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【2分小説】 覚めない朝焼け

私は猫だ。
名前もない、ただの野良猫だ。
少し小太りしたのかも知れない。


今日は朝焼けが長い、起きるのが早すぎたのだろうか。
甲高い声で鳥たちが朝焼けへと翔ていく、君たちも早起きだな。


高草の下り道を歩く私にも向かう先がある。
長年の行きつけである、とうもろこし畑だ。
ここの旦那は気前が良い。私が訪れると、いつも見合うサイズのそれを茹でてくれる。
焚き火と蒸気が私と旦那を包み込み、共に朝焼けを見送るその時間が好きだ。


目的地に着いても、まだ朝焼けが広い。旦那はまだ起きていないようだ。
旦那がいなければ特にすることはない。
ここで二度寝でもして待とう。


この頃よく冷えるせいか、あまり寝られそうにない。
そう思った矢先、心地良い温かさが私を包み込んだ。


嗚呼。あの暖かさだ、旦那よそこにいるのか。
今ちょうど眠くなったのだ、もう少ししたら起こしてくれ。


私はほとんど眠ってしまった。
旦那と一緒に包まれる温かさに何も不思議さも感じなかった、もしろ安心感が心身を満たしていた。


今日は朝焼けが長い、その特別な広さで私と旦那を包み込んでいく。

最後に私の耳に残ったのは、甲高い鳥が大きく叫ぶ声だった。

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