見出し画像

アニメ、漫画と児童ポルノの境界線、各種法律、規制の住み分け

この問題、成人ポルノと児童ポルノと擬似的児童ポルノとわいせつ物と創作物の関係が分からなくなっている人が多いように思う

そして、刑法175条と児ポ法と児童福祉法と青少年保護育成条例と関税法と国連勧告と条約批准と、あれやこれやが混ざっている人も多い

私も調べても分からない事が多かったので、そりゃそうだとは思う

しかし、児ポ法が話題になりすぎて他を知らず、イラストならなんでも規制なし!と思ってる人とか、モザイク入れればセーフ!みたいな人も多い

立体に規制はないの人も居たが、最近、アート界隈でも有名なのあったでしょーと思うも、アートにご興味無いのでしょうね…

知らぬ間に違法行為してしまうやつ

なので図にまとめてみた

法規制範囲図01


多分、今のところこんな感じ(間違っていたらご指摘ください)
とてもざっくりだし、もっと重なったり範囲の差はあるだろう
特に条例は自治体毎に異なるので、小説は含まれなかったり、全体の何割などの指定があったり、条文以外に判例などで補われていたりするのがややこしい

とりあえず、これを元に考えてみたい


※基本的に、調べながらつらつら思考の軌跡のままに書いて最後に自分なりにまとめるためのものなので長いです。シリーズで書いて結論は最後の記事になることもあります。関連リンクを貼っていくので、そちらのリンク集かなにかと思ってください。追記、編集も多いです。

各法に関しては他の記事にも書いているんだけど、国内外の関連法のリンクをまとめたものは、まだ自分用で未公開
国外が長くなりすぎて分けないと…
国内法は調べればすぐ出てくるし、原文を読んだ方が正確だと思う


表現の自由との兼ね合いについては、下記記事他で考えている


そもそもの前提として、法律は『社会通念を明文化』、つまり『ダメな事をダメと規定』し裁くためにある
悪辣な行いが、倫理観や自己規制ではコントロール出来なくなった時、民意によって請願等が出されて立法される

そこで明確に『これを禁ずる』と書いた上で、例外や事情を考慮する建て付けにする
罰則罰金が何年以下何万円以下となるのはその為だ

つまり児童ポルノについても、まずは憲法で『他者の人権を侵害してはならない』と決まっているので、『児童虐待やそれに繋がる事はしてはいけない』となり、児童ポルノは後述の通り、『児童虐待に繋がり、また児童の健全な成長に害があるので製造及び頒布してはならない』と決まったもの

性犯罪に繋がらない、倫理観に悪影響をもたらさないなら禁止はされないので、図のような住み分けやグラデーションが出来てくる

つまり、萌え絵が不適切なのではなく、萌え絵タッチの児童ポルノが不適切とされ、海外では既に違法なのだ

本当にここは区別して欲しい

絵画であってもポルノはポルノ、油絵だろうが彫刻だろうが、度が過ぎればポルノなのだ



また、全面的な禁止と規制も大きく異なる
規制はレイティングやゾーニングのように、程度の差によって対応が変わる
忘れがちだが、景観条例や学校、病院周辺の規制なども影響したりする

と言う事も頭に入れて、それぞれの事例や法改正議論を見る必要がある


そしてまず、わいせつ物なるものには、わいせつ三要件と言われるものがあり、かなり古い判例から下記となっていると言う点から…

■わいせつ三要件

1.通常人の羞恥心を害すること
2.性欲の興奮、刺激を来すこと
3.善良な性的道義観念に反すること

通常人とか道義観念とは、その時代に合わせて変化する事になる
児童ポルノを規制するようになってからそれほど歴史がない上に、14歳が成人だったり、吉原など人身売買が日常茶飯事の時代からそれほど経たない

さらにインターネットの普及率に法が追い付いてない

児童ポルノやそのネット関連の道義観念とは、これから作るものだと思った方が良いのだろう


そして立法の目的もそれぞれ異なる

■刑法175条

刑法では、上記のわいせつ三要件を禁じており、つまり社会秩序や風紀の維持と、誘発される性犯罪などを防止する目的と考えられる

■児童ポルノ禁止法

児ポ法は、正式には「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
」と言う通り、児童虐待を防ぐ目的

■児童福祉法、児童虐待防止法

これも当然、児童虐待を防ぐ目的だけど、児童ポルノ等に関して具体的な基準や処罰の規定がなかったので児ポ法が出来た
いわばバッヂと言うか、補助的なもの

後述の条例が先に出来ているので、刑法のバッヂとして児童福祉法(の前身の旧児童虐待防止法やらあれこれ)が出来て、カバー出来ないので業を煮やした自治体が条例を作り、国際社会からの要請で児ポ法を作り、同様の圧力で再度、児童虐待防止法を作り、同様の圧力で児ポ法の改正やネット関連法を作らねばとなっている…のかな…

増改築重ねすぎて、変な建て付けになってしまったシリーズと言うか…


■青少年保護育成条例

こちらの創作物に関する規制は、児ポ法の条例版と言うか先に出来ていたもので、その名の通り児童保護の観点が強い
ポルノの撮影等が買春や虐待にあたるため禁止する目的と、不適切なものが青少年の目に触れないようにする目的
後者は刑法と被るけど、ゾーニングやレイティングがよりはっきりしている

全自治体(都道府県)にあるが微妙に違うので、どこかで確認済みでも他では違う可能性あり



で、図の説明に戻る
性的かどうかの範囲は中央で分かれて見えるが、これは表現の度合いでなく、未成年に見せて良いかの辺りで分かれるかと思ってのこと

未成年に見せられないレベルの性的なイラストとなると、それはもうポルノに該当すると思われる

ちなみに小児向けのお色気とはドキ○ちゃん辺りだ

児童向けはしず○ちゃんや某変身少女だろうか
ここにだってグラデーションは存在する

性表現の程良い分量が真ん中辺りな訳はない
ゼロでも良い作品は良い作品だし、真ん中辺りならむしろ性表現が蛇足だったり過剰だったりもするだろう


萌え絵を分けたのは良く争点になるからだ
元々、男性目線での魅力のある低年齢女性を萌えとしていたと記憶しているので、右側に片寄っているが、児童かつポルノでない、つまり性的要素か年齢要素がクリアなら合法のものも当然ある

萌えない萌えキャラが萌えないと言われていたので、色気を失うと萌えキャラではないのかなと思う

ちなみに個人的には、ショタ方面の好みが相当に無いと言うか、性別問わずみんなひよこでぴよぴよしてて可愛く見えるので、性別を逆にした時に萌え絵に何を対比したら適当なのか分からない

多分何かあるんだとは思うので、出てきたら追加してみたい
萌え絵=ロリコン向けイラストかと言うと違うと言う人が多いし、単にショタコンをあてるのも違うのだろうが、女性向け萌え絵の絵柄と言ってもジャンルとして確立される程、単一ではないような?

恋愛ゲームやアニメを見ても、むしろ年上、渋セン辺りの方が市場が大きい気がするのはリアルな婚活市場と同じなので、そりゃそうかなと思われる



右端は接しないのに、左端に接しているものが多いのは、当然、限りなく健全と言うか色気の無い作品はあるが、実写に勝る性的表現と言うか、違法性とまで言うものは持ちにくいと思うからだ

絵画のアート性を上げたのは写真だけど、写真のアート性も深いよね
絵画は記録としてもアートとしても、より研ぎ澄まされる必要が出てきた訳で、えーと話が反れた…


成人向けポルノを含む規制対象の範囲には、モザイクなどでボカされているが、本来規制対象である性的表現や暴力、犯罪行為などの人権侵害を含むポルノや絵画、小説もある
裏は全力で違法だから裏なので、右端にあると思って良い


出版やアート界隈は、自主規制の歴史が長く、ゾーニングやレイティングもされているのであまり引っ掛からないけど、やはりヤバいものもあるし、関税法にはガンガンに引っ掛かるケースもあるので広めに見ている

自主規制についてはこちらに書いた




わいせつ物・暴力表現に関しては刑法の他に条例が各県にあり、未成年向けの制限を含めるとかなり広くなる
ゾーニングやレイティングで対応される範囲だ

全く気にせず公開出来るものは意外と狭い


これも映画や小説、アートを含めて規制がかかっているが、歴史の長いものは同じくお作法が割と固まっている
映像会社や出版社、美術館、ギャラリーが当然のようにチェックしているので、消費者が直接違法なものに触れる事が少ないだけだ


ただ、個人作品は結構、指摘・摘発されているらしい
第3者のチェックが入らないのと、そもそも違法なものを同人やネットで書こうとするからだろう


下記のように判断を要するケースは多々あるが、むやみやたらと公開出来ないにせよ、現物を見て判断出来るので、冤罪の可能性は比較的低めだと思う

近親者による性虐待でさえ無罪が続いたくらいだから、日本の裁判所の判断は性犯罪者に有利だ

法規制範囲図02


これもごっちゃにしている人が多いが、作者と流通販売者と、消費者は別に見た方が良い

作者がその一点だけを見られて児童ポルノとされる場合は、成人ポルノ作家であっても慎重になるべきだが、流通業者は他にも扱っているだろうし、表現の自由は関係ない営利目的だから取り締まるだろう

消費者の場合、所持している画像、数百、数千点のうち、一点だけが児童ポルノかもしれない年齢の場合は、摘発はされないと思う
削除は求められるかもしれない

そして、児童を対象にした児ポ法だけやたらと範囲が狭いのが分かるが、後に乗せる図03にもある通り、刑法と条例でカバーしているので、少なくとも未成年の目につくところにあれば、実写以外も違法ではある


該当した瞬間にアウトなので範囲の取り方は難しいし、被写体(イラストでもとりあえずそう表現する)の年齢で分けるので、正確に表すならこの図にz軸が必要なのかもしれない

y軸は一応、リアルさとなっている
イラスト・絵画と漫画は迷ったが、ストーリーとセリフがある点で下に置いた


ここについても、ギリギリ18歳かもしれないのに捕まるなんておかしい!と言う意見があるが、法の大原則として、疑わしきは罰せずと言うものがある

最終的な判断は裁判官がするので、大学生らしく見えるなら(設定が大学生ではなく、一枚の絵として伝わる情報として)問題なく、制服を来ていたら高校生以下の可能性が高く、ランドセルなら小学生だろう、しかし明らかに成人のコスプレに見えるなら検挙対象外という論理的な積み上げになるはずだ

この法文の表現は、見た目が明らかに幼女なのに、妖怪だから擬人化だから千年生きてます!とか言う言い訳をさせない為だと思われるので、単なるお気持ちでは適用されないはず

国内で認められる程度の健全さかどうか、性的な目的で書かれたかどうか、児童らしく見えるかどうかは、俯瞰すると良く見えるだろう
隣にドキ○ちゃんを置き、実在の各年齢の児童を参照すれば良い訳だ

敢えてギリギリを狙って無罪を勝ち取った場合でも、一般的にはダメージの方が大きい
児童ポルノだからだ
わざとギリギリを狙って有罪になるのは、社会的にかなりリスクが高い

規制された場合、きちんと成人に見えるように描くようになるのは海外で実践済みだ

この表だけ見ていると分かりにくいので、ドキ○ちゃんの様に、具体的にイラストや映画を当てはめて行くと分かりやすいと思う


左端に位置するのは何か、真ん中辺りは何か、好きな作品を当てはめて見て欲しい

右端の作品を持っていたら、逮捕される可能性があるが…

ちなみに萌え絵は基本的に女子限定だが、ポルノには男子も男性も勿論含む
最近は男性の性被害もニュースになるようになってきたけど、氷山の一角なんだと思う
男女問わず、真剣に考えて欲しい問題


よく言われるダビデ像は、立体の判断を要する辺りだろうか

法文を読むと立体は除外の様に見えるが対象
結構、頒布で捕まっているし、陳列罪も多いはずだ
ある意味、映画よりリアルなので当然

アート作品でも、ゾーニングや局所を隠す処理をされる場合は普通にある

ダビデ像はリアルタイムな時代でも宮殿に置かれていてゾーニングされており倫理観も違うが、今も美術館やアートエリアにある時点で、やはりゾーニングされている
しかし、カラー塗装したレプリカを小学校に置くと言われたら、判断を要すると言わざるを得ない

各国の評価基準にもアートと認めるものかどうかがある
別に書いたが、アートは作者がアートと言い張ればアートである反面、誰にも認められなければ100年も保存されない現実がある
迂闊にアートとか言い張ると、アート界隈から別の意味で殴られるので気を付けて欲しい



■総括■

とりあえず、右端と下部の完全にヤバいものを持っている人は、慌てて破棄する必要がある

要注意なのは、中央の空いてるように見える辺りで、誰の目にも触れる位置に展示したら割とアウトである

イラストだから大丈夫なのも児ポ法で見た場合だけで、これは製造から単純所持まで禁止の児ポ法と、頒布と展示が禁止で製造は含まない刑法との差だ

これは表現の自由として、自分で書いてひそかに保管することは認められていると言う事だろう
勿論、人に渡せば頒布、見せれば展示だ

この点で、法改正するとしたら、擬似的児童ポルノの場合は製造と保管のみは認められるかもしれない

それ以前に人に見せなければ作った事自体が分からないので、認めるも何もないが…

法規制範囲図03




そして関税法には、別の意識で特に注意すべきと言える

相手国の法律次第だからだ
中国など超規制モードなので持ち込んだ場合、即捕まるだろうが、ネットとなると分からない
これも他に書いたが、国を跨いでのタスクフォースや逮捕例もあるようだ


色々事情があるとは言え、刑法と条例が重なっている点もおかしいので、これも整理されないかなと思う

ひとまず分かる範囲でまとめてみたが、様々な角度から冷静に考えてみてもらえればと思う

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?