第283号(2024年10月28日) 北朝鮮軍、ウクライナへ
【インサイト】北朝鮮軍、ウクライナへ 予想される露朝の狙いと戦争の今後
ロシア国内に現れた北朝鮮兵たち
なんだか三十年くらい前の仮想戦記でも書いているような気分ですが、こういうことを大真面目に記すことになってしまいました。
前号でも簡単に触れたように、10月半ば以降、北朝鮮軍がウクライナでの戦争に参戦するため、ロシア領内に入ったのではないかという報道が相次ぐようになりました。ウクライナ・韓国の政府も「北朝鮮軍がロシアに入った」と述べています。
この間、現地からは映像証拠とされるものが次々と出てきました。いずれも朝鮮語を喋るアジア系兵士たちの集団がロシア軍の軍服を着て、駐屯地らしき場所で何かしている、というものです。
このうちの最後の映像(実はこれが最初に出てきている)は特に興味深いものです。駐屯地の営庭らしき場所を走る北朝鮮兵士たちの手間にあるフェンスの扉に、ロシア軍東部軍管区のシンボルマークが描かれているからです。手前に写っているロシア軍将校の肩章にも同じ東部軍管区マークが入っており、北朝鮮兵士がロシア極東の駐屯地に入っていることはどうやら確実そうに見えます。
当初、米国だけは北朝鮮軍のロシア入りに関して「確認できない」という態度を示していたのですが、23日にはオースティン国防長官が「北朝鮮兵がロシアに行ったという証拠がある、しかし参戦するかどうかはまだ不明」という声明を出しました。たしかに参戦するかどうかはまだ明らかでないですが、世界最強のインテリジェンス能力を持つ米国からも北朝鮮軍派遣が確認された、というのがここでは重要なところです。
露朝の匂わせ発言
さらに先週末になると、ロシアと北朝鮮自身も派遣の事実を匂わせるようなことを言い始めました。まず北朝鮮側から見ていくと、ロシアへの部隊派遣は「国際法に合致する」と同国外務省が10月25日に表明したことが目につきます。同時に、「外務省は国防省がやることには関与していない」とも述べていて、あくまでも一般ですけどね、というエクスキューズの余地も残しているように見える。外交官というのはどこの国もタヌキだな、というと外交関係者に怒られるでしょうか。
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