第三十一回『ひみつのばらし』
今回は細かい話から、当初の予定を変更した設定開示など、つらつらと。
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蘆屋豊万
初登場時に解説していなかったので、ここで触れますが、蘆屋豊万には名前の元ネタが存在します。
もちろん、陰陽師の蘆屋道満ですね。
道満は夢枕獏先生の『陰陽師』などでも登場しますし、陰陽師ものや伝奇ものが好きな方にはおなじみですね。
ネタバレに繋がりかねないことなので、構想時の目論見ではサラッと流しておこうかと思ったのですが、道満が『Fate/Grand Order』で大人気キャラになるなど、数年前よりずっと知名度が上がったように感じるため、今となってはバレバレかと思い、ここで触れることにしました。
こういった「企画タイミングや執筆タイミング」と「世に出るタイミング」の違いによって、当初の想定が外れることは、ままあります。
創作の妙ですね。
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対岸の城
作中では「対岸の城」となっているこのお城、名前は何かと言いますと……特に設定していません。
安槌城と違いモデルがあるわけでもなく、名前を付ける意味がないからです。
個人的には、なんでもかんでも裏設定があればよいとは思ってはいません。
そもそも、裏設定とは何でしょう?
物語の展開やキャラの行動の理由となるものだったり、作中での描写に矛盾を来さないために用意したりするものだと思います。
いうなれば、魅力的な物語やキャラを作るための隠しレシピです。
裏設定それ自体が商品価値を持つという考え方もありますが、だからと言って、そのために裏設定を作っていくのでは本末転倒だと思っています。
そのため、本作ではやたら細かい設定がある一方、こういった場所では何も設定していなかったりします。
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両断
一郎左による門の両断跡ですね。
脚本上では単にかんぬきが両断されていただけだったため、原稿が上がってきて新鮮に驚きました。
かんぬきを斬っただけよりも、ずっと派手で一郎左のヤバさが伝わりますね。
今回に限らず、自分の「画」を想像する力では思い浮かばないものが毎回現れるので、原作冥利に尽きます。
藤田先生の画が凄すぎるので、自分ももっと頑張らねばと毎回感じます。
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連呼
「弱し」の連呼でも良かったし、そっちの方が温度感はあると思うのですが、あえて「弱い」にしています。
オードリー春日さんの「うまし」を思い出したのが大きいです。
自分の中だけでギャグみたいに思ってノイズになっちゃったのですね。
「ひ弱し」、「か弱し」ならそれもないかと思うので、そちらは語尾を「し」にしています。
ちなみに戦っている相手は、武蔵四郎が前に戦っていたのと同じ死人兵です。
生きた人間はだいたい蛇に取り込まれているため、雑兵はみな死体なのです。
さて、次回、第三十二話ブログは2月5日(水)、『しごにんの侍』第三十二話はその前週、1月29日(水)に公開予定です。
また、『しごにんの侍』電子単行本第5巻が1月29日に発売されます。
なにとぞ!
といったところで、今回ここまで。また次回のおたのしみ。