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第39号(2019年5月31日) ロシア太平洋艦隊創設288周年(その2)


存在感を増す「軍事大国ロシア」を軍事アナリスト小泉悠とともに読み解くメールマガジンをお届けします。

【インサイト】 太平洋艦隊創設288周年-2

 5月21日のロシア太平洋艦隊(TOF)創設288周年に関して、前回はアヴァキャンツ司令官へのインタビューを紹介しました。
 今回は続編として、その下のレベルの司令官たちへのインタビューを紹介したいと思います。まずは沿海小艦隊と並んで太平洋艦隊を構成する北東部隊集団(カムチャッカ半島駐留部隊)司令官のインタビューから。

●太平洋艦隊北東部隊集団司令官アレクサンドル・ユルダシェフ中将へのインタビュー『赤い星』2019年5月22日
<冬季訓練期間を振り返って>
・最近の訓練の重点は無人機対策、各種航空攻撃対策、カムチャッカ沿岸を防衛するための機動防御グループの活動に置かれている
・北東部隊集団隷下にはバスチョン地対艦ミサイルが配備されており、最近そこにバールが加わったことは秘密ではない。これらのミサイルは対艦攻撃だけでなく強化火力陣地に対しても使用することができる
・訓練期間中、ブルガーコフ国防次官を長とする物資装備補給システム監督委員会が組織され、域内全域を検閲して回った
・今日、どのような戦闘準備も型にはまらない形でやらなければダメだ。世の中の進歩は早く、待ってくれない
<装備更新について>
・最近、近代化改修型のMiG-31BSM戦闘機2機が配備された(訳注:前回紹介したアヴァキャンツTOF司令官の発言で「MiG-31BM」とされていたもの)。年内にあと2機配備される。さらにKa-29強襲ヘリも2機配備された
・独立沿岸ロケット砲兵旅団(訳注;第520独立沿岸ロケット砲兵旅団)にバールおよびバスチョン沿岸ロケットコンプレクスが計2個大隊配備され、現在はこの地域におけるバールの運用方法について研究中である
・水域保護旅団(訳注:第114独立水域保護艦艇旅団)の小型ロケット艦スメルチ(1234型)の修理および近代化が完了した。武装が換装されただけでなく、バールとシステム上で連接して情報や運用データを交換し、同時攻撃を行うことが可能となった。その他の小型ロケット艦も同様の仕様に改修する
・2隻の小型対潜艦も修理の上、新型ソナーを装備して艦隊に復帰した。さらに水域保護旅団には今後、20385型コルベット「グレミャーシチー」が配備される。この他には対破壊工作艇と襲撃用高速艇が配備され、新たな掃海艇のために乗員が編成される
・海軍歩兵旅団には今年、電子戦部隊が編成される
・以上の沿岸ロケット部隊と水域保護旅団は訓練期間中における最優秀部隊であった

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