「目的のない集合」への憧れ
初めまして,Kikuchiです.
友人に企画を紹介された&知り合いが企画にいたからという軽いノリで書き始めようと思いました.振り返ってみると普段考えていることと繋がってくるもので,そこで浮かんだことを備忘録程度に書いていこうと思います.
自分にとってのコロナ禍
原発事故との類比
私は福島県出身です.コロナ禍に入る約10年前の震災・原発事故が起きた際にも福島県にいました.私の住んでいた地区は海沿いではなかったため津波の被害はなく,原発事故で外で遊べなかったという記憶の方が強いです.
震災当時の私は小学2年生で昆虫大好き少年だった私は,外で虫取りができないことにショックを受けていました.
コロナ禍で自由に友人と遊べなかったり,外出しづらい状況というのは原発事故の時期と似ていると感じます.「今の小学生たちも当時の自分と同じような感覚を持っているのかな」と思いながらも,大学生という身で何もしてあげられなかった自分を少し悔しくも思います.
また,外で遊べなかったというもの以外にも,原発事故によるスティグマのようなものを中学生・高校生の時くらいに感じていました.コロナ感染者が叩かれているのを見たりして「自己責任だけでは済まないこともある」と思っても当事者以外には自分からそう思うことは少ないことを悲しく思っていました.
コロナ禍のメリット
上ではコロナ禍という「社会」に対して感じたことを書いたのですが,ここでは私「個人」にとってどんな影響を与えたのかを書きたいと思います.コロナ「禍」と書かれるように,ネガティブなことが散見されますが,ここではあえて逆張りしてポジティブなことを書こうと思います.
私がコロナによって一番良かったことは,「一人の時間を大切にできた」ことだと思います.コロナ禍の話の中では「人と接することができなくなって初めてそのつながりの大切さを知った」という文脈も多くあります.しかし,私の感じたことは「一人」の大切さです.
コロナで特に家に籠ることが多くなった期間の中で,一人で考え事をする時間が異常に増えました.一人で考え事をする中で,いろいろなことに思いを馳せることができました.例えば,自分のこれまで・これからの生き方,専門の化学,社会現象などについてです.これまで人からどう見られるかを意識してしまっていた私からすると,つながりがなくなったことでむしろたくさんのことに触れることができました.
これを読んでいる方にも,コロナで失ったものだけではなく,コロナによって自分が得たものについても考えてみてほしいと思います.
目的のない集合
この文章を書くにあたって,存在を思い出した「目的への抵抗」(著:國分 功一郎,新潮新書,2023年)を読みました.
「目的への抵抗」の後半ではハンナ・アーレントやアガンベンの議論が多く引用され学術的な色が強かったのですが,ここでは私の個人的な感覚に紐づけていきたいと思います.
コロナ禍において,「不要不急」の外出が制限されました.
これによって私たち大学生の移動・行動が制限されたわけですが,最近では徐々に解除されていっています.
「不要不急」の外出の制限によって私が感じたのは,私たちの生活は「目的」にかなり支配されているということです.
外出制限を受けて大学の授業も含めたかなりの集まりがオンライン化しました.この裏には,「集まりの『目的』が達成されればその過程はオンラインであっても対面であっても変わらない」といったことがあるように思います.
ですが,本当にそうなのでしょうか?
オンラインでの集まりは特に先ほど述べた考えが顕著になると思います.
オンラインで決まった時間だけ集まって話をして,「目的」が達成されれば解散して個々人の活動に戻る.
オンラインであっても活動・運営ができたかもしれませんが,対面では当たり前だった大切な何かを失った気がしました.
それこそが,「目的のない集合」であるように感じます.
「最初は仕事でしか話していなかったけど,そのうちただ話したいからご飯に行くようになった」とか,「偶然席が隣だったから仲良くなってよく遊ぶようになった」のような行動です.
うまく言語化できませんが,そこにこそ人間的なつながりを感じるし,コロナ禍で制限されたからこそ憧れる.
これから制限が解除される中で,「目的のない集合」の喜びが復活し,また皆さんが当たり前に享受できることを願っています.
#いまコロナ禍の大学生は語る
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この文章は、「#いまコロナ禍の大学生は語る」企画に参加しています。
この企画は、2020年4月から2023年3月の間に大学生生活を経験した人びとが、「私にとっての『コロナ時代』と『大学生時代』」というテーマで自由に文章を書くものです。
企画詳細はこちら:https://note.com/gate_blue/n/n5133f739e708
あるいは、https://docs.google.com/document/d/1KVj7pA6xdy3dbi0XrLqfuxvezWXPg72DGNrzBqwZmWI/edit
ぜひ、皆さまもnoteをお寄せください。
また、これらの文章をもとにしたオンラインイベントも5月21日(日)に開催予定です。
イベント詳細はtwitterアカウント( @st_of_covid をご確認ください )
ご都合のつく方は、ぜひご参加ください。
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