【基礎知識】WCAG?JIS??アクセシビリティガイドラインの理解を深めよう
こんにちは、アイルランドからのリモートワークを終えてから2ヶ月経過し、落ち着き出したカイエンデザイナーの伊藤です。
アイルランドのリモート体験が気になる方はこちらの記事をご覧ください。
WEB制作会社に勤めて6年以上になりますが、アクセシビリティのガイドラインは今でも調べながら進めることが多いです。ユーザービリティ?アクセシビリティ?と色々混同しがちなところですが、今回はアクセシビリティにまとめてみようと思います。
2024年4月に障害者差別解消法の改正法により、行政機関だけでなく民間事業者でも「合理的配慮の提供」が義務化
内閣府より発表されましたね。
これを受け、今後アクセシビリティ対応が、企業のブランドイメージ向上にもつながっていくことになりそうです。
本記事では、アクセシビリティ対応の基準の決め方・見方について理解を深めていこうと思います。
WEBアクセシビリティガイドラインの本家、WCAGとは?
WCAG (正式名称:Web Content Accessibility Guidelines)
アメリカのW3C(World Wide Web Consortium)が発行するウェブコンテンツをできるだけ多くの人々、特に障害を持つ人々にとってアクセシブルに(利用しやすく)するために策定した国際基準規格ガイドラインです。
※ダブリューシーエージーもしくはウィーキャグと呼ばれます。
※W3Cとは、ホームページ関連の規約を世界基準で決めている標準化団体/非営利団体です。
過去に2度バージョンアップ
2008年12月11日:WCAG 2.0リリース ※初リリース
2018年7月5日:WCAG 2.1リリース (2023年9月21日更新)
🆕 2023年10月5日:WCAG 2.2リリース ※最新バージョンになります。
日本語対応
WCAGでは、現在日本語対応がありませが、サイトを見てみると近々日本語対応がリリースされそうです。
WCAG 2.1までは、日本のWEBアクセシビリティ基盤委員会より日本語翻訳されています。
アクセシビリティガイドラインは、国際基準のWCAGだけ見ればOKじゃない?
一見WCAGは国際基準で準じているのでこれだけ意識すれば問題ないと思われがちですが、そうとは限りません!日本国内でウェブサイトをリリースする場合は、国内規格としての信頼性と適用性が問われます。
(日本)国内規格としての信頼性と適用性に最適なJIS X 8341-3とは?
JIS X 8341-3
WCAGを元に、日本のユーザーにとってより適切で実践的なコンテキストに適用する形で制定された(日本)国内標準規格のウェブアクセシビリティガイドラインです。
※日本におけるウェブアクセシビリティの公的規格WAIC(ウェブアクセシビリティ基盤委員会-Web Accessibility Infrastructure Committee)が提供。
ただしデメリットも
JIS X 8341-3は、WCAGバージョンアップ後に翻訳されるためアップデートが遅いです。
現在は、WCAG 2.0と内容が一致するJIS X 8341-3:2016(2016年作成)が最新版です。
※WCAG2.2(WCAGの最新版)に準拠したJIS X 8341-3はまだリリースされていません。
その他、ISO/IEC 40500ってなに?
WCAGとJIS X 8341-3を調べると「ISO/IEC 40500」というのも目にすると思います。少し解説します。
ISO/IEC 40500
ISOとIECが共同で採用した、国際規格として形式的に認められた証となります。
多くの国や地域では法律や規制を定める際に、ISOやIECの規格を参照します。国はWCAGをISO/IEC 40500とすることで法的文書として引用できるようになります。
WCAGと内容は同じです。
※ちなみに40500は、ISO/IECに準従るのに識別するためのコードらしいです。
❓なぜISO/IEC40500があるの?
ISOやIECは、国際標準化機関です。それらに承認されることで、世界中の政府機関や企業に対して、より高い信頼性と認知度を持つことができます。ISO/IEC規格として認められることで、WCAGの基準が国際的に公式な「標準」として認識されるようになります。
結論、WCAG、JIS X8341-3、ISO/IEC40500の関係性はこんな感じ
結論
日本のサービスやウェブサイト制作にアクセシビリティを導入する場合は、基本的にJIS X 8341-3:2016をチェックするとよさそうです。
場合によっては、WCAGの最新版を確認しておくとなおよさそうですね。
カバー画像:Nishimori
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