が生まれ、両名がプーチンを説得したという。
他方、ラヴロフ外相は政権内の空気が戦争へと傾いていることを認識してはいたものの、外交交渉による解決に向けた希望を最後まで持っており、開戦直前までその事実を知らされていなかった。
この報道がどこまで真実に近いのかは明らかでないが、2014年のウクライナ侵攻が同じメンバーで決定されたと言われていることを考えると、説得力がないではない。また、仮にこのストーリーを信じるならば、プーチンさえ排除できればこの戦争は停まる、という観測は望み薄ということになろう。
ツィルコン極超音速ミサイルの地上発射バージョンを開発へ
ロシア軍に近い筋の情報としてTASS通信が報じたところによると、ロシアではツィルコン極超音速ミサイルの地上発射バージョンが開発されている。発射機(TEL)はバスチョン地対艦ミサイルのそれに似たもので、4軸のプラットフォームに各2発が搭載されるという。また、ツィルコンは本来の対艦攻撃モードだけでなく対地攻撃モードを持つとされるので、中距離核戦力(INF)全廃条約が破棄されて以降、ロシアが度々配備を予告してきた地上発射型中距離ミサイルとしての性格も併せ持つことになろう。
【インサイト】急接近するロシアと北朝鮮
ここから先は
¥ 300
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?