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いつまでもあると思うな

見出しの写真は本編に全く関係ありません。
中央線です。

かぁちゃんと桜を見に行く約束をした。
何年も話には出ていたが、なかなか時間が合わずに今年になってしまった。
宮城に一目千本桜と言われる場所がある。
以前、旦那さんと行って感動したので、是非かぁちゃんにもそれを見せてあげたかった。
いつもは父ちゃんも一緒だが、今回はかぁちゃんだけ。
家族で旅行に行くと、鉄道好きの父ちゃんのお陰で、鈍行列車だけで目的地まで行くので、到着はいつも夕方くらいになっていた。
なので今まであまり観光というものをしていなかったのだが、今回はゆっくり観光したいというかぁちゃんの願いを叶えてあげよう、そして父ちゃんの愚痴をいっぱい聴いてやろう、そういう旅行にする予定だった。

3/16の23時も半分過ぎた頃、福島沖で大きな地震があった。
私はいつもながらゲームをしており、フレンドさんとVCしながらニューヨークの治安を守っていた。
最初はちょっとどんっと揺れた後、間髪入れず2回目に大きな揺れ。
幸い我が家の地域では震度4で済んだのだが、311を思い出す揺れだった。
ゲームもそこそこ切り上げ、NHKを見る。
また津波警報じゃん…
特に被害がなかった我が家。
福島の親戚の家は、また棚から物が落ちて大変だという話をかぁちゃんから聞き、ざわざわしたままその日は床についた。

朝、明るくなってから被害がわかることも多い。
阪神の地震の時なんかもそうだった。
いろいろあってTwitter離れしていた私も、流石に情報を得る為にTLなどを確認していた。
そこに新幹線が脱線した・東北本線と常磐線、阿武隈急行が止まっている、そんな文字が飛び込んできた。
特に常磐線は先の地震で甚大な被害を受けた路線で、ようやっとつい最近復活したばかりだった。
どうしてこうも、いつまでもいじめられるんだ…
もう地震は勘弁してやってくれよ…
テレビでは脱線した新幹線が空から映されている。
これは…新幹線は当分、無理かな…
ただまぁ旅行までにはなんとかなるだろうという気持ちがあった、楽観視し過ぎていた。

数日が過ぎて、鉄道の被害状況がどんどん出てきた。
線路の歪み、橋梁のヒビ、どれもすぐには直せない。
新幹線は脱線車両を全て線路に載せるだけでも2週間かかる見通しとなっていた。
そして東北本線、再開予定だったが一部の橋桁にヒビ、というか崩れてしまったところがあり再開は延期となった。
常磐線は新地〜富岡間でまだ止まっている(22日現在は新地〜原ノ町)
でも、いうて仙台。
なんとか出られるだろ、路線いっぱいあるし。
…出られないのだ、関東から東北本線と常磐線がなくなると、仙台には飛行機か日本海側から無理矢理行くかしかないのだ。
かぁちゃんがいるから日本海側から無理矢理ルートなんて無理。
っていうか、仙山線に乗る為に山形まで出るのも正直無理なのでは…下手したら一日で着かない可能性だってある。
そして私は飛行機が無理。
だめだこりゃ。
その旨をかぁちゃんにメッセージした。
「時間がまだあるから、なんとかなるよ。待ちましょ😊」
かぁちゃんは絵文字をよく使う、携帯を教えた時は謎の文章をよく送ってきていたけど。
そうねぇ…まぁとりあえず待ちましょう…。
それしかないからね。
私と違って、かぁちゃんは肝が据わってる。
まぁ、なんとかなるんだろう、きっと。

今まで災害に見舞われた地域で、不通になった公共交通機関はなんとか復旧してきた。
稀にそのまま廃線、廃止になってしまうところもあったが、ほとんどは様々な人達の尽力により復活してきた。
常磐線が津波にさらわれた時も、もうダメだと思っていた。
昔旅行で乗った時に見たあの風景は、波にさらわれてもう見られないのだと思っていた。
それを少し内陸側に移動したとはいえ、10年越しに復活させた鉄道マン達、不通区間を代行バスで支えた人達。
いろんな人たちの力があって復活してきたんだから、今回だってあっという間に直しちゃうんじゃなかろうか。
いつまでもあると思うな親と金、とはよく言うけれど、これは公共交通機関にも言えるものなんだなぁと改めてしみじみ思う。
なくなって初めて気づく、あって当たり前のものに感謝せねばならぬ。

今回の地震で被害を受けた鉄道や建物、全てのものの復旧に従事している人達に、敬意と感謝を込めて

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