仮定形に関する注釈
音楽を聴くことが好きだ。Spotifyに登録してからは世界中のアーティストに瞬時に接続ができ、リリースされたばかりの新譜をリアルタイムでチェックできる。音楽、映画をはじめとして2010年代に入ってポップカルチャーのハイコンテクスト化というのが話題に上がるようになった。昨年話題になったアベンジャーズをはじめとするMCUシリーズ、TVシリーズのゲームオブスローンズ 、そして数多くのミュージシャンが気候変動やジェンダー等様々な社会問題をそれぞれの手法で展開した。
これらの話については田中宗一郎氏、宇野維正氏の共著『2010s』に夥しい数の固有名詞と共に書かれている。何も考えずにボーッとポップカルチャーを享受して過ごしてきた僕の10年代に意味をもたらしてくれた素晴らしい本だ。またこれからの(早速波乱の)10年への橋渡しとなってくれる。
そんな中で今日2020年5月22日イギリスのロックバンドThe1975がニュー・アルバム、『Notes On A Conditional Form(邦題:仮定形に関する注釈)』をリリースした。2010年代ポップ・ミュージックのシーンにおいて所謂ロックバンドの存在感が薄れる中で、確実にその時代に沿ったアプローチで存在感を増してきたバンドの一つである。
僕の中では特別追ってきたバンドではないが、このアルバムがリリースされるまでのシングルが軒並みよかったので早速リリースされたばかりのアルバムを聴いてみた。なんと22曲80分の対策だ。アナログでは2枚組だろうか。アルバムは女性のポエトリー・ローディング「The 1975」で幕を開ける。誰の声かと思い調べてみると、なんと環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんとの共演だった。紹介されたいた記事が非常に興味深かったので紹介しようと思う。元ロッキングオン編集長の粉川しのさんが書かれたいた。
この記事では、The1975のまざまな社会的な取り組みについて言及されている。
ジェンダー・イクオリティの問題について、例えば彼は、時々スカートやワンピースを着てステージやカメラの前に立つ。その着こなしはごくごく普通で、別に「女装」をしているわけでもないのだ。マットはスカートとデニムパンツを同じ感覚で履いていて、そこにはファッションも性差によって決められるべきではないという信念、ジェンダーの固定概念を突き崩していこうとする行動が宿っていると言っていいだろう。
The 1975の活動をあらゆる側面からエコ・フレンドリーであるべく見直し始めていて、特に『Notes On A Conditional Form』前後のツアーやプロモーションにおいて、それは大きなテーマになっているようだ。例えば、過去に販売されたバンドTシャツの上から新たに『Notes On A Conditional Form』のロゴをプリントし、ツアーのマーチャンダイズをリサイクルするというアイデアは、買い替え&使い捨てのファスト・ファッション文化に一石を投じるアクションとして、各方面から賞賛を集めた。
チケットの販売枚数に応じて植樹をするという、より能動的に攻めたアプローチに出た。
などなど積極的に社会問題について取り組んでいる。彼らの活動をみていると、それが押し付けがましくなく、あたり前のこととして行動に移しているように感じる。
当然、ミュージシャンがこのように社会問題に取り組むことは、これまでにもあった。レディオヘッド然りコールドプレイ然り。これからもこのような流れは加速してくるはずだ。やはりそこで重要になってくるのは、私たちオーディエンス側の変化である。自分の好きなミュージシャンの取り組みが、どこまで自分の行動を変えることができるのか。これは行動経済学の領域かもしれない。そんなことも考えて見れたらと思っている。
今日の1曲