財務省への「物納」の土地(と建物)を借りるには
「所有者 財務省」
前回は不動産屋さんを回って推定空き家の所有者や管理状況について聞いたりしてきた。暫定的な結論としては推定空き家の所有者へ直接訪ねたり、手紙を投函するなどの直接的なアプローチが非効率なようで現時点の社会制度やサービス状況では相対的に有効、と導いた。私が取得した推定空き家の土地または建物の全部事項証明書を見ると権利者はほとんど個人であったが一件だけ「所有者 財務省」とあった。「原因 平成13年○月○○日物納」とある。
「物納」って?
所有者が財務省ならば少なくとも連絡はすぐ取れると思い、まずは「物納」とは何か調べた。財務省のウェブサイトによると、相続税絡みであること、「普通財産」として取り扱われていることがわかった。
「普通財産」って?
次に「普通財産」という言葉も正確に把握しておきたい。行政財産以外の国有財産であること、つまり使途や目的があまり決まっていないため一般市民へ売却や貸付のチャンスがある国有財産であることがわかる。
東京財務事務所へ問い合わせ(照会し)てみた
もう聞いてみようと思い、東京財務事務所へ電話してみた。「○○○市の○○○1丁目の地番○○○○番○○の土地の管理の状況を知りたいんですが」と問い合わせたところ非常に丁寧に回答してくださった。現状では貸付状態であること、その賃貸借契約は3年に1度更新されること、借地人に関する情報はプライバシー保護のため教えられないということ、などの情報を得た。
なぜ推定空き家の土地を借り続けるのか
財務省との土地の賃貸借契約を3年に1度更新しているということは、少なくとも最近3年の間に契約更新の意思を示して具体的に契約行為を行なっているということになる。この土地の上に建つ木造2階建ては私の主観だが築4、50年は経ってそうであり、蔦が家屋全体を覆い玄関ドアには水道管漏水のため給水停止を知らせる張り紙が貼られているなど、生活感を感じない。唯一、郵便ポストは綺麗なので、定期的に誰かが郵便物の仕分けをしていることは予想される。
土地の賃貸借契約のルールから言うと、契約終了する場合は土地の上に乗っかっている建物を解体して更地にして所有者である財務省へ土地を返すという手続きとなる。そうなれば財務省はこの土地の売却や貸付を行う事になるだろうが、一般競争入札しかり様々な条件があるため、そう簡単に買ったり借りたりすることはできないことは容易に想像がつく。(Q7 国有地(普通財産)は、誰でも買えるのですか?)
土地の元々の所有者が亡くなって子どもに相続するときに、相続税が高くて払えなくなったため土地を物納したということだと思うが、土地を借りているのは一体誰なのか。上にある推定空き家を使わずに、土地の賃貸借契約を結んで財務省に賃料(安いのかどうかはわからない)を払い続けているのはなぜなのか。
結局は借地人との直接接触しかないか
このような状況なので財務省の土地を借りている借地人と何らかの方法で接触して借地権を買うという方法くらいしか、推定空き家を使う方法は思いつかない。郵便ポストが綺麗ということは郵便物は把握しているということであり、アナログだがお手紙を投函するということしかないのだろう。
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