人前で字が書けない困りごとへの認知行動療法:認知行動療法カウンセリングセンター広島店
認知行動療法カウンセリングセンター広島店の岡村です。今回は「人前で字が書けない」という困りごとの対処法についてまとめてみたいと思います。今回扱う「人前で字が書けない」という困りごとですが、社交不安症状として字を書くことができないという場合に限定しておりますので予めご了承ください。
人前で字を書くということ
実は私も以前は人前で字を書くことにかなりの負担を感じていました。書いている様子をどのように受け止められるかが不安でしたし、何より字を書くのがうまくなかったためマイナス評価を受けてしまうのではないかと極度に不安を感じていました。銀行などで手続きをする際、銀行員さんの目の前で書類を書く必要がある際には、全身から嫌な汗が出てきて手も震えてしまいます。それだけでなく漢字を間違えてしまったらどうしようなどの考えまで出現し苦痛で仕方ありませんでした。なので、なるべく自分で書かなくてすむように誰かに代筆を頼んだり、人に見られない場所に移動して文字を書いていました。日常生活のさまざまな場面で支障をきたしており自分の中で大きな悩みの一つでした。
認知行動療法で改善できるか
はたして「人前で字を書けない」困りごとは認知行動療法を用いることで改善できるのでしょうか。私は自らの困りごとに対してセルフ認知行動療法を実施してみることにしました。認知行動療法ではまず最初に現状把握を行っていきます。
1.困りごとが発生する場面の特定
2.その場面において生じる考えやイメージ
3.その場面において生じる感情(不安や恐怖など)
4.その場面において生じる身体反応(発汗や手の震えなど)
5.その場面で行っている、または事前にしている対処行動(代筆や他の場所で書くようにするなど)
まずは上記点についてしっかり整理することで自分がどのような時に負担を感じるか明らかにしていきます。同じ困りごとに見えても十人十色なのです。
私の場合は、人からのマイナス評価を恐れるがあまりに警戒反応として手の震えなどの身体反応が出現していると考えられました。ここでポイントとなるのが、マイナス評価は受けているかもしれませんが身体が警戒するほどの出来事は何も起きていないということです。それにも関わらず強い不安感を感じていました。この場合、身体にしっかりと「人前で字を書くことにより何らかの評価をされることがさほど危険でないこと」を理解してもらう必要があります。頭で分かっているだけではうまくいきません。例えばバンジージャンプは実際のところさほど危険ではないと頭では分かっていても恐怖は感じるものです。それは人間が危険から身を守るための大切な機能でもあるので自然なことといえます。なのでしっかりと実際に危険はないことを伝えていく必要があります。
私が実際にやったことですが、おもいきって普段より下手な字を人前で書くという場数を重ねたことです。最初は嫌で嫌でたまりませんでした。ですがこの方法できっと良くなる、そうでなければ人に認知行動療法を勧めることはできない!と腹をくくって臨みました。結果的に2カ月ほど実施し続けましたが人からの評価はさほど気にならなくなりました。しかし良いことだけではありません。字がヘタクソなことを指摘される機会は増えたのです。それでも以前に比べて聞き流せるようになりました。
認知行動療法カウンセリングセンター
認知行動療法カウンセリングセンターでは「人前で字が書けない」といった困りごとへのカウンセリングを実施しています。対面だけでなくオンラインカウンセリングも実施していますのでよければご利用ください。