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イコモチさん「秘密の林檎」を見る

イラストレーター・イコモチさんの作品「秘密の林檎」をじっくりと見ていきたい。

「秘密の林檎」全体

この作品は、透明のりんごを両手で持った少女のイラストである。
少女がイコモチさんらしい柔らかくきれいなことは言うまでもない。
今回着目したいのは題名にもなっている、透明の林檎である。

「秘密の林檎」部分

ガラスかなにか、透明の素材でできた林檎の中に、ピンク色の半透明の液体が揺れている。
透明の素材も、透明の液体も描くのがむずかしいのに、それが透けたところも描き分けているのがすごい。林檎だけを透かして見える部分(顔など)は少しぼやけながらもおおむね見えているが、ピンク色の液体の向こう(左手など)は透かして見ることができない。

光源が右上にあるため、両手に液体のピンク色を通した光が両手に射しているのも細かい。
一方、林檎を通した光は虹色に分光して、右上腕部に落ちている。

「秘密の林檎」部分

この林檎については、題名になっていることを考えると重要なモティーフであるし、イコモチさん自身がリプツリーで「心情描写のイラスト」と描いてあるので、少女のこころそのものであろうという推測ができる。液体の中にハートが浮かんでいることもそれを補強する。

この林檎の表面や右手に透明の雫が付着しているのが気になるが、これが何かは、また、何を示しているかは判然としない。
しかし、だからこそ「秘密」なのかもしれない。

 ◆

ところで、Twitterにアップされた画像ではよく見えないが、個展で展示された同作品を見ると、うっすらと鼠径部が確認できる。

個展で展示された「秘密の林檎」(撮影は筆者による)
上の写真を拡大したもの

この鼠径部へのこだわりを見ることができて、個展にお邪魔した甲斐があったと思う。



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