スタンダードな契約におけるルール
こんにちは。cba manです。
NBAではサラリーキャップという仕組みがあり、原則サラリーキャップを超えてはいけませんが、例外条項を用いれば超えてもよいというソフトキャップの制度が使用されています。
とは言ってもサラリーキャップを超えなければ完全に自由に契約を結べるというわけではなく、個々の選手の契約内容には制約があります。
ここではサラリーキャップを超えない範囲での契約をスタンダードな契約と定義し、今回はその制約について書いていきます。
○契約年数
1〜4年です。
例外条項を用いる場合やその他特定の状況の場合は最長5、6年であったり逆に1〜3年であったりとするのですが、
それらに関してはそれぞれの記事で説明していこうと思います。
10日間契約は例外ですが、他の契約は最低1年間結ぶ必要があります。
シーズン途中に契約を結ぶ場合も、10日間契約以外は残りのシーズン分契約することになります(rest-of-season contractと呼びます)。
シーズン途中の契約でも契約年数は1年としてカウントされます。
例えばシーズン途中に3年契約を結んだ場合はそのシーズン+2年、という形になります。
○金額
NBAでは選手と契約を結ぶ際のサラリーに上限と下限が決められています。
このマキシマムサラリー・ミニマムサラリーはスタンダードな契約に限らず全ての契約において適用されます。
①マキシマムサラリー
上限をマキシマムサラリーといい、マキシマムサラリーによる契約は俗にmaximum contract、日本語ではマックス契約と呼ばれています。最高賃金です。
マキシマムサラリーは契約を結ぶ選手のNBA経験年数毎にそれぞれサラリーキャップのn%という形で決められています。
・1〜7年目の選手 サラリーキャップの25%
・8〜10年目の選手 サラリーキャップの30%
・11年目以降の選手 サラリーキャップの35%
2017年のCBAでの各シーズンのMAXサラリーは以下の表の通りです(私が作成したので保存等ご自由にどうぞ)。
この金額の制約はあくまで契約初年度であり、複数年契約の場合は続くシーズンではサラリーキャップのこの割合より大きくなる可能性があります。
詳しくは後述の昇給率についての内容で説明します。
特定の条件を満たした選手は上記の区分が変わることがあります。俗に言うデリックローズルールやスーパーMAXですが、それについては別記事で解説します。
また、MAX契約を結ぶ際に、そのシーズンのMAXサラリーが前の契約の最終年のサラリーの105%より小さい場合、
前の契約の最終年度の105%を代わりにMAXサラリーとするというルールがあります(あまり意識することのないルールなので頭の片隅にでも)。
経験年数は、レギュラーシーズンに1日でもNBAチームに在籍した場合に1年とカウントされます。
1試合も出場しなかったとしても、です。
例えば1年目全休したベン・シモンズはルーキー扱いとして新人王を受賞しましたが、CBA的には2年目という扱いでした。少し紛らわしいですね。
②ミニマムサラリー
下限はミニマムサラリーといい、ミニマムサラリーによる契約は俗にminimum contract、日本語ではミニマム契約と呼ばれています。最低賃金です。
ミニマムサラリーもマックスサラリー同様、契約を結ぶ選手のNBA経験年数が長ければ長いほど高くなっていきます。
マキシマムサラリーはサラリーキャップのn%で区分は3つのみという分かりやすさですが、
ミニマムサラリーはキャリア1年ごとに金額そのものが決められていて、ミニマムサラリースケールと呼ばれています。
ミニマムサラリースケールは2017年に締結されたCBAでの2017-18シーズンのスケールをベースに、
サラリーキャップの増加率に合わせて変動するという仕組みになっています(例えば、前シーズンのサラリーキャップから4%増加したら、ミニマムサラリースケールもそれぞれ4%増加する)。
2020-21シーズンのミニマムサラリースケールは以下の表の通りです。
複数年契約の場合はこの表を斜めに見ます。
例えば3年目の選手と4年契約する場合は以下のようになります。
契約の年度が進むとキャリアも進むからですね。
実際には、3年目の選手がミニマムサラリーで3年以上の契約を結ぶことはほとんどないですが…
よくベテランズミニマムと聞くと思いますが、ベテランズミニマムは2年目以降の選手のミニマムサラリーを指します。
日本語としてのベテランの意味とニュアンスが異なり、紛らわしいので私はこの表現は用いません。
○昇給率・降給率
選手のサラリーはシーズンごとに昇給・降給させることができます。
この昇給・降給の最大幅は契約の内容によって異なり、スタンダードな契約の場合は最大5%となっています。
この昇給率は福利ではなく、契約初年度のサラリーのパーセンテージになっています。
例:10Mから始まる昇給率5%の4年契約を結ぶ場合
1年目:10M
2年目:10.5M
3年目:11M
4年目:11.5M
となります。
よくWojやShamsなどは総額で5年205Mのように報道しますが、あれはもちろん昇給率込の金額なので単純に÷5すると意味が違ってきてしまうということですね。
まとめ
・キャップスペースを用いた契約(=スタンダードな契約)にも制限はある
・契約年数は1〜4年
・最大額をマキシマムサラリー、最低額をミニマムサラリーと呼び、どちらもNBA経験年数によって金額が異なる。
・昇給率・降給率は最大5%
今回は以上です。お読みいただきありがとうございました。