愛煙家の主張

 2020年4月1日は私にとって、ひとつの節目となった。
 
 別に私の身の上に何が起こったわけではない。
 ただ、私の生活の中で重要な転換点になったのは間違いない。
 というか、私に限らずそう感じた人は少なからずいるはずだ。

 この日、改正健康増進法が施行された。
 これによって、何が起こったかというと、店の中で基本的にタバコを吸うことができなくなった。
 実際、この日を境に、それまで喫煙席・禁煙席と分煙をきちんとしていた店でも、一律禁煙に切り替えたところがほとんどだ。

 と、私がこう書いているので分かるとおり、私は愛煙家だ。
 大っぴらに言うもんではないが、タバコを吸っていない期間に比べて吸ってきた期間が4倍弱になるほど、タバコを吸ってきたわけだ。
 
 いろいろ言う人がいるのは知っているし、健康に悪いと外野が騒いでいるのも知っている。
 でも、残念ながら禁煙しようと本気で思ったことは一度もない。
 タバコが1箱1000円になったら考えるかも知れないが、タバコを生産しているメーカーもさるもの、今は紙の代わりにタバコ葉でタバコを巻いたフィルター付きの「葉巻」が出回っており、普通の紙巻きに比べて100円ちょっと安く買える。
 タールが出ないのと、紙巻き特有の嫌な臭いが少ないというのもウリではある。
 ということで、もっぱら今はそれを愛飲している。

 それ以外にも電子タバコの類は一通り持っているので、店によっては電子タバコがOKというところもあるので、そういう時に吸えるよう持ち歩くようになった。
 こうまでしてもタバコが吸いたいのだ。

 世の中には、ことタバコとなるとヒステリックになる人が少なからずいるのは知っている。
 やれ、副流煙がどうとか、臭いがどうとか、健康がどうとか、とにかくタバコが悪いという話を持ちだして、錦の御旗のように振りかざす。
 
 ブログにも何回か書いたことがあるが、そこまでタバコがダメというなら、大麻や覚醒剤と同じように「違法」とすればいいわけだ。
 という話をすると、途端に口をつぐむ人が多い。なぜかは知らない。
 逆に言えば、タバコのことをいくら悪く言おうが、焚書坑儒のように弾圧を加えたいと思う人がいようが、愛煙家は「合法」の行為をしているわけだ。
 違法であれば、言い訳のしようもないし、なんなら刑法に引っかかって逮捕されるまである。
 だが、禁煙を主張する人たちは「違法化」に関しては諸手を挙げて賛成することはない。

 愛煙家の立場から言わせてもらえば、そこまで禁煙で締め上げるなら、喫煙できる場所をきちんと作れ、と思っている。
 屋内はダメ、屋外もダメ、じゃあ一体どこでタバコを吸うならOKなんだ、と言いたいのだ。
 だいたい、副流煙が体に悪いのは知っている。ただ、極長期間曝露すれば健康を害する可能性は高いのは認めるが、すれ違いで副流煙を吸ったからとて、それが原因で肺がんになるとかあり得ないわけだ。
 禁煙を強く主張している人は、その辺を理解しているのか甚だ疑問を感じる。

 と、禁煙の動きについて思うところを熱くぶちまけてしまったが、2020年4月1日にこうした形で改正健康増進法が施行されたものの、嫌煙家もそれどころではなくなったようだ。
 新型コロナウイルスの大流行だ。
 外出そのものを多分に控えているのか、すっかりタバコの話は吹っ飛んでしまった。
 のみならず、禁煙に切り替えた店も軒並み休業しており、タバコどころの騒ぎではなくなってしまった。

 個人的にコロナ騒ぎはとっとと終息してほしいと心から願ってはいるが、このまま嫌煙家も黙ってほしい、と同時に思っている今日この頃である。

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