コトバノチカラ③~3分で読めるブランドノチカラ(90)
コトバノチカラ、最終回です。「千」という言葉が持つ言霊について…
「1000人チェロ」というイベントのこと聞いたことありますか?
1000人チェロでググると、NPO国際チェロアンサンブル協会なる団体が作成した「1000人のチェロ・コンサート」という案内がトップヒットします。
曰く
案内にイベントの写真が載っています。(冒頭の写真です)
このホールにところ狭しとチェロを持って座るチェリストが1,000人、正確には1,013人…盛観としか言い得ようがない、というかもはや異様なオーラが出ています。
豊臣秀吉が1587年に北野天満宮で催した千人茶会のことを連想します。
この二つのイベントには実は共通点があります。
千人茶会は当代一流の茶人から「貴賤によらず、貧富に関わらず」町人、百姓まで参加できるとされた類稀な茶会でした。
この1000人チェロも、世界のトップクラスのプロチェリストから市井のチェロ愛好家まで幅広く参加したエブリバディカモ~ンな画期的な催しだったんですね。
このイベントを成立させるのに東奔西走・七転八倒したプロデューサーがイベントの仕掛け人との共著で舞台裏をまとめた本が出版されました。
題して「チェリスト狂想曲 1000人のチェロコンサートを作った男」。
イベントの仕掛け人は松本巧 氏、東奔西走Pは畑井貴昌氏です。
1000人チェロ、このイベントを艱難辛苦の果てにいかにして実現させたか、についての詳細がこの本には記されています。
そしてイベントの実現に向けての原動力となったアマチュア・チェリスト松本 巧 氏の、本来の顔、串揚げ屋チェーンを立ち上げ成功させた実業家の半生記が通奏低音として書き込まれています。氏のチェリストにならんとする執念と実業を成功させた行動力、そしてこれがもたらす周囲の協力者を巻き込んでいく乱気流というか竜巻のような混乱。関係者でない私にはとっては実に面白い。関係者の方々には…traumaかもしれませんが。LOL
ですが、そのことについて書くのはこのブログの本意ではありません。
エッセイの主眼は「千という言葉の持つ魔力」、つまり「千」の言霊についてなんです。
同書の中で、「1000人」という区切りになった経緯が紹介されています。
そんなアバウトな決め方があるのか、と驚く人も多いかと思いますが、あるんです。というかむしろそんなケースの方が多いです。
間違いない。自分は広告代理店で長い間七転八倒 (笑) してたので 、追い込まれてえいやっ!で決めてしまった経験は豊富なんです。具体的には…言えませんけど。
戻ります。「1000人のチェロコンサート」、やっぱり「凄くたくさんのチェリストが一堂に会して演奏する」という千の魔力がふり掛けてあったんですね。
常識を超えた大勢の茶人が一堂に会して茶をたてた秀吉主催の北野天満宮・千人茶会と通底しています。
ところで茶もチェロもソロが似合う類だと思いません?
そうしたソロが似合うものに「千」の粉をかけると人を驚かすエネルギーが放出するような気がします。
考えてみます。
ソロキャンプ→1000人キャンプ・・・大変だ。どこでやるんだ?
陸上競技のやり投げ→1000人やり投げ・・・危ないからやめて!
孤独のグルメ→1000人グルメ・・・そんなに作れない!
1000人のチェロコンサート…これは現実にあったイベントなわけですが、凄いですよ、これは。聴衆として聴いてみたかったと思います。
ですが運営者視点では…やりたくないです。マジで。
千人分のチェロの置き場所をどうするんだ、弦が切れたときの補充は? メシは? トイレの割り振りは? 各自の貴重品預かりは? そもそも音合わせの練習は? 練習の場所は?
本書を読むと運営者がどれほど苦労したかが仔細にわたって書かれていますが、その中心にいたのが先述のプロデューサーにして本の共著者の畑井貴昌 氏です。
畑井氏は脚本家、マーケター、ブランドプランナー、飲食店経営者、プロバーベキュー師(?)、俳人などそれこそ「千の顔」を持つ怪人です。まぁ実際は20くらいかな? 怪人に変わりはありませんが…LOL
氏は実は私のブランド・プランニングの盟友でもあります。
さて、この本は読みましたが、実際に本件についての話は直接聞いたことはありません。
「実は・・・」裏話は凄く聞いてみたいんですが、パンドラの箱を開けるようで怖い。
ひとつに絞って氏に聞いてみたいことがあるとするなら、なぜ1000人チェロと「1000」という算用数字表記にしたのか?ということです。
「千」という漢数字のほうが千の持つ言霊力あらたかのような気がするんです。それだと怪しげになるからしなかったのかな。笑
最後に。
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