FXの三尊天井(トリプルトップ)・逆三尊(トリプルボトム)とは?ヘッドアンドショルダーズを狙ったトレード手法や注意点を解説
FX取引では、いかに相場の先行きを掴むかが勝敗の分かれ目です。
中でも相場が転換するタイミングが分かれば、大きなエントリーチャンスが生まれます。
そこで有名なのが、三尊天井や逆三尊。
それぞれトリプルトップやトリプルボトムの一種で、ヘッドアンドショルダーズとも呼ばれており、FX相場の転換を示します。
適切なタイミングでエントリーや決済をすれば、高い確率で利益が望めるチャートパターンです。
三尊天井や逆三尊は比較的よく発現し、予測精度も高い事から、多くのトレーダーが注目しています。
しかしそれゆえ、「だまし」に合ってしまう人も後を絶ちません。
そこでこの記事では、判別に必要なネックラインの捉え方、エントリーや決済を行うタイミングなどを詳しくお伝えします。
ぜひ三尊天井や逆三尊を使いこなしたトレード手法を身に付けてください。
三尊天井(トリプルトップ)とは
三尊天井とは、チャートパターンの1つで、それまで上昇していた相場が一転し、下降していく転換の際に現れます。(ヘッドアンドショルダートップとも呼ばれる)
3つ並んだ山の形が見つけやすい事もあり、テクニカル分析では広く知られた存在です。
チャートの高値圏において単純に山が3つ並んだ形をトリプルトップと言いますが、中でも中央の山が最初の山より高かった場合、それを特に「三尊天井」と称して区別します。
実際にチャートの模式図を見て説明しましょう。
三尊天井の形とできる理由
三尊天井では相場が上昇して高値を付けた後、ロングの決済やショートのエントリーを受けるなどして、1回値が下がります。①〜②
しかしそれでも上昇の勢いが強く、再び上昇して2つ目の山を形成。③
ここで前回の高値を更新しますが、再び売りの圧力に負けて値を元の位置に落とします。④
このまま落ちれば「ダブルトップ」の変形となりますが、三尊天井では三度、値を上げ3つ目の山を形成するのが特徴です。
しかしそこでも勢いは続かず、結局、2つ目の山の高値を更新する事ができないまま落ちていきます。⑤
これが三尊天井のパターンです。
こうしてできた山の形が、日本では仏像(釈迦の左右に菩薩が配置された三尊像)が並んだ様子に似ている事から、「三尊」という名前が当てられました。
一方海外においては、中央の山を頭に、左右の山を肩に見立てて「ヘッドアンドショルダートップ」と呼ばれるのが一般的です。
また3つの山に挟まれた谷に当たる部分を「エッジ」、そこで底辺となっている折り返しの価格帯を「ネックライン」とも称します。
さて、三尊の形において3つ目の山が最高値を更新できなかったのは、そこから上に行くエネルギーが足りなかったからです。
すでに2回に渡る上昇チャレンジで、ロングの決済やショートのエントリーなどが進んでいます。
言ってみれば弾切れの状態に陥り、勢いが削がれて3度目の挑戦に失敗した状況です。
それを見ている人からすると、高値圏でチャレンジが3回続けて失敗、しかも3回目の勢いがない事から「ここが天井ではないか」との予測が成り立ちます。
すなわち、この時点で相場のトレンドが上昇から下降に切り替わる可能性が高いのです。
特に3つ目の山から下降してきた価格が、2回連続で下降を跳ね返してきたネックラインを割ってしまうと、回復が難しくなる重要な局面になります。
このように三尊天井の後、相場が下降へ向かう可能性や圧力は、同程度の山が3つ並んだ単純なトリプルトップや山が2つのダブルトップより高くなると言えるのです。
三尊天井におけるネックライン
三尊を分析・検討するに当たって最初に必要となるのが、ネックラインを引く作業です。
チャートにおいては「ヘッド」と「ショルダー」の間にあり、「首=ネック」のように見えることから、この名前が付いています。
ネックラインは、トレンド転換したかどうかを見極めるために使われます。
三尊のチャートパターンでは「完成した」という表現がよく使われますが、チャートに山が3つ出現しただけでは「完成」とは見なされません。
ネックラインを割り込んだ時点で、初めて完成したと言えるのです。
ネックラインとは、先ほども説明したように、3つの山の底辺で折り返しとなっている価格帯。
そこまで落ちてきた価格が再び上昇に転じたポイントを結んでできた線、およびその延長線上を指します。
ネックラインを割り込まないうちは、相場の成行きはまだまだ流動的。
上に行くとも下に行くとも言い切れません。
つまりラインを割らずに相場が上がれば三尊天井は未完成に終わり、ラインを突き抜けて下がれば完成するという事です。
テクニカル分析的に説明すると、反発していた価格帯であるネックラインは、相場の下限を支える支持線(サポートライン)に当たります。
支持線は相場上昇への圧力として機能しますが、反発できずに割り込むと、今度は価格の上限を抑える抵抗線(レジンスタンスライン)へと変質します。
結果、相場の下降圧力として機能しはじめ、トレンドは上昇から下降に切り替わったと言えるのです。
なお、チャートでは自動的にネックラインが表示されるわけではありません。
実際には、取引ツールに用意されている機能を使って、自分でラインを引く事になります。
三尊天井のエントリーポイント
三尊天井におけるエントリーポイント(売り)はいくつか想定されます。
一番シンプルなのは3つ目の山が出来た後に価格が下降し、そのままネックラインを割り込んだ時、つまり三尊天井が成立した時です。①
それより早い時点では、そもそも三尊が完成していないので、エントリーを判断するには早すぎます。
どんなに早くても、明確にネックラインを下回るまで、手を出すべきではありません。
ただしこのポイントでエントリーした場合、その直後に反発するリスク(だまし)もあるので、注意が必要です。
ネックラインの近辺では、上げたい勢力と下げたい勢力が戦っています。
その勝負の結果が明らかになってから、勝者に付けば良いのです。
確実性を優先するために、ネックラインの少し下、ある程度の値幅の余裕を持たせた地点に指値でショートを入れましょう。
また、いきなり予算全額ではなく、以下の機会も使って分散させると良いでしょう。
次にチャンスとなるのは、一旦そのまま価格を下げた後、再びネックラインに向かって小さく反発してきた時です。②
それまで支持線だったネックラインが今度は抵抗線となるので、そこですかさず売りを入れます。
すでに価格帯は分かっているので、先ほどと同じく指値を入れておくのがおすすめです。
一度下がってから反発してくる必要があるため、いつも使える手ではありませんが、はまれば下記のような理由で有利なエントリーが出来ます。
まず、ネックラインを割った地点(①)と戻ってきた地点(②)は、基本的に同じ価格です(ラインが水平でない場合はズレが生じます)。
そして、①では確実性のためラインの下でエントリーしますが、②では三尊天井が完成しているので、ラインちょうどでエントリー。
そのため、取れる利幅の期待値は、①と同等かそれ以上。
しかもトレンドが下向きに転換している可能性が強いので、勝率も①より期待できます。
さらに確実さを求めるならば、戻り目からの再下落を待ち、安値を割った所にショートポジションを立てましょう。③
①や②よりも利幅は減りますが、順張り方向でうまくエントリーできるチャンスとしては、最終便かもしれません。
②をエントリーポイントにする場合、ネックラインまで価格が戻らないと指値が刺さりませんが、③はそこまで強い反発は必要ないのが特徴です。
ただし十分に確認できる小反発がなく、まっすぐ落ちていく場合は使えません。
もちろん下降相場とは言え、ここから反発する可能性もあるので、損切りもしっかりしておく必要はあります。
損切りについては、次のパートで説明するので、よくお読みください。
さて、おすすめはできませんが、攻撃的な手法として三尊が完成する前にエントリーする方法もあります。
正確にはただのギャンブルですが、3つ目の山ができた時点で完成を見越し、ネックラインへの到達を待たずにエントリーするのです。
三尊が完成しなかった場合の損切り設定をしっかり行い、負けても問題ない範囲でエントリーすると、当たれば大きい勝負ができます。
ただ他の確認材料と合わせ、「ここから下げ相場になる」と強く判断できた場合のみに留めるべきでしょう。
どこでエントリーするのが良いかは、その人の性格やトレードスタイル、相場の状態によっても変わってきます。
エントリーポイントの分散もリスク回避に役立ちますので、総合的に判断するようにしてください。
三尊天井の損切りポイント
どこでエントリーをするにしても、事前に損切りラインを必ず決めておきましょう。
特に三尊天井は、トレンド転換を前提としたエントリーになるので、逆目に出ると大きな損失になってしまいます。
損切りポイントの候補もいくつかあるので、下の図をご覧ください。
まずはネックラインまで落ちた相場が再び上昇、3つ目の山で高値を付けた地点です。①
ここを超えてしまうようだと、三尊の形は完全に否定され、トレンドの転換はなりません。
むしろ勢いを増して上昇していく可能性もあるので、ここで損切りをしないわけにはいかないのです。
ただしネックラインの付近でエントリーをしたり、山に高さがあったりすると、損切り幅が大きくなってしまう場合があります。
その場合、抵抗線となるネックラインの少し上辺りも、損切りポイントの候補になるでしょう。②
ここを超えるという事は、ネックラインが抵抗線として機能せず、上昇傾向に戻ると見なせるからです。
もう1つのポイントは、テクニカル分析の波の見方を利用します。③
波の上下が、前の山の1/2を超えたら上昇し、超えられなかったら下降するというものです。
つまり、3つ目の山の半分以上に値が戻ったら、三尊天井が否定されて上昇トレンドが続く可能性が高くなります。
そのため、山の半分程度を目安に損切りポイントを置くという事です。
三尊天井の決済ポイント
最終的に利益を確定させるポイントはどこを想定すればよいでしょうか?
多くの人が目安にしているのは、2つ目の山の高さと同じ分だけ、ネックラインを割り込んだ辺りになります。①
ここはショートで入った人が利確をしたり、反転しての上昇を狙うロングなど、買いが入りやすくなる価格帯です。
そこまで落ちる事を想定してあらかじめ指値を入れておけば、一定幅の利益を確保できるでしょう。
ひとまずここを本命の決済ポイントとしておいてください。
テクニカル上、もう1つの目安になるのが、ネックラインを割った後に反発した際に出る1つ前の安値です。②
ここは先ほどエントリーの最終便として紹介した価格帯と同じ場所で、基本的には下落を見込んでいます。
しかし同時にここで反発する可能性もあるため、エントリーするなら確実にラインを割ってからという説明でした。
実際に反発してしまう事もあるので、ここで利確をしておくと安心できます。
反発ラインが浅い場合、上の図のように本命よりも先に②の決済ポイントが発生します。
ここではあくまで安全策としての決済に留め、残りは本命用に残しておいた良いでしょう。
逆に反発ラインが深い場合、下の図のように、本命ポイントの方が先に来ます。
そこでポジションを全解消しても良いのですが、利益を伸ばすために一部に留める手も残っているでしょう。③
特に下落の勢いが激しい場合、あっさり①や②のラインを通過していく可能性もあります。
状況によっては途中で無理に決済せず、ポジションを持ったまま含み益を増やしていくなど、臨機応変さも求められます。
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逆三尊(トリプルボトム)とは
逆三尊はトリプルボトムの変形で「逆ヘッド・アンド・ショルダー」とも呼ばれています。
下げ相場が安値圏で底を打ち、そこから上昇していく転換の際に現れるチャートパターンです。
通常のトリプルボトムが単純な3つの谷であるのに対し、逆三尊では中央の谷が一番低く、左右の谷はそれより高くなっています。
また、単にチャートに安値が3つ続いだけでは逆三尊とはなりません。
逆三尊は高値圏でのトレンド転換である三尊天井の反対の形状をしており、エントリーポイントなどの考え方も同様です。
トレンド転換のサインとなるので、逆三尊が完成したら買いポジションを立てる事で、高確率で利益を狙えます。
逆三尊ができる理由
逆三尊の形成は、まずは下げ相場の局面で最安値を記録する事から始まります。
そこから一度は反発を受けるも、下落の勢いは止まらず、再び最安値をチャレンジ。
前回を超える最安値を付けますが、そこで勢いが止まり、値を元の位置まで戻します。
ここで2回に渡って値が反発した地点をつないだ線が、逆三尊でのネックライン。
そのまま上がれば「ダブルボトム」となりますが、再び値を下げ、3つ目の谷を形成するのが逆三尊の特徴になります。
三尊天井と同じく、逆三尊ではここで前回の谷の最安値を更新しない事が原則です。
最安値を更新すると、そのまま下げ相場が続くと判断されます。
最安値を更新しなかった場合、安値が切り上がる状態になるので、相場の向きがここから転換していく可能性が高まります。
そして上昇してきた価格が、それまで抵抗線として機能していたネックラインを超えると、逆三尊が完成したと見なされるのです。
逆三尊が形成されるプロセスでは、連続して最安値を試される中、ショートの決済やロングのエントリーが進んでいきます。
そのため下落させる売り圧力が弱まり、現実的にも3回目のチャレンジでは勢いがなくなり、最安値を更新できません。
そして反発後にはネックラインも超えてきました。
こうなると「すでに2回目の下げで底を打ったのでは」という観測が広がってもおかしくないでしょう。
その結果、相場のトレンドが下降から上昇に切り替わる可能性が高いのです。
逆三尊におけるネックライン
先ほども説明しましたが、3つの谷から戻った地点をつないだ線が、逆三尊でのネックラインです。
ネックラインを超えずに価格が下がれば逆三尊は未完成に終わり、ネックラインを超えて上がれば、完成したと見なされます。
ネックラインを超えないうちは、相場の成行きはまだまだ流動的で、上に行くとも下に行くとも言い切れません。
拙速にエントリーを判断すると失敗するので、注意しましょう。
逆三尊でのネックラインは、逆三尊の完成前は価格の上限を抑える抵抗線(レジンスタンスライン)として、完成後は下限を支える支持線(サポートライン)として機能します。
ネックラインは必ずしも水平とは限りませんが、エントリーや決済に関わる重要なラインとなるので、軽視しないようにしてください。
逆三尊のエントリーポイント
逆三尊では、3つ目の谷から反発した価格がネックラインを超えた時点が、基本的なエントリーポイントになります。①
ラインはあらかじめ引いておけるので、そこに指値で買いを入れておくのが定石です。
ただ、ライン上では「だまし」に合う可能性があるので、少し上にしておいた方が安全でしょう。①
またすでに逆三尊が完成してしまっている場合は、一旦上昇してからの反発を利用するのがおすすめです。
その場合ネックラインが支持線となっているので、そこまでの戻りを期待し、買いの指値を入れましょう。②
最初のエントリーポイント①では「だまし」に合う可能性がありますが、②では逆三尊が完成しています。
上昇トレンドに向かっている可能性がより高いので、①より勝率を期待できる地点です。
ただし価格がネックラインに戻ってくるとは限らないので、ここだけに集中するのはやめましょう。
ネックラインに戻らず上昇モードになった場合、相場は一本調子よりジグザクに進む形が多いため、最初の反発後の高値が参考になります。③
小さな反発から再び上昇した時、1つ前の高値を更新した地点でエントリーする方法です。
すでにネックラインを超えているので利幅は狭くなりますし、ここで再び下向きに変わる可能性もありますが、エントリーの最終便にはなるとしたらここでしょう。
また三尊天井と同じくおすすめはしませんが、逆三尊が完成する前にフライングする手もあります。
3つ目の谷ができた時点で、ネックラインへの到達を待たずにエントリーする方法です。
逆三尊の未完成に備えて損切りを設定、負けても許容できる金額に抑えれば、ハイリスクハイリターンな勝負ができるでしょう。
逆三尊の損切りポイント
三尊天井と同様、損切りポイントの候補は3つほどあります。
まずネックラインまで上がった相場が再び下降し、3つ目の谷も割り込んでしまった地点です。①
ここの安値が更新されてしまうと逆三尊は強く否定され、勢いを増して下落していく可能性も出てきます。
よってここでの損切りは必須でしょう。
ただネックライン上でのエントリーや、前回の谷がとても深かった場合など、損切り幅が大きくなります。
そのため、ネックラインと前回の谷との中間地点を割った辺りで一定額を損切りしておく手もあるでしょう。③
上げ相場が続くようなら、一時的な下降があっても、中間地点は割り込まずに反発する可能性があるからです。
また、ネックラインより下で早めにエントリーした場合、ネックラインを少し割った辺りも候補になります。②
逆三尊の完成を受けてネックラインが支持線となっているので、ここを割り込む恐れは低いと反面、割り込んだ場合はそのまま下降する可能性が高いからです。
逆三尊の決済ポイント
三尊天井と同じく、最安値を付けた2つ目の谷とネックラインの幅を、そのまま高値方向に当てた価格帯が決済ポイントになります。①
例えばネックラインが101円で、最安値が100円の場合、102円が利益確定の候補です。
ひとまずここを本命として、指値を入れておきましょう。
もう1つの目安が、ネックラインを超えた後、反発した戻り目で生まれる1つ前の高値です。②
ここは先ほどエントリーの最終便として紹介した価格帯と同じ場所で、基本的には上昇を見込んでいます。
しかし実際に反発してしまう事もあるので、ここで利確をしておくと安心できます。
もちろん上昇に力があれば、あっさりラインを超えて行くでしょう。
状況によってはポジションを解消せずに含み益を増やしていく事も考えましょう。③
実チャートにおける三尊の例
実際のチャートで三尊を検証してみましょう。
右の山が左の山より少し低くなっている三尊天井です。
エントリーポイントは、黒字の①〜③。
だましはありませんが、①に全額投入するのはやはり少しリスキーです。
ネックラインを割った後、戻り目が出ていますが、今度はネックラインがしっかり抵抗線となって何回もはね返しているのが分かるでしょう。
そのため②での追加エントリーが効果的になっています。
ここ(黒の②)を損切りラインにしてしまうと、抵抗線となっている所に指値が刺さってしまうので、設定するなら少し上にした方が良いのも教科書通りです。
そして抵抗線に跳ね返された後は、最終エントリーの機会でもある黒の③をアッサリ通過しています。
①②でエントリーしていた場合、ここで小さく利確するのも良いでしょう(赤字の②)。
その後、本命の決算ポイントである赤字の①に到達します。
一度もみ合いが発生しているのは、やはりここが1つの節目になるからでしょう。
この局面では、最終的に売り勢力が勝利して、さらなる下落で決着しました。
含み益を狙ってポジションを残した場合、赤の③かあるいは更に下まで、決済ポイントを伸ばせます。
三尊天井・逆三尊を狙ったトレード手法
ここまでは基本的な知識をお伝えしてきましたが、三尊天井や逆三尊を使ったトレードでは、それ以外に知っておくべき事もいくつかあります。
下記を参考にしてください。
ネックラインの角度を見る
ショルダーラインという言葉はない
複数の時間足を確認する
他の指標や理論も併用する
ネックラインの角度を見る
実際の三尊天井や逆三尊では、教科書通りの完全な形になるとは限りません。
むしろ崩れている方が多いので、理想通りの形状を求めていると、実践でつまづく事になります。
ネックラインを見ても、きれいな水平ではなく、角度が付く場合が多いでしょう。
ネックラインには大きく分けて、右肩上がりに伸びるラインと、右肩下がりに落ちるラインの2パターンが存在します。
右肩上がりを「切り上げ型」、右肩下がりを「切り下げ型」とも言い、三尊天井か逆三尊かで評価も変わるのがポイントです。
三尊天井の場合、ネックラインが右肩下がりだと勝率が高まります。
安値を切り下げており、全体的に下降基調と読めるため、そのまま下降トレンドに向かう可能性が高いからです。
逆三尊では逆に、右肩上がりの方が有利になります。
全体的に上昇基調の傾向となるので、そのままネックラインを超えて上がる確率が高いからです。
一方、三尊天井での右肩上がりや逆三尊での右肩下がりは、果たして本当にトレンド転換になるのか慎重に見ていく必要があります。
出来ればエントリーを見送る方が安全ですが、ピッタリ水平になる事はほとんどないので、多少の角度ならば無視してしまって大丈夫です。
ショルダーラインという言葉はない
ネックラインがあるのだから、ショルダーラインという言葉があっても良さそうですが、そうした用語はありません。
実際問題として、ネックラインの角度に比べて、左右のショルダーの角度はさほど重要ではないからです。
山の高さや谷の深さには囚われず、あくまで戻り値であるネックラインに注目しましょう。
ただしあまりに左右の高さが異なったり、山なのか山でないのか微妙な高さだったりすると、そもそも三尊なのかという疑問も生まれてきます。
ある程度は山の高さが揃っている、あるいは傾いている場合はネックラインも同じように傾いている、などが目安になるでしょう。
複数の時間足を確認する
相場のチャートは、時間足を変えると全く異なる様相を見せる場合があります。
つまりあるチャートでは三尊天井や逆三尊の狙い目になっているが、違うチャートではそうなっていない、という事もあるわけです。
その反対に、複数のチャートが有力なエントリーチャンスだと示していたら、信頼性は高まるでしょう。
まず確認したいのは、トレンドがどちらに向かっているか、より上位の時間足を見る事です。
例えば、15分足で三尊天井を見つけた場合、1時間足や4時間足などを確認します。
そこが上昇トレンドになっていたら、エントリーは控えた方が良いでしょう。
なぜなら相場が上がり続けている状態では、今後も上がり続ける可能性が高いからです。
仮に一時的に三尊天井となっても、再び反転して上昇基調に戻れば、損切りに至ってしまいます。
同様に逆三尊なら、上位の時間足を見て上昇トレンドなら買い、下降トレンドなら見送りがおすすめです。
つまり上位から見て逆張りではなく、常に無理のない順張りをしていく事が、長期的に資産を増やしていく秘訣となります。
他の指標や理論も併用する
時間足以外にも、三尊天井や逆三尊が信用できるかどうか確認できる方法があります。
それは、FXに関する他の指標や理論も併せて見る事です。
例えば、同じくトレンドの転換を示す指標として「MACD」があります。
MACDではゴールデンクロスやデッドクロスが見られると、そこでトレンドが変わった可能性が高まります。
そのタイミングが三尊天井や逆三尊と一致していたら、転換の信頼性も上がるでしょう。
他に「フィボナッチ・リトレースメント」もよく使われます。
フィボナッチリトレースメントはトレンドの始点と終点を結び、自然界のバランスから導いた「0.236、0.382、0.5、0.618、0.786」などの数値を使って、反発ポイントなどを示してくれる指標です。
これらを使って、決済や損切りのポイントを考える事ができます。
また、価格の動きを5つの上昇/下降波と、3つの調整波で説明する「エリオット波動」も、三尊天井や逆三尊と親和性の高い理論と言えるでしょう。
というのは、エリオット波動の中に三尊天井や逆三尊が見られる事があるからです。
具体的には、上昇のエリオット波動では三尊天井が、下落のエリオット波動の場合は逆三尊が形成される傾向があります。
実際、先ほどのチャートにエリオット波動を当てはめてみましょう。
三尊天井に入る前に、初動となる第1波の動きが見られる事が分かります。
そして最後の山は下降3波に対応するので、このような形になった場合、三尊天井の完成を待たない早めのエントリーも無謀とまでは言えないでしょう。
「だまし」を回避するには
FXをしていく上で「だまし」は常につきまといますが、三尊天井や逆三尊の場面でも、やはり避けがたい問題になります。
「ネックラインを割ったのに、なぜかスルスル上がって行った」「ネックラインを超えて上がると見せかけ、そこから下落する?」
相場はしょっちゅう、「どうしてそうなる?」と言いたくなる動きを見せます。
トレード手法で説明したように、ネックラインの角度や上位足に逆らわず他の方法も使って確認すれば、ひとまずの回避には役立つでしょう。
その上で、下記のような点に注意し、だましに合わないようにしてください。
指値の置き方
時間足のヒゲと実体
三尊の形が崩れている
出来高が急増したら要注意
指値の置き方
まず、だましの多くは「行くと見せかけて行かない」「行ったものの、すぐに戻った」という形で現れます。
前者の場合、ネックラインに触れたが、超えずに戻ってしまったというようなケースです。
指値をネックラインと同じ場所に置いていたら、即座に含み損が発生してしまいます。
これを避けるためには、まずネックラインから少し離れた場所に指値を置く事。
ただしその分、取れる利幅が狭くなるのがデメリットです。
上の例の場合、ネックラインを割ったにも関わらず、その後反転してトレンドが戻ってしまいました。
このようなケースを完全に避けるのは難しいものがあります。
エントリーポイントを単純にネックラインから少しズラすだけでなく、何回かに分けて段階的にエントリーする方法もあります。
そうすれば、一気にだましにやられる危険は減るでしょう。
時間足のヒゲと実体
それでも「行った後で戻ってきた」ものは避けようがなく、やられてしまう事があります。
これを回避するには、指値でエントリーするのではなく、目視&手動でエントリーするのも有効です。
その場合、時間足のヒゲと実体に注目しましょう。
ヒゲが伸びるのは、時間足の中での一瞬の出来事に過ぎません。
そのため、ネックラインを抜けたかどうかの判定において、十分な信頼性が置けるとは限らないのです。
確実なのは、時間足が閉じて実体が決まるまで、つまり終値が来るまで待ってからエントリーする事。
実体がネックラインを超えたらエントリーするという基準にすると、ヒゲがもたらすだましを回避できます。
三尊の形が崩れている
また、純粋なだましではありませんが、三尊天井や逆三尊の形がきれいではない場合にも注意しましょう。
例えば三尊天井で、最初の山と3つ目の山の高さが大きく異る形状です。
ネックラインに比べて、山の高さの違いはそれほど重要ではないというものの、やはり違い過ぎていると三尊の成立自体が怪しくなります。
下記の例だと、最後の山の成立が少々怪しい高さになっています。
三尊が成立していないなら、だましに合う以前に、勘違いに過ぎなかったという結果です。
また、ヒゲが乱雑でチャートが汚く、ネックラインの直線がうまく引けない場合も要注意。
ラインがしっかり出来ていないと、エントリーポイントにもブレが生まれ、だましに合う余地も広がります。
ラインによってはだましではないが、違う引き方をしたラインではだましになる、というケースも出るでしょう。
出来高が急増したら要注意
三尊天井や逆三尊の形成においては、前半のうちは出来高(時間当たりの価格変動の回数)が増えていく傾向があります。
しかし出来高は次第に減っていき、特に最安値や最高値のピークを過ぎる頃には、競っていた売りと買いが沈静化します。
これは、ポジションを持っていた人の決済や、新しくポジションを立てたい人のエントリーが、ともに一段落するからです。
それに対し、後半になっても出来高が増えていく場合、だましの可能性が高まります。
トレンドの転換を許さず、そのまま継続させる圧力となりうるからです。
そのまま三尊天井や逆三尊が拒否される結果となれば、損切りを巻き込みながら大きなだましになるでしょう。
三尊天井・逆三尊を狙うときの注意点
様々な角度からの分析を加え、万全とも言える確信を持ってエントリーしても、常に勝てるわけではありません。
ここでは三尊天井や逆三尊を狙っても失敗してしまうパターンや注意点をお伝えします。
経済指標や大きなニュースが控えていないか
ネックラインの効き目で否定か成立かを見定める
今は高値圏か安値圏か
今はトレンド相場かレンジ相場か
MT4で使えるインジケーター
経済指標や大きなニュースが控えていないか
三尊に限った事ではありませんが、大きなニュースや経済指標の発表が予定されている場合は、エントリーに慎重な姿勢を取りましょう。
それらが相場に及ぼす影響は、三尊天井や逆三尊が及ぼす影響よりも桁違いに大きい可能性が高いからです。
特に短い時間足を使ったトレードでは、短い間に相場が上下しやすいため、情報に左右される中でだましに合う危険があります。
ひとまずエントリーを見送り、そうした混乱が収まるのを待ってから、あらためてチャート分析に取り掛かりましょう。
ネックラインの効き目で否定か成立かを見定める
三尊のパターンが成立すると、ネックラインが持つ機能が変化します。
三尊天井では、それまで支持線だったものが抵抗線に、逆三尊では抵抗線だったものが支持線に変わるのです。
逆の見方をすると、ネックラインに機能変化が見られないなら、三尊天井や逆三尊は否定されていると解釈できます。
三尊天井ならば、抵抗線として振る舞うべきネックラインが、それまでのように支持線として機能していないか確認するのです。
例えば先ほどのチャートでは、ネックラインが依然として支持線のままになっています。
つまり三尊が否定されているわけです。
チャートを見て、ネックラインの機能が変わっていれば、三尊成立の証となります。
今は高値圏か安値圏か
三尊とは、トレンド変換を示すサインです。
ですから三尊天井を探すのであれば、高値圏でなくてはなりません。
同じく逆三尊を探すのであれば、安値圏である必要があります。
仮に高値圏で逆三尊のような形を発見し、今回の記事の内容を踏まえてエントリーをしても、うまくいく保証はありません。
今が高値圏なら三尊天井のパターンを、安値圏なら逆三尊のパターンを、探すようにしてください。
今はトレンド相場かレンジ相場か
三尊天井や逆三尊はトレンド変換を示すサインですから、当然ながら、トレンド相場の中で探すものです。
トレンド方向がハッキリした相場であればあるほど、強力な効果を発揮します。
ですから、もし今が上下の方向性がハッキリしないレンジ相場であるなら、仮に似た形状のパターンが出ても三尊天井や逆三尊として扱うのは危険です。
中には、今がトレンド相場なのかレンジ相場なのか、あいまいに見えるチャートもあるでしょう。
しかしその時点で、トレンドが明確になっていないのですから、三尊天井や逆三尊を使ったエントリーは避ける方が賢明です。
MT4で使えるインジケーター
最後に、記事中で紹介したMACDとフィボナッチ・リトレースメント、出来高をチャートに表示させる方法をお伝えします。
いずれもMT4が対象です。
MACDは、ナビゲーターウィンドウの「インディケータ」の中にある「MACD」をクリックします。
すると設定画面が出てくるので「OK」を押すと、チャートとは別ウィンドウで表示されます。
デフォルトで赤い線で示されるのがシグナル線と呼ばれるもので、灰色のバーがMACD。
両者が交わる部分が、ゴールデンクロスやデッドクロスです。
フィボナッチ・リトレースメントは、メニューバーの「挿入」→「フィボナッチ」→「リトレースメント」で選択できます。
そのままチャート上で、適用させたい部分を指定します。
下方向に当てたい場合は、安値部分にカーソルを当ててクリックし、そのまま高値部分までドラッグして離しましょう。
すると、高値部分を0、安値部分を100として、各数値ごとに単位と横線が表示されます。
下方向に当てたい場合は、この反対にカーソルを高値部分に当て、安値部分までドラッグすればOKです。
出来高の表示は、メニューの「チャート」の中にある「出来高」を選択するだけです。
この方法だと、シンプルなバーがチャート内に表示されます。
通常は、この方法で良いでしょう。
出来高の表示方法はもう1つあります。
メニューの「挿入」→「インディケータ」→「ボリューム」と進んで、最後の選択肢で「Volumes」をクリックしてください。
こちらで表示させると、チャートの中ではなく、サブウィンドウで表示されます。
また、先ほどは緑だけだった出来高のバーが、赤と緑に分かれるのも違いです。
赤は上昇・緑は下降を意味しており、前回より価格変動の回数が多いと緑に、少ないと赤で表示されます。
より詳しく相場の活況を知りたい時は、こちらの方を使ってください。
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