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夏の終わりに。②

予定通り4時起きで、出発。

初めて2人で車で遠くへ行く。
高速にのると1番最寄りのSAに寄り、薄らともうすぐ朝日が登るのを感じさせる空を見ながら巻いた。
私たちのドライブデートのスタートだった。

行き先は車で2時間と少し。
「寝てていいよ」そういって自分のパーカーを貸してくれた。
私はちっとも眠くないと言えば嘘になるが、彼と少しでもいろんな話をしたい、同じ景色を見たい、同じ時間を過ごしたいそんな気持ちの方が勝ってしまい、道中帰路まで眠ることはなかった。

SAによる度に、jointを巻いて出発した。
朝日が顔を出し始めて目に入る光景が現実から引き離していくような、そんな感覚だった。

音楽関係の仕事もしている彼に私はあまり音楽の話をしたことがない。
私は彼の浅いところしかもしかしたら知らないのかもしれない…

そんなことも時々思う。

最後のSAに着いて、彼は水を新しく買い、車に戻るまでの道に3分の1ぐらいの水を流して車内へ戻る。

ACIDを一滴その中に落とすと、彼はそのペットボトルの水を飲んだ。

私の方にそれを差し出して「LSD入ってる水飲む?」と。
私はそれを受け取り、2口飲んだ。

それからしばらくして、

彼)対300人ぐらいとLSD食べてきたけど、女の子と2人で食べるの初めて…

私はその言葉とキマりはじめている感覚とで、世界が物凄く広がった。
全ての空がこちらに少しずつ味方してくれてる様に見えた。
嬉しくて、うまく返事が出来ない。
身体の内側が暖かくなるのが分かる。
ずっとその言葉が頭に残る。
少し涙目になった私は察しとられるのが怖くて「そうなんだ」とだけ返した。

無事目的地に到着した私たちは、参拝に向かう。
私はその森のような空間に支配されるかもしれないというくらい永遠に続く気がした。
恐らく、私が真っ直ぐに歩けていないのか、時々肩がぶつかる。

参拝を順番通りに進んでいく。
(後で歩数計見たら、ドライブデートなのに6.2kmも歩いてました。笑)

彼はどんなことを想って参拝したんだろう… 
目を瞑り、合わせた手を離してふと隣をみる。
以前に「自分のお願いごとはしない。自分のことは自分でするから、周りの健康をお祈りする」と言っていたのをふと思いだす。
いつだって自分より周りの人を大切にする、彼はそんな人だ。

上に数十メートル伸びた樹々の隙間から朝日が強く差していて、見上げると無限にその緑が終わらない。
立体感が増して、こちらにくるようにも思える。

ACIDの効果が最大限に引き出される。
量は少なめだったので、BADに入る感じではない。

さらに進んでいくと、

彼)御祈祷してもらったら?

私)急にどしたん?笑

彼)これ見て。〇〇ちゃん(私の名前)前厄やで。笑

私)ほんまやw〇〇さん(彼の名前)も一緒にしよ。笑

御祈祷する気満々の彼。

彼)前厄も御祈祷した方がいいか聞いてみてよ。笑

早朝にキマった状態で何をきかせるんだ。
結局、前厄は御祈祷までする必要は無く、お守り辺りでいいと思います。との返答。笑

「また来年連れてきてね」
私はすかさず彼にそう伝えた。首を縦に振ってくれた時、今回御祈祷出来なくて良かったとも思った。
お守りも沢山の種類があって、私はその中の「学業御守」を選んで、彼に伝えた。
私はこの秋、国家試験を控えている。

「絶対受かってな」
彼はそういうと御守を渡してくれた。

同じ道を歩きながら、来た道をゆっくりと戻っていく。
本当は一緒に写真も撮りたいし、手も繋ぎたい。
けど、彼は普通の男性ではない様な氣がして、私はどちらも行動に移すことは無かった。

参拝を済ませ車に戻ると、彼は暑さとACIDで体調が悪くなったのか目がよく見えないらしい。
weedで体調を整えてリラックスする。

時刻はまだ朝の8:00だ。

今日の行き先はこのお参り以外は考えていない。

「30代のデートは行き先はその場で決める。もう次、行くところ一応決めてるから。」
初めて、アクティブな彼を見て私は少しその台詞に笑ってしまった。

つづく。

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