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「すーべりだい」と出会う
昨年文庫を始めたので、新しい絵本のことも少しずつ知りたいと思い、元保育士さんから「子どもたちに大人気だった」と教えてもらった「すーべりだい」(鈴木のりたけ・作、PHP研究所)を借りてきた。
読んでみると、すべり台の疾走感があふれていて面白い。あきひろは反応するだろうか。毎晩絵本を読んでくれる時間に、私からリクエストして読んでもらった。
今でもすべり台が好きなあきひろは、興味を示して読んでくれた。初見なので文字を丁寧に追っていく。「すべりだいー」「する する べぇり べぇり だいーん」。ランダムな文字と言い回しも忠実に読んでいたが、すべりだいのアレンジを面白いと感じるには至らないようだった。
翌日、あきひろは自分から「すーべりだい、よむ」と言ってきた。
「いくよー」「それー」という子どものせりふを読むときに気持ちが乗っているのがわかった。昨日とまどっていた「すべりだいー」と伸ばすところも自然で、「べりっ べりっ」もテンポよく読んでいく。「すー すー」のところでは、爽快さが伝わってきた。
あきひろは感覚的にこの絵本の面白さをつかんだようだった。
休みの日にあきひろは、散歩の途中で公園に立ち寄りすべり台をすべっているところの写真を、私に撮ってもらうのを楽しみにしている。小さな子が大勢いるような公園は避けて、誰もいない小さな公園をよく知っている。そんなあきひろのすべり台好きを受け止めてくれる絵本に出会えた気がした。
借りてきた本に図書館のシールが貼ってあるのを見て、「としょかん」「かえす」と私に言ってきた。これまでにも図書館で絵本を借りることはあったが、そんな風に言ってきたのは初めてだった。「本屋さんで買う?」と聞くと、「かう!」と嬉しそうに言った。
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