【細胞】”DNA”ってご存じですか?#5.5
【挨拶】
こんにちは、catです。今回は#5.5としまして、#5の続きをお話していきます。#5では主に、遺伝の科学や細胞内におけるDNAの構造の決定などについてお話ししました。#5.5ではその続きと、DNAがどのようにしまわれているのかを簡単に説明していきます。それでは、ご覧ください……!
【DNAの”二重らせん構造”】
DNAの二本鎖は、互いの塩基間にできた水素結合と呼ばれる結合でつながっています。塩基は全て二本鎖の内側にあり、外側には糖(デオキシリボース)とリン酸の主鎖があります。
塩基はランダムに対合するのではなく、アデニン(A)は必ずチミン(T)と、シトシン(C)は必ずグアニン(G)と対を成します。AとCやG、CとTなどは組み合わせでは対合しません。このような相補的な塩基対形成のおかげで、二重らせんの内部にエネルギー的に安定な配置で収まることが出来ます。”エネルギー的に安定”というのは少し難しいのですが……。たとえるなら、狭い部屋に何人もの人が入るとき、お互いがお互いのテリトリーをなるべく侵さないような、居心地のいい配置と思ってください。また、この相補性という性質は、複製時や修正時に非常に重要なものになります。
【二つの重要な問題】
生物は遺伝子がもつ情報を、細胞分裂するときに正確にコピーして伝えなければなりませんが、ここで以下のような二つの問題が生じます。
➀DNAの暗号が表すものは?(#6)
DNAは、それぞれの鎖に並んだヌクレオチドの配列によって情報をコード(暗号)化しています。四種類の塩基は、生物の情報を書き表すアルファベットにあたります。生物の違いは、このアルファベットの違いであると言えます。ヌクレオチドのアルファベットは、そもそも何を表すのでしょう?
②DNAの暗号はどのように使われる?(#7)
先述の通りDNAは情報を暗号として保有します。➀の疑問が解決したとして、果たしてそれをどのようなメカニズムによって解読し、活用しているのでしょうか?
【DNAの”情報”】
生物がDNAとして保有している情報の量は、想像を絶します。細菌など単細胞生物が持つ情報量ですら物凄い量です。これが我々のような多細胞生物となると……。ヌクレオチドの四文字で表すと、ヒトがもつごく小さなタンパク質の情報でさえessential細胞生物学という大きな教科書の四分の一(218ページほど)になります。ヒトのDNAの全塩基配列は、同教科書1000冊分以上(870000ページ⁈)にもなりえます。こんなにも膨大な情報を、どのように格納しているのでしょうか。
もっとわかりやすいスケールで表してみましょう。ヒトの細胞には約2メートルものDNAが入っています。しかし、核の直径はたった5~8マイクロメートルしかありません。これは、テニスボールに40キロメートルの糸が入っているようなものです。
真核細胞では、非常に長いDNA分子がきっちり畳まれ、染色体として存在しています。DNAの収納という複雑な作業を行うのはタンパク質で、DNAと結合して折りたたみ、連なったコイルやループ状にしてだんだんと高次構造(幾重にも重なった構造)作ります。驚いたことに、DNAの修復や複製、発現に関わるタンパク質が近付けるような効率的な畳まれ方をしています。
【おわり】
はい。今回の記事はこれで終わりです。次回は先述の➀、次々回は②の問題について簡単にお話ししたいと思います。それではまた次回以降お会いしましょう。ここまでご覧いただき、誠にありがとうございます。
このシリーズで参考にしている書籍は「Essential細胞生物学 第四版」というものです。大学の講義で教科書に使われることもあります。文章は海外の物の翻訳なので、読みにくさを感じることもありますが、見やすい図や写真が載っているので、ぜひご覧になることをお勧めします。
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Twitter:@Catkamome
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