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第225号(2023年6月12日) ウクライナ、ついに反転攻勢へ/ロシア軍需産業の内幕
【今週のニュース】ロシア軍需産業の内幕に関する報道まとめ
開戦後、ロシアが軍需産業を戦時体制に切り替えて弾薬や兵器の増産を図っていることはこのメルマガでも幾度か報じてきた。ただ、プーチン大統領が最近、「近代的な兵器は十分ではないが、軍需産業に関する問題は全て解決できると信じている」と述べるなど、色々と課題が多いらしいことはロシア側も隠していない。
パーヴェル・Mの自殺未遂事件
こうした中で『ノーヴァヤ・ガゼータ・ヨーロッパ(NGE)』に興味深い記事が掲載された。現在、ロシアで戦車の新規生産を行っている唯一の工場であるウラル車両工場(UVZ)の職員が給料の低さに抗議して自殺未遂を企てたというもの。NGEによると、パーヴェル・Mというこの職員は民間用鉄道車両を製造する部門で勤務していたが、それまで10-11万ルーブルあった給料が突然1万1000ルーブルに引き下げられたことを経営陣に抗議したが、「嫌なら辞めろ」と言われたのでナイフで喉を突いたという。
記事を読むと、パーヴェルは出来高制で給料をもらう契約で働いていたのだが、労働組合に参加して会社に楯突いたので慣れない職場に移されたりして「干され」ていたようである。反抗的でない従業員の給料は減らされていなかったという別の従業員の証言も掲載されているが、従順なら従順なりに安全装具なしで三交代の勤務を強いられていたといい、その中でパーヴェルらは敢えて安全規則を完全に守る「順法闘争」的なプロテストを行なっていたようだ。
ロシアの戦車生産能力
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