老いとは
森菊蔵さんという詩人が、詩集の中で「これからはどう変わっていくかを歌え」「老いの寂しさを歌うな」「新しい事態に興味を持ち、毎日のニュースを分析し、時々現場に行ってみたり、騒ぎに加わったり、いつも未来に関心を持って、変わった年寄りだといわれても、生き生きとした瞳を持ち・・・・・」と書いているそうだ。
老いの寂しさ・・・そのようなものは感じたことがない。ただ体力や足腰の衰えを感じて情けなく思うことはある。それが「老いの寂しさを感じる」ということなのだろうか。家の中に一人でいてもやることやりたいことは沢山あり、暇を持てあますということはない。趣味と自慢できるものは無いが、お菓子作りが好きで、長い間飽きることなく続けている。食べたいからだけでなく、仕事に一区切りついたとき、嫌なことがあった時、うれしいことが疲れさえ忘れてしまう。だから老いを意識する暇もなく過ぎてきた。唯一『老いを感じる』というか『感じさせられる』のは、『後期高齢者受給者証』と書かれた国民健康保険証を受け取ったときである。『高齢者』『後期高齢者』の名称は『年寄りであることを自覚せよ』という宣告なのだろうか。(H20.10.16記)