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第213号(2023年3月13日)ウクライナ軍が反攻戦力を編成中?

【今週のニュース】ラインメタルがウクライナに工場設立?

対ウクライナ軍事援助に関する米国内世論の微妙な変化

 3月1日付『ニューヨーク・タイムズ』によると、最近の世論調査ではウクライナへの軍事支援を支持すると答えた人の割合は半数を切り、ウクライナに金を出しすぎたと考える人の割合は1年前の7%から26%へとほぼ4倍になった。
 対ウクライナ軍事支援というトピック自体が米国世論の中でどの程度の重みを持っているのかがわからないと以上の結果はなんとも解釈し難いが、いわゆる「ウクライナ疲れ」という現象がじわっと広がっていることはたしかであるように思われる。

 ちなみに孤立主義的主張を掲げることが多いシンクタンク「責任ある国家政策」は最近、「ゼレンシキーが欲しがるものをみんな与えるのをバイデンは拒否すべきだ」とのコメンタリーを発表している。


ラインメタルがウクライナに工場設立?

 ドイツの軍需産業大手ラインメタルのパッパーガー最高経営責任者(CEO)は、ウクライナに戦車製造拠点を開設したいとの意向を明らかにした。2億ユーロかけて年産400両を製造できるというもので、決定は2ヶ月以内に下されると述べている。

 ドイツが戦車の供与さえ渋ってきたことを考えると俄には信じ難い話だが、CEOが公式に表明しているからには全くのヨタということでもないのだろう。しかもパッパーガーによると交渉はすでに始まっているとのことだから、ウクライナ政府も(そしておそらくはドイツ政府)も公認のプロジェクトである可能性が高い。
 これほど突飛な話が出てくる背景には、前述した戦車供与問題があるのかもしれない。今回、戦車供与を頑なに渋ったドイツの姿勢は武器輸出国としての信頼性を大きく傷つけ、隣国ポーランドは韓国製戦車の大量導入と将来型戦車の共同生産を決定している。こうした中での巻き返しの一手、ということに見えるのだが、それにしても本当に実現できるのかどうかを含めて今後が注視されよう。

【インサイト】バフムト攻防戦とウクライナ軍の戦力再編

依然厳しいバフムトの状況

 ウクライナ東部の都市バフムトをめぐって、激しい攻防戦が続いています。同市に対しては昨年からロシアの民間軍事会社ワグネルが中心となって攻勢が行われてきましたが、最近ではここに空挺部隊が加わったことなどもあり、2月以降は市の南北が徐々にロシア側に制圧されつつあります。この結果、ウクライナ軍の兵站線は圧迫され、3月に入るとバフムト市の中心部から東側もロシアに制圧されたと見られています。
 

  ただ、バフムトへの攻勢が強まった2月頃にはもう長くは保たないかもしれない、という観測が持ち上がっていたことを考えると、同市は予想外に長くロシア軍の攻勢に対して持ち堪えていると見ることもできるでしょう。ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は、バフムト攻防戦の目的として、

・自軍の戦力を再編する時間を稼ぐ
・ロシア軍に損害を強要する

の二点を挙げ、したがって現在の状況は「1000%成功だ」と豪語しています。これはかなり負け惜しみも入っているように思うのですが、同時にそれだけでは片づけられない部分があるのもたしかでしょう。実際問題として、バフムト守備隊は相当の時間を稼ぐとともにロシア軍にかなりの出血を強いたからです。
 

ゼレンシキーとザルジニーが対立?

 バフムト攻防戦をめぐっては、ドイツの『ビルト』誌に興味深い記事が掲載されていました。バフムトの防衛方針をめぐって、大統領のゼレンシキーとウクライナ軍総司令官のザルジニーが対立しているという話です。

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