山での挨拶
登山道ですれちがうときの挨拶について書いたものを読んだ。山のマナーともいわれ、挨拶のついでに、目的地までの距離や道の状況などの情報を教え合うことも、楽しく役に立つことだ。たくさんの人とすれちがうとき、いちいち挨拶するのが面倒だと省く人もいるというが、どれが良い、どれが悪いと決めるわけにもいかないことだから、しかたのないことだろう。
ある山岳ガイドが関西から訪れた客を案内して磐梯山に登ったときのこと、本県人の夫婦ずれに出会ったそうだ。一行が県外人と聞かされると、「福島県に来ていただいてありがとう。」と礼を述べたという。その一言が、関西の客達の心に響いたようだったという。
長男が2歳か3歳の頃、主人と母と五色沼めぐりをしたことがあった。よく整備されて、歩きやすい道だった。大人にはそれほどでもないが、小さい子どもには大変だったにかも知れない。行き交う人達が「こんにちは、ぼく、頑張れよ。」「あら、かわいい。頑張ってね。」「もうすこしだよ。頑張れ。」と声をかけてくれる。「こんにちは、ありがとうございます。」と返しながら、気持ちはとても和やかで、楽しかった。たくさんの人が往来する遊歩道でもそんなことがあるのだから、深い藪を分けて歩く山道や、けわしい岩の間を抜けるような道では、ふとすれちがった人の姿にもほっとし、懐かしさを感じるだろう。そんなときの一言は、互いに励ましの言葉になるのではないだろうか。たった一言、されど一言というところだろう
(H24.1.10)
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