香港カップ 2020 出走予定馬:ダノンプレミアム&ビュイック騎手想定
第34回 香港カップ(GI)出走予定馬展望
日程:2020年12月13日(日)
コース:シャティン芝2000m
予想用・出走予定馬一覧
ダノンプレミアム(ビュイック騎手想定)
GI勝ちも2歳の朝日杯フューチュリティステークスまで、なかなか次のGI勝利が遠いダノンプレミアムが香港カップに出走予定だ。相手は強敵が犇めくが、持ち味の器用さを活かすには最高の舞台と言って良い。コロナ禍で難しい状況の中での挑戦だが、なんとかここで大きなタイトルをもって日本に堂々と帰りたい。
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天皇賞秋は馬場が結果的に高速化したこともあったし、ロングスプリントの競馬に自ら持ち込んでしまった。速いラップを踏むには完全に無酸素運動に入れないといけないタイプだし、良い脚は一瞬しか使えないからああやって高速馬場で分散して早めに仕掛けると難しい。本仕掛けをL2まで待ちやすいシャティンに変わるのは個人的には最高に近いと思っているので、とにかく前目内目でスロー、仕掛けを待てれば一瞬のギアチェンジはトップクラスだから期待している。
金鯱賞(GII)1着
中京芝2000m稍 13頭1枠1番
2:00.1 61.0-59.1 S^2
12.7 - 10.8 - 12.1 - 12.5 - 12.9 - 12.3 - 12.2 - 11.6 - 11.3 - 11.7
まずは昨年の金鯱賞勝ちを振り返るべきか。古馬となってからはリスグラシューを撃破したこれがベストバウトだと思う。ペースは2秒でかなりのスロー、稍重でややタフな馬場ぐらいには入っていたかな。その中でのL2最速で11.3。ここでしっかりと加速して抜け出す脚を引き出してきたのが強み。
1番枠から好発を決めて楽に先行、外から各馬が主張してきたので行かせて3列目の内ポケットでっす埋めていく。道中も3列目で前から離れた位置でドスローの流れに我慢。手綱をひいてはいるがしっかりとコントロールして3角へ。3角でも3列目で進めて4角でギベオンの後ろから直線で外。序盤で2列目付近から追われてスッと反応してここで先頭に一気にたつ。L1で外から伸びてきていたリスグラシューの追撃を問題とせずの1馬身半差完勝。
ここがやはりダノンプレミアムの強さだと思う。時計自体は少し掛かるぐらいのほうが良いと思うし、そうなれば早めの仕掛けになりにくくなる。その中でワンテンポ待って前で仕掛けを受けて直線で追い出せばスッと反応するのでそこで抜け出すことが出来る。こういうタイプに求めたいのは、一瞬の良い脚をできるだけゴール板の手前で引き出して、抜け出すところで一気に突き放す。そういう競馬ができれば強いタイプ。この競馬だと4角地点でようやく加速ラップを踏んできたけど、L2の直線前半が最速になるのでここで良さが出てリードを広げればラストは減速しても踏ん張れる。この形にいかに持ち込めるかが重要かなと思う。
天皇賞秋(GI)4着
東京芝2000m良 12頭8枠11番
1:58.2(+0.4) 60.5-57.3 S^3
12.7 - 11.7 - 12.1 - 12.1 - 11.9 - 12.0 - 11.7 - 10.9 - 11.1 - 11.6
前走の天皇賞秋は逃げてレースを作っていたのだが、結局仕掛けが早かった。L3最速でロングスプリントの競馬になってしまった。まあL3地点はかなり速いしトップスピードもここで求められたとは思うが仕掛けが早過ぎたので減速基調になってからが甘くなるダノンプレミアムとしては厳しい競馬になった。
11番枠から好発を切ってそこから内に切り込みながら思い切ってハナを主張する。道中も逃げてペースをドスローに支配して単騎気味と決して悪くない状況。3~4角でもう少しじわっとペースを上げたかったが我慢して仕掛けを待つ。そうこうしているうちに各馬が一気に仕掛けてきて1馬身差で直線。ここで仕掛けて軍と反応して一時2馬身半まで広げる。しかしL2ではもうアーモンドアイが伸びてきて1馬身ちょっとの差。L1で失速して4番手に下がった。
この一瞬の反応を一気に使い過ぎないことが大事なんだが、あそこまでスローなら3~4角でもう少し早めに仕掛けて分散して本仕掛けをL2まで取っておきたかったなあという感じやね。3角からの軽めの仕掛けが緩かったので早めに取りつかれたことで本仕掛けを直線入りのL3地点でやるしかなくなった。抜け出す脚は流石なんだけど、L2では減速している。こういう競馬をしてはダノンプレミアムは難しい。一瞬の加速をいかにゴール板に近いところで引き出せるかだし、多少分散してもいい馬なのでもう少し5Fで分散してせっかく取っていたリードを簡単に詰めさせないように運んでほしかった。3~4角が緩かったので直線入りで仕掛けざるを得なかったので。まあもちろん難しいバランスなので川田は責められないんだけど、こういうタイプの馬はノリで見たいのは間違いない。
クイーンエリザベスS(GI)3着
ランドウィック芝2000m不 12頭3番枠
2:07.4(+0.5) 65.02-61.61 S^2
14.31-12.16-12.86-12.67-13.02-12.80-12.52-12.31-11.79-12.19
3走前のクイーンエリザベスSでは3着と完敗。ただ、結果的に見てL2では一瞬良さを見せたことと、加えて敗れた相手のアデイブが同じようにタフな馬場の英チャンピオンSでマジカルを破っているんだよね。この辺を踏まえるとそんなに悲観しなくていいんじゃないの?と思っている。ペースは日本式に補正して64.0-61.6ぐらい、かなりのスローからのL2最速戦で11.79とある程度現実的なラップだが、それでも日本の馬場と考えれば遅めのラップ。
3番枠から好発を切ってきたが外の各馬を行かせて控えて好位で進めていく。道中も割と淡々とスローの流れの中で2列目から少し離れた中団に近い位置でコントロールしながら進めていく。前が単騎気味の中で中団外でコントロールして3角でも仕掛けを待つ、4角で中団外から押し上げながら早めに仕掛けてというところで外を回して直線。序盤の最速地点で一気に延びてここで先頭列付近まで一瞬食らいつく。しかしその一瞬が終わると後は減速、最後は内からベリーエレガントに交わされて3着まで。
まず悲観する必要はない、というのが勝ち馬がアデイブで前述している通りで同じように道悪のスローの流れだった英チャンピオンSでマジカルやスカレディ相手に完勝している。また、2着のベリーエレガントが今年のコーフィールドカップを制していて、この相手がアンソニーヴァンダイク。で1馬身半ほど差をつけている。つまり、相手関係は結構強敵だったとみて良い。その中で、騎乗にも不満がある。前述している通りとにかく使える脚が一瞬しかない馬なので変に後ろから溜めたところで押し上げるのに脚を使って終わってしまう。ここでは4角で仕掛けざるを得なかったがここでは12.31とある程度の流れまで上がっていたしそこでロスがあった。そこから直線最速地点までは差を明確に詰めているのだが後ろ過ぎて半馬身差ぐらいまで差を詰めるところまでで終わっている。そうなると減速に入ってからの踏ん張りが甘いダノンプレミアムでは踏ん張り切れない。スローなら前目を取ってしっかりと一足で抜け出しちゃう。そういう競馬を意識できないと…というのはある。ただ、個人的にはかなり強い競馬をしているし、やはり2000ぐらのほうが良いタイプの馬だと思うね。安田記念みたいになると急かされて前半で無理が生じているから。
香港カップ2020への展望
ウインブライトがシャティンだと別馬に変わるので何ともだが、日本馬で一番期待できるのはダノンプレミアムかなと思っている。シャティンだとまずそこまで前半からゴリゴリにはならないし、ダノンプレミアムも平均ペースぐらいまでで2000なら対応できると思う。ただし、ベストはやはりスローで適度に時計が掛る状況、そしてL2最速でしっかりと加速が求められる競馬が望ましい。小頭数で番手外から2列目内がベストポジションだと思うし、そこを確保してスローの形に持ち込めればかなり面白いと思っている。今の府中だと高いレベルではロングスプリントになってしまうので、香港のほうがフィットしそうな感じはするし、シャティンの適度な標準~やや高速ぐらいの馬場が多分ダノンプレミアムにとっては一番走りやすいバランスになると思う。早仕掛けが大好きなエグザルタントが香港ヴァーズに向かってくれたのも好材料。
後は相手関係だが、まずシャティンの馬場はフィットしそうという前提の上で、マジカルよりは適性的に良いと思うんだよね。英チャンピオンSでマジカルはスローの流れで伸びあぐねていてアデイブに完敗。このパフォーマンスはダノンプレミアムのクイーンエリザベスSとの比較で見ても大差はない。まして今回は馬場がダノンプレミアムにとってはお誂え向きなら…と思っている。日本馬との比較で見てもノームコアは札幌記念がまあまあ強いんだけど、あの展開だとラッキーライラックは甘くなるし、2着がペルシアンナイトと考えても正直そこまで評価は出来ない。ウインブライトはいい馬だけど今年はメンバーが昨年以上だと思っているので香港仕様で考えても少し評価を下げたい。出来れば内枠が欲しいが、タイムワープを追いかけながら前目を取れるだけのゲートセンス、二の足は持っているし、拘らないかな。ここいらでそろそろこの馬の一瞬のギアチェンジが爆発してほしいんだけどね。
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