夜に溶け込む感触
私は夜が好きだ。
街灯が辺りを照らす。
私は灯りに照らされないように、隠れるように陰を歩く。
夜の闇に溶け込んだような感覚が心地良い。
でも、ある日から私は夜が怖くなった。
家のすぐ目の前で痴漢に遭ったから。
それから夜の中を歩く時は必ずイヤホンは片耳だけ。
時々後ろを振り返っては、誰も尾けてきていないか確認する。
これが習慣になった。
そして、自然と外を1人で歩く時、私は攻撃的な目つきをするようになった。
お化けは怖いと誰が言ったんだろう?
お化けなんて、怖くない。
1番怖いのは、ニンゲンだ。
今日も私は自分の安全基地のベランダから、夜になった街をボーッと眺める。夜風に当たる。そして、鈴虫の音色に目を閉じて、秋を感じる。