第二十二回『ふくせんのかいしゅう』
この話では、一話で前振りしていたものがようやく回収されます。
それを含めて解説をば。
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千歳白雪の不死身さ
これの仕組みに関しては、本編でそのうち明かそうと思いますが、万象の施術によるものとも、死人兵を操る 六道丸の能力とも無関係です。
彼女の一族に備わっている能力です。
千歳白雪は刀を手に一人さすらっていたところを、万象にスカウトされた存在です。
一族が彼女しか残っていないことからもわかる通り、真の意味での不死身とは異なります。
「渇き」と能力に関係があるようなので、もし五子が井戸に飛び込んでいたら、その命はなかったでしょう。
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踏鞴鍛鉄
刀を地面との摩擦で赤熱させ、相手を焼き切る技です。
足踏み式のふいごを使って製鉄するやり方を、たたら製鉄と言いますが、それをイメージして名付けられた技になります。
本来は、鎧ごと焼き切るために編み出した技であり、不死身対策に応用しているようです。
実は、シナリオ執筆時、千歳白雪の不死身の突破法を決めずに書き始めたため、それをどう破ったものかと考えて、「そうだ、焼き切ればいいんだ」と一郎左と同じタイミングで思いついたものだったりします。
少年時代に読んだ、『SD頑駄無 武者〇伝』の主人公・武者丸が、高速で突進しながら、地面との摩擦で刀を赤熱化させる「道頓堀断裂灼熱斬」が、あまりにカッコ良くて頭に焼き付いていたのが発想の源かもしれません。
ちなみに、ほとんどの敵は、倒し方を考えずに書き始めています。
ガチガチに決めるよりは、作者すら知らないので先が読めないし、臨場感も出ていいのではないかと考えているためです。
四剣豪はみんな出鱈目なので、どうにかしてくれると信じて書いてます。
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謎の女
ラストに突如現れた謎の女。
そう、第一話で四剣豪に「誰が一番強いのか」を尋ねたあの女性です。
四剣豪の死因であり、つまり、第一話の裏で手を引いていた人物になりますね。
その正体はまだ秘密ですが、どうも口調は江戸時代や戦国時代のものより更に古風に聞こえますね。
はてさて……。
それはさておき、第一話の時点で、既に役割を決めていたキャラクターですので、キャラクターデザインもただの町娘とは変えてもらっています。
ところで、「どっちが強いのか」と聞いて相打ちになるというのは、少年漫画の王道ですね。
本作は「ありがちな台詞」や「ありがちなシチュエーション」は可能な限り排するよう心がけていますが、これはそういうのとも違う、燃える王道だと思っています。
さて、次回、第二十三話ブログは7月17日(水)、『しごにんの侍』第二十三話はその前週、7月10日(水)に公開予定です。
といったところで、今回ここまで。また次回のおたのしみ。