「いつも通り」を探して~高校野球ハイライト延長戦1日目・八幡商業
2021年、滋賀の夏開幕。
きのうまで降り続いた雨の影響で、開会式の規模は縮小された。会場はグラウンドではなくバックネット裏。通路での入場行進は各校2人に制限されている。いつも通りの式典が行われているはずなのに、いつもとは違う光景が広がっていた。
感染対策で観客数に上限が設けられ、声を出しての応援もできない今大会。ただ去年の3年生は、甲子園を目指すことさえ許されなかった。無念や失意をプレーにぶつけ、独自大会で奮闘してくれた選手たち。観客がいない、アナウンスもない中で打席に立つ姿は忘れられないし、「2年ぶり」という言葉さえ簡単に使いたくない。
「できればグラウンドでやりたかったけれど、与えられた役割に変わりはない。プレッシャーも緊張もあった」。選手宣誓を終えた八幡商業・北浦優樹主将のコメントがこの状況を象徴している。選手が待ち望んだのは普段の光景よりも、甲子園につながる大会そのものだった。
「甲子園という夢の舞台をかけた戦い。先輩の思い、2年分の思いを背負って最後まで戦う」。選手宣誓の言葉を改めてかみしめ、新しい「いつも通り」を探す夏にしたい。
滋賀大会に球児が戻ってきた。