「古本食堂」① 原田ひ香
10月に入りようやく30度超えの暑さがなくなりました。とにかく2023年の夏は気が遠くなる暑さでした。私なんて、お墓参りに行った墓前で、その暑さに危うく気を失いかけるところでした。この日は関東地方で80回目の真夏日を記録した日でもありましたが、午後の殺人的な暑さの前の午前中であれば、まだマシかもしれないと思ったのがいけませんでした。今年は暑かったと笑い種になりませんって!来年も多分これくらいの狂った暑さになると覚悟する必要があるでしょう。
やっと涼しくなりかけてきたところで、本を読む気力も出てきましたよ。本は山ほどある、待機中の山積みの本の山から読めばいいのに、本屋に立ち寄り買った本が「古本食堂」です。
帯をみて読んでみようと思ったわけでもなく、そのタイトルに本屋さんと食堂のはなし?(なんの捻りもない安直な発想です)なんか美味しいものでてくるのかな?(はい、おいしいもの出てきます!)本のタイトルにちなんだ美味しいごはんを出す食堂の話?もしかして、簡単にできるおいしいレシピもあったりする?(いえいえ、それはありませんでした)なんか、食べ物の話の本って、幸せな気分になりませんか?
私が手にすることが多いのは、食べ物のはなしとかおいしいものの本なのです。
作家の原田ひ香さんは「三千円の使いかた」「口福のレシピ」「一橋桐子の犯罪日記」「そのマンション、終の住処でいいですか?」でも読んでいるので、面白いのはわかっています。これは読まずにはいられなくなったわけです。
鷹島珊瑚(たかしまさんご)は両親を看取り、帯広でのんびりと暮らしていた。そんな折、東京の神田神保町で小さな古書店を営んでいた兄の滋郎が急逝。珊瑚がそのお店とビルを相続することになり、単身上京した。一方珊瑚の親戚で国文科の大学院生美希喜(みきき)は、生前滋郎の元に通っていたことから素人珊瑚の手伝いをすることに・・・・・・(ウラスジより引用)
そこに、リアリストの美希喜の母や、神保町に集まる人が絡まり、そこにおいしいものの話があったりして話が展開していきます。ただ、そうなのそうなの。。。ふむふむって、ならないのがこの話の面白いところで、最後の最後で「滋郎さん!!そうなるの?!え~~~~~っつ!」っというものがあったり、東山さん(珊瑚さんを想う男性)よくわかったわね!!という展開があったりして、珊瑚は滋郎さんの急逝で、一旦は『古書高価買取』の看板をおろしかけたのですが、再び鷹島古書店に掲げるのでした。
2024年6月には『古本食堂 新装開店』(仮)も刊行予定だそうで、鷹島古書店のその後が楽しみです。
巻末には片桐はいりさんと原田ひ香さんの対談も特別収録されており、楽しめます。
ということで、神保町は比較的近いのに素通りが多い町でした。これを機会に、本に載っているお店に行って、神保町巡りをするのもいいかなと思いました。だから「古本食堂」①なんですよ。次回から皆様をご案内させていただきます。乞うご期待!