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第十一話「ひょうげんのさすらい」
情報源
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五子の情報源こそ、この十庵という男。
つまり、以前に五子に 伝書鳩を飛ばしていたのは彼です。
四肢を奪われた五子を救い、からくりの四肢を与え、奪われた四肢を持つ 四剣豪らの位置を教えた男。あまりにも知りすぎていますが……?
彼の言葉は本心か、それとも真意は別にあるのか。
それはこれから明かされていくでしょう。
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地獄の村
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なぜ石谷なのか。なぜ「こくだに」と読むのか。
ここは十庵が言う通り地獄。
一昔前の特撮で地獄と言えば、作品を問わず必ず出てくる「地獄谷」。
そこからとって石谷村です。
また、作中イメージを鑑み、現実の村名とかぶらないための読みでもあります。
※いしがいむら、いしだにむらなどの読み方は実在するようです。
石は昔の単位なので、数つながりにもなるかなとも思わなくも?
それでいうと、「安槌」も直接的な数字ではなく、「安い」という数字に関連する概念のポジションですね。
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裏設定の話
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今回は非常に刺激的なビジュアルが現れます。
これはゲーム会社が漫画作品を出すこととも関連します。
ゲームに対する日本のレーティングは欠損表現に厳しいことで知られます。
ゲーム会社が漫画を出すのならば、ゲームで出来ることではなく、漫画でしかできない表現に挑戦することも大事なのではないか、という意味もあって、かなり踏み込んでいます。
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お墓の話
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大昔、一般の日本人は、お墓らしいお墓を建ててはいませんでした。
位の高い人は石塔を作っていましたが、一般的ではなかったようです。
画像のようなお墓は本来、江戸中期ごろから現れます。
ではなぜこの村では墓石があるかというと、単に村の風習と思われます。
貴種流離譚などがあって、位の高い人の子孫であるという信仰が、墓石を建てる形で現れたのでしょう。
墓石によって死体の場所・由緒が明確であることから、万象に目をつけられたのかもしれません。
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松尾万象
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四剣豪や五子を接いだ男・松尾万象。
名前の元ネタはもちろん松尾芭蕉ですね。
芭蕉は歴史的仮名遣いで表記すると「はせを」。
ですが、ハセヲとは全くの無関係です。
逆に、万象ありきの名前と言えます。
キャラ的には杉田玄白や前野良沢をもじったほうがいいのかもしれませんが、万象という音の、大物感を優先しています。
彼の登場によって、物語は次のフェーズに進みます。
さて、次回、第十二話ブログは12月13日(水)、『しごにんの侍』第十二話はその前週、12月6日(水)に公開予定です。
なんと! 単行本第2巻も12月6日(水)に発売されます!
というわけで、今回ここまで。また次回のお楽しみ。