烏
ある日の夕方カラスに襲われた。
いいことがあってぽやぽやしていたところだった。たぶん足の爪でどぎゃん。触ると血がにじんで痛い。
帰宅してお湯で患部を洗ってみる。しみはしなかった。でも痛い。
翌朝痛みはなくなったし腫れてもいないが、何しろ野生動物だ雑菌が気になる。
受診すべきか悩んで、医療保険についている健康相談ダイヤルにかけてみた。
看護師が出て証券番号を伝えたのち、本題へ。
「カラスに頭をどつかれて、受診すべきか迷っています」
「カラスですか!?」看護師さんカラスにどつかれた人の相談は初めてだったようだ。
「お調べしますね…。」
待つこと5分ほど。
念のため皮膚科で抗生物質を処方してもらうことをすすめられた。
やはりプロに相談してよかった。あとカラスに襲われるというショックを受け止めてもらえて何よりホッとする。
近くの皮膚科を調べ診てもらう。
「子育て中だったのかねえ…」先生も苦笑する。患部は赤くなっているものの化膿などしておらず、抗生物質を処方してもらい診察終了。
受付にて「カラスですか。コワいですよね」と妙に盛り上がる。昨今カラスに襲われるニュースも多く取り上げられるためか、みな他人事ではないようだ。
「黒い服を着ていたせいだと思うんですよ。明るい色を着たほうがいいです」と経験者面して語ってみた。受付のおねえさんたちもうなづく。
病院から出たときの「お大事に」は心がこもっていた気がした。