短編小説「テレサとセーラ」第1回
喫茶店のドアを開き昔ながらのカランコロンという音を立てて入ると窓際の座席にはやはりあの女子高生2人組である。
「うぅん、セーラちゃん可愛いねぇ。放課後になっても可愛いって本当にすごいねぇ。あ!セーラちゃんこんな所にホクロがあるんだねぇ。セーラちゃんの知らない部分を知れて嬉しいよ。」
『まぁ色素死んでるだけだから。』
「そんなこと言うなよ。」
確かにセーラちゃんと呼ばれている方は美人である。
切れ長でありながらぱっちりした目元にスっと通った鼻筋、モデルのようなスラッとしたスタイル。いわゆるクールビューティー系である。
しかしそんなセーラちゃんを愛でている方もなかなかの美少女である。
『てか最近ずっと何か体調悪いんだよね。あれでもないんだけどさ。』
「ご自愛ください。って英語でなんて言うんだろ。」
『嘘でもまず心配してよ。』
「う〜ん。Give me ゴジアイ?」
『テレサちゃん、私のご自愛をあなたにあげたらご自愛とは言えなくなるんだよ?』
お目目クリクリの西洋人形のような美少女ながら、なかなかのボケをかます彼女はテレサと言うのか。
『全然話変わるんだけどさ、テレサちゃんって本は紙派?電子書籍派?』
「私本読まない。」
『おけ、話にならない。』
「え、え、待って待って!でもマンガは最近は電子書籍かな!ほら、私ってIT系だから。」
『電子書籍如きでITぶるなよ!』
「それが見えたら終わり。」
『"イット"じゃねぇんだよ。
ハーイ、ジョージィじゃねんだよ。
"Information Technology"なんだよ。』
「あれ?"Internet of Things"じゃなかったっけ?」
『それは"IoT"だよ。』
「という訳で今回は"IT"と"IoT"の違い、これからの私たちの生活との関わりについて、毒島先生にご登壇いただきます。」
『やらねぇよ!』
セーラちゃんは毒島セーラというのか。
つづく