安定とは
おもしろい考え方だと思った。
『LOⅤE』と『LⅠKE』はどう違うのかということだった。『LOVE』は異質なものを求め、『LAKE』は同質のものを求める心の作用なのだそうだ。『愛』には不安定な揺らぎがあり、『好き』にはどこか安定があるという考え方も、言われてみれば納得のいく部分がある。
ただ安定感というのは、本当に安定の上にあるものかどうかは分からない。人は全く一人でいると不安を感じ、人の集まっている方に行く。全然知り合いのいない集まりに出ることはとても不安だ。どうしても行かなくてはならない、出席せざるをえない場合、会場に入るとどこにいたらよいかと迷う。とりあえずどこか人のいるところに近づいて、その中に入ろうとしてしまう。話しかけやすそうな人を探して、さりげなく話しかける。話が続けばそこが自分の居場所になり、落ち着き、安定を見出す。私は、多分にもれずその中に入る。それを拒否された時代は誰にも近づけず、一人でいた。一人でいよう、誰にも頼るまいと決めると、ほっとしたものだ。それも安定だろうか。その決心をするのには簡単なことではなかった。私は強い人間ではなかったが、そうせざるをえなかった。
自殺した群馬の女の子も安定を求めて得られず、死を選んだ。いじめがどんなものだったのか私には分からないが、仲良しグループで食べる給食がなんなのか、一人で食べたからといって問題があるわけではない。好きな者が集まって食べるという給食の時間も問題だが、崩壊寸前だったという学級では担任には指導できなかったのだろう。誰も頼りにならないと早く見極めることが大切であり、見極めたら一人で生きる決心をしなければならない。そこには不安定はあるが、それを安定に変える強さが必要なのだ。安定にたどりつく道はいろいろある。簡単に手に入れる方法もあるが、苦しみの後に手に入れたものが本当の安定であり、ゆるぎない安定であると思う。
(H22.11.9)