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【アーカイブ2017】再び輝く月光を待つ~滋賀大会10日目延長戦・滋賀学園

春の王者VSセンバツ出場校の一戦は、彦根東が点差以上の快勝。滋賀学園は春夏連続の甲子園を逃した。今年も「1」を背負った神村月光(ひかり)だが、最後までマウンドに立つことはなかった。

1年生の秋からエース。同学年の後藤捕手と組み、近畿大会では報徳学園相手に14回を投げ切った。チームを初のセンバツに導いたかと思えば、滋賀県勢として最高成績タイのベスト8入り。あの時の神村月光は、確かにマウンドで輝いていた。

神村の言葉はいつも記憶に残る。幾度となくインタビューをしてきたが、「かすれるものならかすってみろ、と投げた」。1年生が柔らかな口調でこんな答えをすれば、誰だってまた話を聞きたくなる。神村の取材はいつも楽しみだった。

歯車が狂い始めたのは去年の夏以降だ。他の投手が次々と台頭していくなかで、今年はセンバツでも登板なし。夏前に不調も伝え聞いた。嫌な予感はしていたが…最後まで腰や足のケガが響いたのだろう。「これほどの挫折はしたことがない。ただ、仲間の顔を見たら腐っていられなかった」。報道陣に囲まれた神村は、淡々と言葉を紡いでいた。

「野球は続けていくの?」私の最後の質問には目を見て答えてくれた。「この悔しさを知ったからには続けないといない」。神村月光の言葉は、きょうも印象的だった。【2017年7月21日掲載】

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