【※無料公開対象】金鯱賞 2022 出走予定馬:ジャックドール&藤岡佑騎手想定

第58回 金鯱賞(GII)出走予定馬展望

日程:2022年3月13日(日)
コース:中京芝2000m

ジャックドール(藤岡佑騎手想定)

 昨年秋から破竹の4連勝で白富士ステークスを制してきた快速ジャックドールが金鯱賞に出走予定だ。重賞こそまだ制していないが、連勝街道をひた走っての金鯱賞参戦となればサイレンススズカの面影もちらりとのぞかせる。偉大なる快速馬の思い出を掘り起こす走りを中京2000で見せられるかに注目だ。

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 東京でも白富士Sではペースをある程度引き上げながらも後半のロングスプリントを維持する形で1:57.4と好時計。後は中京の坂スタートでペースがどうなるかやね。坂スタート自体は問題なく進めているし、主導権を取れる可能性は高いかなと思っている。

白富士S(L)1着

東京芝2000m良 14頭3枠4番
風向き:南東4.4m/s(府中市15:50)
1:57.4 59.4-58.0 S^1
12.8 - 11.3 - 11.8 - 11.8 - 11.7 - 11.8 - 11.5 - 10.9 - 11.4 - 12.4

 まずは前走の白富士S勝ちから振り返りたい。東京の2000m戦で開幕日でもありかなりの高速馬場状態だった。その中でペースはややスロー、ラップ的にも中盤緩まず11秒台後半からのロングスプリントだが、L3最速で10.9とトップスピード面もある程度求められた。L1は12.4とかなり落としている。出し切ったなという感じの競馬で好時計。風は南東からなので4角地点が完全追い風。

 4番枠からまずまずのスタート、少し外によれたがすっと花を取り切る二の足の良さ。道中もある程度促しつつペースを落とさず11秒台後半でキープして縦長気味で3角。3~4角でも余裕を持って、4角で軽くペースを引き上げながらも馬なりに近い形で1馬身半差で直線。序盤で右手前に換えてそのまましぶとく2馬身差に広げる。L2でも踏ん張っていてここでは3馬身差まで広げてくる。L1でピッチが落ちてしんどそうだが、それでも右手前を維持してアドマイヤハダルの追撃も1馬身半差で振り切った。

 とにかく基礎スピードをある程度高いレベルで見せてコントロールしながら後半を58でまとめてくるというえげつなさ。L1はかなり落としたし映像的にもかなりピッチが落ちたので、流石にしんどかったとは思う。それでも後続もこのペースで進められてはなかなか息を入れられないし後半の素材面を引き出せなかったという、ちょうどいいバランスだったと思う。時計的には馬場がまだこの時点では軽かったのでそこは難しいが、1:57.4を逃げて出すのはなかなか難しいからね。後半型の素材を高いレベルで見せながらというのは評価して良いと思う。モーリスの仔なので瞬間的な勝負をするよりこうやってタフな競馬に持ち込んだ方が良いだろうなというのは感覚としてはあるかな。アドマイヤハダル相手にこの競馬ができていると考えても十分評価して良い。

浜名湖特別(2C)1着

中京芝2000m良 8頭7枠7番
風向き:南南東3.4m/s(大府市14:20)
2:01.5 64.3-57.2 S^7
13.5 - 12.0 - 13.1 - 13.2 - 12.5 - 12.3 - 11.7 - 11.1 - 10.8 - 11.3

 3走前の浜名湖特別が中京2000での競馬となったがドスローの決めて勝負で普通に強かった。L2最速で10.8とトップスピードの質ももちろん求められたし、坂の登りでのギアチェンジも求められた一戦。まあここは南南東からなので、4角地点では追い風という中京的にはいつもと逆の風だったというのもあるかなとは思うが、それでも優秀な反応だった。

 7番枠から坂スタートで好発、馬なりに近い形で内に切って楽にハナ。道中もドスローで進めて折り合いつつ後続を引き付けながら3角。3~4角の下りでも楽な感じで加速しながら4角で11.1と馬なりである程度速いラップに持って行って1馬身半差で直線。序盤で右手前、追われてすっと伸びるがそれでも1馬身半差とノースザワールドに食らいつかれる。L1で左手前に換えてここで引き離しての3馬身差完勝。

 ここは面白い競馬だったかな。ドスローでとはいえモーリス産駒は完全無酸素運動を維持する能力が低い馬が多かった。それでもここで直線坂の登りでしっかりと加速できたし、ノースザワールドには瞬間的にはちょっと見劣ったかもしれんがL1で左手前に換えて11.3と大きく落とさずまとめてきたのは好感やね。ただ、正直本当に高いレベルだとトップスピード戦で切れる馬は多いからね。今回はタイプ的にそこまでスローのトップスピード戦でかみ合う馬が少ないので大丈夫かなとは思っているけど、GI戦線を見据える上ではちょっと意識しておきたいね。

プリンシパルS(L)5着

東京芝2000m良 14頭1枠1番
風向き:南4.0m/s(府中市15:50)
1:59.9(+0.6) 60.3-59.0 S^1
12.8 - 11.5 - 11.4 - 12.0 - 12.6 - 12.8 - 12.2 - 11.1 - 11.2 - 11.7

 買ったところばかりになるのもあれなのでプリンシパルSの負け方も見ておきたい。まあこれは三浦が乗っているというのが良くわかるラップだったなと思う。ぺーズはややスローだが、中盤で不必要に落としているなあと。L5が12.8なので3角地点で緩い流れになり過ぎたしそこで引きつけ過ぎた。直線でのトップスピード戦でこの時点では苦戦したけど前半の入りがそこそこ速いうえに中盤が遅すぎたのが痛いね。風は南からなので3~4角中間地点が完全追い風。

 1番枠から好発を切ってそこから楽にハナを取り切る。前半は35.7とそこそこの流れでペースを作っていくが、3角手前で2列目が下げたこともあってそれに合わせてペースを落としてしまう。ここで映像的にも一気に凝縮し始めて、4角ではもう外から各馬に詰められて徐々に仕掛けながらクビ差ほどで直線。序盤で追い出して右手前でしぶとく踏ん張るがバジオウに先頭列に並ばれる。L2では左手前に戻してひと踏ん張りしたいが徐々に後退し3/4差ほど。L1では明確に下がって3列目争いからも遅れての5着。

 この負け方がモーリスっぽいなというのと、そのうえで三浦のレースメイクは下手だなというのと。下手な騎手ほど相対的に見てしまうから3角で縦長で後ろが控えた段階で抑えなきゃってなっちゃうんだろうなと。あそこで普通に単騎に持ち込んでいたら違ったんだろうけど、まあそれはここでは置いておく。いずれにせよ直線でのトップスピード戦で前半で脚を少し使いつつ中弛み過ぎたとはいえL2の半ばで甘くなっていることを踏まえても、この時点では無酸素運動を維持する能力は低かったと思う。ロングスプリントという点で見て右手前でそこまで速いラップを維持しきれないのかな、というのはあった。まあ3走前の浜名湖特別では長く脚を使ってきたんだけど、後半特化だからこそという感じはあるし、2勝クラスと考えると切れでそこまで圧倒できたほどでもない。前走の白富士Sは強かったがL1はやはりラップ的にも減速している。個人的に甘くなるとしたらスローのヨーイドンかな…という感じ。

金鯱賞2022への展望

 基本的にはモーリス産駒らしいイメージで良いと思う。3走前の浜名湖特別だけ例外的に完全無酸素運動特化でL1で離す形になったが、2着のノースザワールド自体が2勝クラスを勝ち上がれていない(2着続きだが)こと、3着以下のレベルと考えてもちょっと他との比較が難しい。府中の2戦ではいずれもL1はちょっと甘いというのはラップ的にも見せてしまっている。このレベルまでくると、極端なトップスピード戦では無酸素運動の持続力の問題でL1の甘さが懸念されてしまうかな。

 むしろ前走を見ても感じるがある程度前半の基礎スピードを求めさせた方が良いタイプだと思う。ペースをある程度引き上げても後半の末脚の質量をそこまで落とさない。だから後続の脚を削ぐ競馬の方が良いだろう。もちろんパンサラッサみたいな基礎スピード特化とは思っていなくて、バランスが重要。前半を62とか坂スタートで楽にハナを切れたからと言って緩めすぎると?というのはあるが、60-59ぐらいのイメージで運んでくれればやね。坂スタートでもポンと出ているし、レースの主導権は取れる可能性が高い。レイパパレもある程度引き上げたいだろうが、川田だからそこまであてにはしづらい。変にペースを落とし過ぎる方が怖いけど、それでもトップスピード戦で差ほど…という馬が上位だからね。自分としてはここは楽しみの方が大きいかなと思っている。本命も含めた重い印候補。

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