あしたてんきになぁれ
「あしたてんきになぁれ」
作 猫舌だけど知覚過敏。
A男B女
A 明日晴れるかな
B 雨かもよ。急な雷雨かも。
A 天気予報は晴れだよ
B あてにならないよ。私たちの前では。
A まあ、そうだね。
B 明日はどっちが勝つかな。
A 僕じゃないかな。
B いや、私だよ。きっと。
A 賭けようか。晴れたら遊園地、雨なら映画館だ。
B いや、雨なら海に行こう。
A 雨の日に海?晴れた日こそ海でしょ?
B 晴れた日に海なんか行ったら日焼けしちゃうし、人が多いじゃない。雨の日に行ったら目の前の世界すべてが水の中。お魚の気分が味わえそうでしょ?そして万が一、ありえないけどもしも晴れたら市場で買い物。
A 市場って港町の朝市のこと?
B そう。干物が買いたいの。
A スルメの気分でも味わうの?
B なにそれ。でもまあ、人生の味に深みが出そうで、たまにはそれも良いんじゃない?噛めば噛むほど旨味が出る人生。そういうことで、明日はピチピチの生きた魚か、カサカサの死んだ干物か。賭けましょう。
A それじゃ晴れ男の僕の方が印象が悪いじゃないか。
B いいじゃない。たまには雨女の私に華を持たせてよ。
A 嵐とか、雷だったらどうする?市場も、海もいけないよ。
B 雷だったら、家電を見に行こう。嵐なら扇風機を買うんだ。
A 引き分けのくもりだったら、綿菓子を食べに行こう。
B 渋谷の、おおきいやつね。
A わかったよ。それじゃあ、また明日。
B また、明日。あしたてんきになぁれ。
END