フィボナッチ・エクスパンションとは?使い方やMT4/MT5での使い方、トレード手法を解説
フィボナッチ・エクスパンションは、フィボナッチ数を利用したテクニカル分析です。
フィボナッチリ・トレースメントと並びFX取引においては活用しやすい手法です。
しかし知名度がやや低いため、初心者の場合、使ったことのない人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、フィボナッチ・エクスパンションの基本的な知識やトレードでの使用方法、MT4/MT5でのインジケーターの使い方やおすすめの設定などを詳しくご紹介いたします。
フィボナッチ・エクスパンションを使いこなせるようになると、利確ポイントの見極めがしやすくなるので、ぜひ参考にしてください。
フィボナッチ・エクスパンションとは
フィボナッチ・エクスパンションは、3つの価格ポイントを指定することで、その後の値動きを予測するテクニカル分析です。
FXで重要なのが、エントリーと並び、含み益が出た時にどこで利益確定をすれば良いのかという見極めです。
その目安が簡単にできれば、取引をする上で非常に有利になります。
そこで役立つのが、フィボナッチ・エクスパンションです。
まずはそのメカニズムから見ていきましょう。
3つの価格ポイントでラインが決まる
フィボナッチ・エクスパンションは、3つの価格ポイントを指定することで、その後の値動きを予測します。
上昇トレンドの場合
「トレンドの起点となる安値」「直近の高値」「押し目の安値」がポイントです。下降トレンドの場合
「トレンドの起点となる高値」「直近の安値」「戻り目の高値」となります。
この3点を指定することで、フィボナッチ比率に応じたラインが表示され、そこが利益確定の目安となるのです。
これらの関係性は、下記のようになっています。
基準となるのは、起点から最初の高値や安値です。
ここでの上昇幅や下降幅を「1」として、押し目や戻り目からの値動きを予測します。
最初の値幅と同じだけ動けば「1(100%)」となり、それより小さければ61.8%、大きければ161.8%や261.8%が目標値の目安です。
例えば161.8%であれば、最初の値幅の161.8%分だけ、押し目や戻り目から伸びていることになります。
一般的に目安となるのは、最初の動きで達成された値幅と同じ100%や、その半分の50%などでしょう。
それに比べると中途半端な数字ですが、実際にチャートに当てはめてみると、フィボナッチ・エクスパンションのラインで反発しやすくなっているのです。
指定した3点が同じならば、多くのトレーダーが同じラインを意識することになります。
すると、価格がそこで反発する可能性が高まるというわけです。
フィボナッチ比率と計算方法
フィボナッチ・エクスパンションの「フィボナッチ」とは、フィボナッチ比率のことを指し、「エクスパンション」には「拡張する・拡大する」という意味があります。
そのため、まずはフィボナッチ比率が何かを理解しておかねばならないでしょう。
フィボナッチ比率は、イタリアの数学者であるレオナルド・フィボナッチが13世紀に発表した「フィボナッチ数列」から導かれる比率です。
FXではフィボナッチ・エクスパンションの他、フィボナッチ・リトレースメントやフィボナッチ・アークなど、フィボナッチ数列を使った多くのテクニカル分析があります。
フィボナッチ数列は、左側の2つの数字の合計が次の数字になって行くという数列です。
具体的には、下記のような計算で求められます。
(最初の2つ数字のみ初期値で1になっています)
1+1=2
1+2=3
2+3=5
3+5=8
5+8=13
8+13=21
13+21=34
21+34=55
34+55=89
55+89=144
89+144=233
これを一列にすると、「1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, 144, 233…」となるわけです。
そして、各数字を近くの数字で割った比率が、フィボナッチ比率となります。
例えば1つ左の数字で割った結果を見てみましょう。
2 ÷ 1=2
3 ÷ 2=1.5
5 ÷ 3=1.6666…
8 ÷ 5=1.6
13 ÷ 8=1.625
21 ÷ 13=1.6153…
34 ÷ 21=1.6190…
55 ÷ 34=1.6176…
89 ÷ 55=1.6181…
144 ÷ 89=1.6179…
233 ÷ 144=1.6180…
このように、数列が伸びるほど値は1.618に接近していきます。
そしてこの「1.618」こそ、古来から安定して美しい比率として知られる「黄金比」なのです。
黄金比はオウム貝やカタツムリの殻などで見られ、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」やパリの凱旋門などにも使われています。
身近な所では名刺やカードなどの比率も黄金比に近く、人間が無意識に安心したり、気にしたりする数値と言えるのです。
同じように1つ右の数字で割ると数値は「0.618」に近づきますが、これは「黄金分割」と呼ばれます。
さらに2つ離れた数字で割った「2.618」と「0.382」、3つ離れた数字で割った「4.236」と「0.236」も「フィボナッチ比率」です。
これに区切りの良い「0.5」や「1」、0.618の平方根である「0.786」を加えたものが、FXでよく使われる数字となります。
エクスパンションはトレンドの行方を予測する
フィボナッチ・エクスパンションの「エクスパンション」には、「拡張する・拡大する」という意味があります。
つまりフィボナッチ・エクスパンションとは、このフィボナッチ比率を利用し、相場がどこまで拡大していくか(伸びていくか)を予測してくれる分析手法です。
黄金比を筆頭に、自然界や人工物でよく見られるフィボナッチ比率は、チャートの中でも頻繁に出現します。
それは元々、人間の認知能力の中で区切りが良いと判断され、値動きの反発点となるからです。
一般的にも、直近の安値や高値、半値戻しなどは見た目からも区切りの良さで意識されるでしょう。
フィボナッチ比率はそこまで明確に分かりやすい位置ではありませんが、無意識のうちに「この辺がバランス的に良さそうだ」と判断されるのです。
さらにそうした動きがインジケーターで先読みされることで、より多くの人に意識されるラインとなり、テクニカル分析が刺さるようになっていきます。
相場がどこまで拡大していくかを判断するフィボナッチ・エクスパンションでは、伸びて行った先の反発点を予測するため、「1」より大きなフィボナッチ比率が使われるのが特徴です。
特に黄金比である「1.618」は重要な節目となります。
トレンドが発生している時、順張り(トレンドフォロー)でそこに付いていくのは、それほど難しいことではありません。
しかしどこで利確すれば良いのかは、時には判断に迷うこともあるでしょう。
フィボナッチ・エクスパンションは、保有しているポジションを決済するタイミングや、次のエントリー機会がどの辺になりそうかの予測に役立ちます。
フィボナッチ・リトレースメントとの違い
一般的に「フィボナッチ」と言うと「フィボナッチ・リトレースメント」が有名ですが、両者は非常に対照的な手法で、使い方も全く異なります。
フィボナッチ・リトレースメントはトレンドの中での逆行を捉え、「押し目」や「戻り売り」を行うために使う手法です。
一方フィボナッチ・エクスパンションは、先ほど説明したようにトレンドの伸びを捉え、「利益確定」させるために使います。
つまり、エントリーする時にフィボナッチ・リトレースメントを使い、そこで立てたポジションの決済ポイントをフィボナッチ・エクスパンションで決めると良いということです。
実際にインジケーターでラインの指定をする時も、フィボナッチ・リトレースメントでは直近で重要な高値や安値、レジスタンスラインやサポートラインを使います。
それに対しフィボナッチ・エクスパンションでは、フィボナッチ・リトレースメントを使ってエントリーした押し目や戻り目を使うという関係性も成り立つのです。
ただフィボナッチ・リトレースメントの場合、どこの高値や安値を使うかが明快ではなく、人によって判断が分かれる場合があります。
これはトレンドの初期の段階で使うことが多く、チャートが整っていないことが多いからです。
また、押し目や戻り目を狙うということは流れに対する逆張りとなるので、失敗して損切りに遭う確率も低くはありません。
しかしフィボナッチ・エクスパンションは既に含み益が出ている状況での利確ポイント探しですから、利用に伴うリスクはかなり低くなります。
また使う場面は、概ねトレンドの中盤以降になることから、押し目や戻り目も分かりやすく出現していることが多いでしょう。
そのため、フィボナッチ・リトレースメントよりラインを簡単に引きやすいという特徴もあります。
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フィボナッチ・エクスパンションの見方と使い方
では実際のチャートにフィボナッチ・エクスパンションを表示させて、値動きとの関係を見ていきましょう。
チャートでの実例
実際のチャートでいくつか例を見てみましょう。
ここでは後ほど紹介するZigZagを使い、その上をトレースする形でポイントを指定しています。
赤線がZigZagで、青線がフィボナッチ・エクスパンションです。
価格のポイントを指定する基準の部分では、フィボナッチ・エクスパンションの青線が上になっており、ZigZagの赤線を隠した状態になっています。
下図は上昇トレンドで大きく伸びた例です。
フィボナッチ・エクスパンションの「423.6%」が利確ラインとして機能しています。
こちらは下降トレンドの場合です。
フィボナッチ・エクスパンションの「216.8%」でピタリと反発しています。
利確ポイントとして使えるだけでなく、そこから値が戻った後、再び反発するポイントとしても機能しているのが分かるでしょう。
これは本来の使い方ではありませんが、実際のチャートでは一石二鳥として使うことも可能です。
実際の取引手順
実際の使い方について、さらに詳しく見てみましょう
決済までには、下記の4つの手順が必要です。
①トレンドの起点 を確認する
フィボナッチ・エクスパンションを使うためにまず必要となるのが、トレンドの起点を見つけることです。
そのためには、現在の相場でトレンドが生じていることを示す根拠を探さなくてはなりません。
例えば、次のような箇所からトレンドが確認できるでしょう。
移動平均線がゴールデンクロスやデッドクロスとなっている
明確に底値や天井を付けて価格が折り返している
レジスタンスラインやサポートラインをブレイクしている
トレンドラインで反発しながら価格がいずれかの方向に伸びている
また、起点の安値や高値が更新されていないことも重要です。
よく分からない場合は、無理してフィボナッチ・エクスパンションを当てはめないようにしてください。
②押し目や戻り目を確認してエントリーする
フィボナッチ・エクスパンションを利用してエントリーする場合、その機能上、タイミングは押し目や戻り目が出現した後になります。
より確実なエントリーをするなら、押し目や戻り目の前の高値や安値を超えた地点が安心です。
この位置に指値を置いても良いですし、その前後で何回かに分けてエントリーしても良いでしょう。
③61.8%でラインの効きを確認する
初回の大きな節目である61.8%に到達したら、そこでの値動きに注視しましょう。
もし反発するようなら、自分で引いたフィボナッチ・エクスパンションが効果を発揮していることが分かります。
ならば抜けた場合、次の大きな節目である100%や161.8%、256.8%まで伸びる可能性も大きくなるでしょう。
しかし何の反発もなかった場合は、フィボナッチ・エクスパンションの効き目に懸念が生じます。
あらためてポイントの選び方に問題がなかったかどうか、確認してみましょう。
テクニカルの指標は、多くの人が同じものを見ていることで意識が揃い機能します。
つまり他のトレーダーが選んだポイントとズレてしまっている可能性が捨てきれません。
③61.8%は第二のエントリーチャンス
本来、61.8%はここを利確目標にしても良いラインです。
しかし、より大きな利益を狙うのであれば、ここで利確するのは得策ではありません。
実際、抜けて行ってしまうケースもよくあります。
つまり、61.8%のラインブレイクを狙ったエントリーも有りだということです。
特にここで一旦の反発が見られた場合は、引かれたフィボナッチ・エクスパンションの信用度が高まります。
そのままラインから離れて行ってしまった場合は、エントリーすることはありません。
反発から再びラインに戻ってきて、そこをブレイクしたら勢いに乗れば良いのです。
もちろん61.8%で一旦の利確をしても問題ありません。
その後でラインをブレイクしたら、再びエントリーすれば良いでしょう。
④各目安のラインで分割決済する
利確の基準となるのは、61.8%・100%・161.8%・256.8%などです。
ただ、最初から61.8%を目指すと利幅が薄くなりすぎます。
また、61.8%は同時にエントリーポイントにもなり得ることは、先ほど説明した通りです。
これらのことから、利確目標は100%以上を基本として目指すべきと言えるでしょう。
問題は、どこまで伸びるか、フィボナッチ・エクスパンション単独では予測が難しいことです。
そこで、各目安のラインでこまめに分割決済すると、実用性が高くなります。
分割は均等にしても良いのですが、161.8%をメインの目標にして、それ以外は比率を下げるという手もあるでしょう。
例えば100%で1/4を利確、161.8%で1/2を利確し、残る1/4は256.8%を目指すという方法です。
そこまで伸びなかった場合、161.8%のラインに戻ってきた時点で利確をします。
逆張りする方法もある
フィボナッチ・エクスパンションには、先ほどの順張り以外に、逆張りエントリーするための指標としての使い方もあります。
節目となるラインが利確目標になるということは、そこでトレンドが転換するという予測も立つからです。
少なくとも、全面的な転換ではないとしても、一時的な逆行が生じる可能性は高いでしょう。
そこでラインで反発した場合に限り、トレンドと逆方向にエントリーするという方法が使えます。
トレンド転換となれば、そのままポジションを保持していれば含み益が増えていくので問題ありません。
注意すべきは、一時的な逆行であり、また価格がトレンド方向に戻ってしまうことです。
そのため損切りの設定も含め、慎重な対応が求められることには注意してください。
インジケーターのZigZagをチャートに表示させよう
フィボナッチ・エクスパンションでは、「トレンドの起点」「直近の高値や安値」「押し目の安値や高値」の3つを指定する必要があります。
しかし初心者の場合、その特定が難しいケースもあるでしょう。
そこで役に立つのが「ZigZag」というインジケーターです。
■ZigZagとは?
ZigZagは過去の値動きから自動で安値や高値を検知し、その推移を文字通り、ジクザグのラインで表示してくれます。
MT4/MT5に標準搭載されており、呼び出すだけで他に操作は必要ないので、初心者の方でも楽に使えるでしょう。
フィボナッチ・エクスパンションを適用させるには、トレンドの発生を確認することも必要です。
ZigZagでラインを表示させることで、相場の流れも追いやすくなります。
もちろんラインは常に完璧というわけではありません。
ただ手作業でラインを引いたり、目で重要なポイントを探したりする必要がなくなるので、フィボナッチ・エクスパンションと組み合わせるのに最適です。
■ZigZagの呼び出し方法
MT4/MT5の場合、標準装備されているので、どこかからダウンロードする必要はありません。
下記の方法でチャートに呼び出せます。
メニューバーの「挿入」から、「インディケータ」>「カスタム」>「ZigZag」を選択する。
ナビゲーターウィンドウの「インディケータ」>「ZigZag」を選択し、チャート上にドラッグ&ドロップする
ラインの色は初期設定では赤になっていますが、お好みで変更しましょう。
線を太くすると見やすくなります。
その他パラメーターの設定もできますが、初期設定のままで問題ありません。
使い方のポイントは、チキン利食いを回避し利益を伸ばすこと
FXの失敗でよく見られるのが「コツコツドカン」と呼ばれるものです。
これは小さな勝ちをたくさん重ねて積み上げた利益が、たった1回の負けで飛んでしまうという失敗で、最終的に勝てないどころか資金を全て失ってしまう危険もあります。
コツコツドカンは、直接的には的確な損切りをしないことで、損失をいたずらに大きくしてしまうのが原因です。
しかし同時に、勝っている時の利益を大きく伸ばせていないことも問題でしょう。
利益を伸ばすことなく、小さな勝ちで終わらせてしまうのは、少しでも含み益が出たらすぐに利確してしまいたいという気持ちが強いからです。
そんな心理から来る早すぎる決済を「チキン利食い」と言い、大きく勝つには、絶対に克服しなければなりません。
とは言え、損失の痛みは先延ばしにしたいが、利益はすぐに確定させてしまいたいという人間心理は避けがたいものがあります。
一時は含み益が出ているのに、その後で相場が逆に動いて利益が飛んでしまったら、受けるショックは倍増されてしまうからです、
「もっと早く決済していれば良かった」と、手に入るはずだった利益を惜しむでしょう。
そんな気持ちを避けたいがため、含み益が出るとすぐに利確するという行動に走るのです。
しかし利確ポイントが明示されれば、視線がそこに向かうので、手元ですぐに利確に走る衝動が抑えられます。
損切りには一定の基準があり、そこに達したら機械的に決済するのが原則ですが、利確については如何に大きく伸ばせるかが重要です。
フィボナッチ・エクスパンションを活用することで、チキン利食いを回避し、利益を大きく伸ばす取引をしやすくなるでしょう。
フィボナッチ・エクスパンションのMT4/MT5での引き方
フィボナッチ・エクスパンションは、先ほどのZigZagのように、選択やドラッグ&ドロップで自動的に表示されるわけではありません。
チャートに描画させるためには、いくつかの手順が必要です。
そこでここでは、MT4/MT5でフィボナッチ・エクスパンションを表示させるための方法を説明します。
基本的な操作は、MT4でもMT5でも大きくは変わりません。
ただ若干の違いはあるので、まずMT4版を使って、一通りの説明をします。
その後MT5版について、MT4とは異なる点を中心に説明することにしましょう。
MT4での操作方法
画面上部のメニューバーの「挿入」から、「フィボナッチ」>「エクスパンション」を選択しましょう。
するとチャートにフィボナッチ・エクスパンションを指定するポインタが表示されます。
その状態でトレンドの起点となる部分をクリックし、そのままドラッグ&ドロップで最初の高値や安値へ動かしてください。
するとフィボナッチ・エクスパンションの基準となるラインの前半部分が描画されます。
調整は後からできるので、ひとまず適当で構いません。
※初期設定では赤の点線になりますが、この記事ではZigZagと分けて表示させるため、色と線のタイプを変えています。
次に、3つ目の価格ポイントを指定します。
価格ポイントの3箇所に小さな「□」が表示されているので、一番右側(2つ目の価格ポイント)を選択し、押し目や戻り目に向かってドラッグしてください。
最後に、調整したい部分を選択し、正しい位置に移動させます。
特に押し目や戻り目は、当初は全く違う所に表示されることが多いので、確実に調整しましょう。
選択状態が解除されてしまった場合は、ライン上でダブルクリックしてください。
なお、1つ目と2つ目の価格ポイントの中間ある「□」をドラッグすると、ライン全体を移動できます。
MT4での設定方法
各種設定の変更は、プロパティ画面から可能です。
価格を指定した部分の線(ここでは青線の部分)をダブルクリックし、その状態で右クリックするとメニューが出るので、そこからプロパティを選択します。
またはチャート上で右クリックし、メニューの「表示中のライン等」から該当のものを選択し、「編集」をクリックしてください。
各タブの内容は、下記のようになっています。
■「全般」タブ
名前:
該当のフィボナッチ・エクスパンションに名前を付けられます。
ここで付けた名前はラインにカーソルを乗せた時に表示される他、先ほどの「表示中のライン等」に反映されるので判別するのに便利です。説明:
名前と同じく、カーソル表示や「表示中のライン等」で表示されます。スタイル:
ポイントとなる価格を結んだ線の色や種類の設定で、初期設定は赤の細い点線です。背景として表示:
チェックすると、ローソク足の後ろに表示させられます。
■「フィボナッチ・レベル」タブ
表示させるフィボナッチ・エクスパンションの設定です。
初期値では「0.618」「1」「1.618」の3本が設定されていますが、さらに拡大した場合に備え「2.618」や「4.236」も追加しておくと良いでしょう。
右側の「追加」ボタンから行えます。
また「スタイル」では、ラインの色と太さ、種類を選択できるので、見やすいように調整しましょう。
■「パラメーター」タブ
ポイントとなる価格の細かい調整が行なえます。
起点となる価格の位置と価格
次の高値や安値の位置と価格
押し目や戻り目の位置と価格
ラインを延長:
チェックすると、フィボナッチ・エクスパンションのラインを右側に無限に伸ばせます。
MT5での操作方法
画面上部のメニューバーの「挿入」から、「オブジェクト」>「フィボナッチ係数」>「フィボナッチエクスパンション」を選択します。
するとMT4と同じくフィボナッチ・エクスパンションを指定するポインタが表示されるので、起点と次の折返しを指定しましょう。
ただし、指定の方法はMT4とは異なります。
ドラッグではなく、それぞれの価格ポイントを個々にクリックしてください。
すると2点を結ぶラインが描かれます。
この時点でラインは選択状態になっており、小さな「□」も表示されますが、まだ完成はしていません。
2つ目の価格ポイントの「□」を選択して、3つ目のポイントである押し目や戻り目にドラッグします。
※ここでは「クリック」ではなく「ドラッグ」です。
これで3つのポイントが指定されたので、それぞれの位置を調整してフィボナッチ・エクスパンションを完成させましょう。
MT4と同じく、1つ目と2つ目の価格ポイントの中間に「□」が表示され、ドラッグするとライン全体を移動できます。
MT5での設定方法
MT4と同じく、価格を指定した部分の線をダブルクリックするとプロパティ画面を選択できます。
またはチャート上で右クリックし、メニューの「オブジェクトリスト」から該当のものを選択してください。
各タブの内容は、下記のようになっています。
基本的にはMT4と同様です。
■「共有」タブ
名前:
名前の設定。説明:
任意で説明を入力。スタイル:
指定部分のラインの色、太さ、種類の設定。オブジェクトを背景として表示:
ローソク足の後ろに表示。選択を無効化:
チェックを入れるとラインを選択できなくなり、誤操作のリスクを無くせます。
■「レベル」タブ
初期値では「0.618」「1.000」「1.618」の3本が設定されています。
またフィボナッチ・エクスパンションのラインの色と太さ、種類を選択できます。
■「パラメーター」タブ
ポイントとなる価格の細かい調整が行なえます。
起点となる価格の位置と価格
次の高値や安値の位置と価格
押し目や戻り目の位置と価格
右に延長:
チェックすると、フィボナッチ・エクスパンションのラインを右側に無限に伸ばせます。左に延長:
ラインを左側に無限に伸ばせます。
おすすめの設定と数値の追加方法
MT4/MT5では、ともに「0.618」「1.000」「1.618」の3本が初期設定です。
この数値をいじる必要はありませんが、さらに拡大した場合に備え、「2.618」や「4.236」も追加しておくと良いでしょう。
また区切りの良いところで、「2.000」などを入れる手もあります。
細かく入れる場合は「78.6%」「127%」なども使われますが、ラインが多いと混乱することもあるので、慣れないうちは無理して入れる必要はありません。
追加は「フィボナッチ・レベル」タブ(MT5では「レベル」タブ)で行います。
「追加」ボタンをクリックすると、新しい入力欄が追加されるので、レベル設定部分に数値を入力してください。
右側の欄は、ライン上に表示されるテキストです。
スマホでの設定方法
スマホアプリでも、フィボナッチ・エクスパンションを利用できます。
チャート画面をタップすると、選択画面が表示されるので「オブジェクト」を選んでください。
次の画面で「オブジェクト追加」をタップ。
一覧が表示されるので、下の方にスクロールし「フィボナッチエクスパンション」を選択します。
するとチャート画面に戻るので、価格ポイントを指定しましょう。
起点と次の安値や高値をタップするとラインが表示され、2点目から3点目を引き出すと、ポイントを確定できます。
それぞれ正確に調整すれば完成です。
フィボナッチ・エクスパンションを利用したトレード手法
フィボナッチ・エクスパンションが表示できたら、後は価格がラインに達した時点で順次、分割決済をすれば良いので、使い方としてはシンプルです。
ここではさらに応用的な手法について解説していきます。
フィボナッチ・エクスパンション同士の重複を利用する
フィボナッチリトレースメントとの重複を利用する
レジスタンスラインやトレンドラインなどを組み合わせる
フィボナッチ・エクスパンション同士の重複を利用する
同じように見える値動きでも、時間足を変えてチャートを見ると、違った印象を受けることも多いものです。
特にトレンドでは大きな流れの中での方向性があり、その中で小さな逆行が時おり入る形が多くなります。
そのため時間足が異なれば、描画されるフィボナッチ・エクスパンションも様々なものになるでしょう。
しかし、もしそれらが一致する地点があれば、それは双方の時間足からの根拠が重なることになります。
下図は、30分足(緑)と1時間足(ピンク)でのフィボナッチ・エクスパンションを同時に表示させたものです。
30分足の「4.236」と、1時間足の「2.618」が非常に近くなっています。
つまり、各時間足から見ているトレーダーが共に意識することにより、そのラインの信用性が高まるということです。
フィボナッチエクスパンションとフィボナッチリトレースメントの重複
同じフィボナッチ系の指標を組み合わせる方法もあります。
特に、フィボナッチリトレースメントとは相性が良いことで知られており、組み合わせて使うのがおすすめです。
下図では、フィボナッチリトレースメント(緑線)の「61.8%」と、フィボナッチエクスパンション(青線)の「423.6%」のラインが重なっています。
これは、下落トレンドに対する反発を示す指標と、新しいトレンドの上昇値を示す指標の評価が重なっているということです。
二重の意味で信頼性が高いと考えられるでしょう。
レジスタンスラインやトレンドラインなどを組み合わせる
フィボナッチ系以外の指標との組み合わせも、有効に使いましょう。
フィボナッチ・エクスパンション単独で使うより、信頼性が高まります。
特にトレンドラインは使いやすい指標です。
下図では、上昇トレンドでのレジスタンスライン(緑の線)と、フィボナッチ・エクスパンションのライン(青い線)がピタリと合致しており、ここで反発することが強く予想されるでしょう。
また直近の高値から引いた水平線(緑の線)も、同じくフィボナッチ・エクスパンションの「261.8%」と全く同じ水準になっています。
このように複数のラインが揃った場合、そこで反発する可能性は高いと予測できるのです。
フィボナッチ・エクスパンション利用時の注意点
最後に、フィボナッチ・エクスパンションに関する注意点をいくつかお伝えいたします。
トレンド状態になっているか?
ヒゲの扱いは?
過信せずに安全・確実さを重視する
正しい位置を指定しているかを確認する
トレンド状態になっているか?
フィボナッチ・エクスパンションが有効になるのはトレンド相場です。
もし相場がレンジ状態であるなら、フィボナッチ・エクスパンションを使うべきではありません。
トレンドがどこまで伸びるかを予測するための分析ツールだからです。
トレンドの特徴は、高値や安値が連続して更新されていること。
そのような値動きだからこそ、「起点>高値や安値>押し目や戻り目」という3つの価格が有効になります。
ヒゲの扱いは?
ラインを超えるか反発するか、時に悩ましいのは、ローソク足から伸びるヒゲの扱いでしょう。
ヒゲを含めて考えるか、ヒゲは無視して実体で考えるかはトレーダーによって、或いは状況によっても異なります。
基本的には、フィボナッチ・エクスパンションではヒゲも含めて考えるのが一般的です。
併用としておすすめのZigZagもヒゲを含めてラインを描画します。
ただ極端に長いヒゲの場合は、あまり囚われない方が良いかもしれません。
特に決済の場面では、ラインを超えて大きくヒゲが伸びることもありますが、実体部分で堅実に決済することで良しとしましょう。
過信せずに安全・確実さを重視する
フィボナッチ・エクスパンションは一定の信頼性のある分析手法ですが、単独で値動きの全てを把握できるようなものではありません。
他の指標も組み合わせ、エントリーや決済の根拠を高めて行くことが必要です。
またラインも必要以上に過信しないようにしましょう。
少し手前や過ぎた所で反発することもありますし、段階的にレベルがあり、そのまま抜けて行くこともよくあります。
先ほど説明したように、複数のレベルごとに分割しながら決済をしていくのも有効です。
正しい位置を指定しているかを確認する
フィボナッチ・エクスパンションを描画するには3つの価格ポイントを指定する必要があります。
そのポイントが正確でないと、フィボナッチ・エクスパンションも不正確になってしまうでしょう。
流れの起点や押し目・戻り目をしっかり捉えているか、確認してください。
指定した後に不用意に触ってズレてしまうこともあるので、注意が必要です。
ZigZagを使うと価格ポイントの発見は簡単になります。
しかしあくまで自動ツールのため、実際に目で見て違和感を感じた場合は、どちらが良いか検証してください。
その後の値動きを見て、どちらの方がフィボナッチ・エクスパンションに合致しているか、確認すると良いでしょう。
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