【※無料公開】スルーセブンシーズ&ルメール騎手想定@凱旋門賞2023出走予定馬展望

第102回 凱旋門賞(GI)出走予定馬展望


日程:2023年10月1日(日)
コース:パリロンシャン芝2400m

スルーセブンシーズ(ルメール騎手想定)

 宝塚記念ではイクイノックスを脅かす走りを見せたスルーセブンシーズが凱旋門賞に出走予定だ。今年は唯一の日本馬となったが、少数精鋭での参戦。悲願の凱旋門賞制覇という日本競馬界の呪縛を勝利で解き放て。

 何とも上手く噛み合わないもので、今年は良好な天気予報…馬場も日本馬にとって走りやすいだろうという中で、チャレンジしたのがたった一頭か、という感じやね。昨年でちょっと折れちゃった面はあるかもしれないが…スルーセブンシーズとルメールにはシンプルに頑張ってほしい。

中山牝馬S(GIII)1着

中山芝内1800m良 14頭5枠8番
風向き:東南東2.3m/s(船橋市15:50)
1:46.5 48.7-46.4 S^2
12.4 - 11.7 - 12.6 - 12.0 - 11.4 - 11.9 - 12.0 - 11.2 - 11.3

 まずは中山牝馬S勝ちから振り返りたい。個人的にはこの内容自体は距離が延びた方がいいだろうなという競馬ではあった。かなりのスローというのもあるが向こう正面のL5から11.4と加速して3~4角で緩んでの直線再加速という流れの中でL1が11.3だからね。これだけだとわかりづらいけど、後半1000が57.8という速い中で緩みがあってL1で11.3と最速に近いラップを坂の登りで出せていると言えば後半の素材面が相当求められていて、底も見せなかったというのが伝わるかなと。風は東南東からなので3~4角中間地点が完全追い風。

 8番枠からやや出負け、そこから軽く促しつつ中団馬群の中目に入れて進めていく。道中もスローの流れだが、中目から外に誘導しながらエイシンチラーの後ろで3角。3~4角で前がペースを落としてというところで中団の外からじわっと進出、4角出口では好位列まで押し上げて楽な感じで直線左手前に。序盤で2列目付近からすっと伸びてここで一気に先頭列。L1の坂の登りで食らいつくストーリアをここで離して1馬身1/4差の完勝。

 ここは結構特殊な競馬になったとは思っている。2段階加速だが向こう正面で11.4と結構ペースアップしたし、3~4角が割と急な内回りの中山だとこれでなかなか速度を前が維持できなかった感じ。ここで外からスムーズに押し上げてコーナリングで大きく減速せずに進めて4角出口までに結構差を詰めてきた。L2で恐らく最速ラップをこの馬自身も踏んでいると思うし、L1は減速しているが、それでも坂の登りで11.3でまとめているのは立派。この馬自身の800通過が大体49後半ぐらいなので後半1000を56秒台に入れている可能性が高い。馬場自体は軽かったと思うが、それでもこの中山内回りで後半1000で56秒台というのは結構なインパクト。ちなみに宝塚記念では気になりつつも印を打たなかったんだが、ペースが上がらない方がいいので本質的には阪神2200向きじゃないだろう、という適性的な評価だった。むしろ有馬記念の方がいいだろうなと。

宝塚記念(GI)2着

阪神芝内2200m良 17頭3枠6番
風向き:南南西2.8m/s(豊中市15:40)
2:11.2(+0.0) 58.9-59.9 H^1
12.4 - 10.5 - 11.1 - 12.6 - 12.3 - 12.4 - 12.5 - 11.9 - 11.7 - 12.0 - 11.8

 宝塚記念では2着だし、イクイノックスに対してラストで食らいつくクビ差。正直、レースが終わって捌き次第では勝てたかもな…という状況ではあった。ペースはややハイだが最初の3Fが34.0と阪神2200あるあるで極端に速く、1~2角で緩んで帳尻合わせ。中盤以降は緩んでいるので、正直前のレースメイクが下手だった一戦となる。まあ1角までが長いコースでスタートから下っているので難しいんだが。風は南南西からなので4角地点が完全向かい風。

 6番枠からやや出負け、二の足もイマイチで序盤は促しつつ追走も後方、最終的には抑えて最後方まで下げる。1~2角でペースダウンしてからは全体の流れも落ち着いてそこで脚を温存しつつ最後方の内で3角に入る。3角で外に誘導しつつ仕掛けを待ちながら後方馬群の外目のスペースを一気に押し上げ、4角ではスペースを詰めてきて出口で進路を取れずに直線左手前に。序盤で外に出したかったが難しく切り替えて中で3列目。L1でここからぐんと伸びて最後は外のイクイノックスに接近もクビ差の2着まで。

 ここはちょっと惜しかったかな。4角で外に出し切れていたらなあというのはある。最序盤だけやたら速く、中盤以降はゆったり目で前も消耗していたのでコーナーで上がってこなかったという展開だったと思う。先に外からスムーズにスピードに乗せてきたイクイノックスの伸び始めがL2で良かったし、こちらは捌けずに一列下がってからの中目の進路取り。ラップ的に見てもL2-1で加速している中でこの後手はちょっと痛かったと思う。ラストはラップ的にも落ちていない所から1馬身半差ぐらいをクビ差まで詰めているので余力はあったな、という感じでもったいなかった一戦ではある。ただイクイノックスに僅差というのはインパクトは大きいが、正直この展開のイクイノックスはそこまででも無いとは思う。実際ディープボンド物差しで考えれば昨年のタイトルホルダーとディープボンドの差の方が大きいぐらいだからね。個人的にはイクイノックスはこの展開でも崩れず勝ち切る力は示したけど、ベストの条件ではなかったと思うので、そこまでこの展開での評価をしない方がいいかもしれない。まあそれでもジャスティンパレスやディープボンドを撃破できているし、グループAには確実に入ってくるとは思うけどね。極端に最序盤が速すぎて先行馬が全滅しているし、中弛みからの追い込み天国の展開ではあったと思うので、そこが嵌ったうえで進路で嵌り切らなかったという感じの評価。

日本海S(3C)2着

新潟芝内2200m稍 13頭7枠10番
風向き:南南西3.6m/s(新潟市15:50)
2:14.4(+0.0) 62.1-59.7 S^2
13.0 - 11.0 - 11.5 - 12.9 - 13.7 - 12.6 - 12.4 - 12.3 - 11.8 - 11.5 - 11.7

 昨年夏の新潟、日本海Sでは内回りの2200m戦で稍重、総合力が求められた中でジリっと2着までだった。かなりのスローでラップ的にもL2最速と4角出口から直線前半が最速。風は南南西からなので3角地点が完全追い風に。

 10番枠から五分のスタート、そこからはコントロールしつつ好位の中目で我慢しながらの競馬となる。向こう正面でも手綱を引きつつコントロールして好位の外。3~4角でじわっとペースが上がっていく流れの中で好位の中目で包まれて中団に近い位置で直線右手前に。序盤で進路を中目に取るが反応が甘い。L1でジリジリと伸びてくるが、外から伸びていたロバートソンキーに最後はアタマ差見劣っての2着だった。

 個人的にここの敗因はギアチェンジにあるかなとは思っている。ペース自体が遅かったし、内回りでコーナーがそこそこきついのでそこまで上げられない新潟。この感じで中団で我慢しながら直線で動けって言うところで反応し切れなかった。L1も11.7なのであまり落ちていないけど、そこから3馬身ある所をアタマ差で時計差なしだから0.5ぐらいは詰めていると思う。この馬自身ラストはレースラップ逆算で11.2~3で多分加速ラップ。外から先にスピードに乗せていたロバートソンキーの方が伸び始めが良くてL2での伸びの差が出てしまったかなという感じやね。ラストの脚色は良かったので出し切れてなかったかなと。中山牝馬Sでもあの形で外から外からで追い越し車線からスピードを殺さずに最後まで伸びて後半の素材を高めているので、後半勝負ならエンジンをしっかりとかけ切ってやる意識が必要な馬なんだろうなと。

凱旋門賞2023への展望

 まあ海外の馬がどの程度か?ってのは今年はそんなに見てないので何ともだが、ひとまず日本馬としてある程度可能性のある馬が出てくれたとは思う。それと、中山牝馬Sの感じからもロンシャンなら良馬場の方が良いとは思っているので、今年の晴れ予報はスルーセブンシーズにとっては幸運と言っていいだろう。タイプとしてはトップスピードの質の高さで勝負するよりはロングスプリント的に長く速いラップを維持してくるという印象。

 パリロンシャンは馬場が軽い時もあるし、そうなると直線勝負では意外と10秒台の速いラップを求められることもある。凱旋門賞の時期はどうしても雨が普通なのでなかなか見られないけど、前哨戦のフォワ賞、ニエル賞、ヴェルメイユ賞の時ではラップ的に速いケースも。個人的にはそこまで極端なドスローで究極レベルのギアチェンジ、トップスピード戦ではない方が良いとみているのでその辺はカギ。オープンストレッチ狙いで内内で我慢して要所でスッとというより、多少ロスがあってもフォルスあたりからじわっと外から進出していく方が本来は面白い。まあでも凱旋門賞で普通に乗っても難しい、相手も手ごわいと考えるならリスクを覚悟で内内に潜んでとも思うが…それでも基本オープンストレッチ狙いだとある程度の位置は欲しいし、要所での動きが甘いのは確かでそれができるか?となると現状のスルーセブンシーズでは良くて中団だろうからなあ。5番枠で結構入りは難しいと思うので、後は狂気のステイゴールド系の爆発力と展開の運が味方することに期待かな。

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