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FXのストキャスティクスとは?MT4/MT5での期間設定の方法や見方・使い方、トレード手法を解説

ストキャスティクスは、相場の状態が「買われ過ぎ」か「売られ過ぎ」かを示してくれるインジケーターです。
数あるオシレーター系指標の中でも使い勝手が良く、相場に対する反応も良いことから、多くのトレーダーに利用されています。

しかし反応が良い分ダマシに遭う確率が高かったり、設定によって挙動が大きく変わったりするなど、使いこなすには一定の知識が必要です。
そこでこの記事では、ストキャスティクスの計算方法やトレード手法、ダマシの回避策などについて詳しくお伝えいたします。
またMT4やMT5での表示や設定方法も説明しているので、上手くトレードに取り入れてください。


ストキャスティクスとは

ストキャスティクスは正式には「Stochastic Oscillator」と言い、日本語にすると「確率論(推計統計学)的な発振器」です。
開発されたのは1950年代後半と歴史が古く、アメリカのチャート分析家であるジョージ・レイン氏が、同じくオシレーター系インジケーターのRSIを元に考案しました。
現在では本家のRSIと人気を分け合う存在ですが、ストキャスティクスは

RSIの発展型ですから、性能的にはこちらの方が優位とも言えるでしょう。

ストキャスティクスの構成要素

ストキャスティクスでは、計算方法の異なる3種類の線が使用でき、複合的に売買サインを判断できるようになっています。

3本の線は次の通りです。

  • %K線

  • %D線

  • S%D(S%D)線

このうち%D線とS%D線は、いずれも%K線を元にした線です。
具体的には、%K線の移動平均線が%D線であり、%D線の移動平均線がS%D線となります。

ただし、一般的にはこれら3本を全て使うわけではありません。
良く使われるのは、%K線と%D線、もしくはS%D線という組み合わせです。
ただ、%K線や%D線のみを使う方法も間違いではありません。

使い方が豊富なので、初心者の場合、どう使えば良いか悩ましい部分もあるでしょう。

実際のチャートに反映されたものが上図で、水色の実線が%K線です。
ストキャスティクスでは、先行するラインが基本となり「メインライン」と呼ばれます。
組み合わせによっては、メインラインが%D線になることもあります。
ただし、S%D線が使われることはありません。

メインラインから少し遅れて動く赤の点線は、「シグナルライン」と呼ばれます。
この線には、%D線かS%D線が使われます。

いずれもメインラインの移動平均となることに注目してください。
メインラインよりも緩やかな軌道で、追いかけるように動くのは、そのためです。

これらの線は、ともに0%〜100%の数値で示されます。
一般的には、80%以上は買われ過ぎ、20%以下は売られ過ぎと解釈されます。

ストキャスティクスの計算方法

では、実際のストキャスティクスの計算方法について、見ていきましょう。

ベースとなる%K線は、過去の価格と現在価格の対比を示します。
より詳しく言えば「一定期間内の最大値幅(最高値と最安値の差)に対し、最安値と現在の値上がり幅」を割り出したものです。

計算式としては、期間の設定を「n」として、次のようになります。

%K線 = (直近ローソク足の終値 – 過去 n 期間の最安値)÷(過去 n 期間の最高値 – 過去 n 期間の最安値)×100

そして%D線は%K線の移動平均線になるので、そこから一定期間を遡った%K線の平均です。
S%D線は、更にその移動平均になります。

期間の設定を「m」として、次のようになります。

  • %D線 = 過去 m 期間の%K線の平均

  • S%D線 = 過去 m 期間の%D線の平均

例えば一般的な設定(%K線の期間=5、%D線の期間=3)で、下記のような値動き(米ドル/円)があった時の数値を計算してみましょう。

  • 111円→108円

  • 108円→109円

  • 109円→110円

  • 110円→113円

  • 113円→112円

この期間の最安値は108円、最高値は113円、最終的な終値は112円です。
すると、次のようになります。

%K線 = (112円 – 108円)÷(113円 – 108円) × 100 = 80%

%D線は%K線の移動平均となるため、さらにデータを遡らなくてはなりません。

先ほどの例に、2日ほど古い情報も加えましょう。

  • 108円→107円

  • 107円→111円

すると、次のような計算結果になります。

  • %K線2 = (113円 – 107円)÷(113円 – 107円) × 100 = 100%

  • %K線3 = (110円 – 107円)÷(111円 – 107円) × 100 = 75%

  • %D線 = (80%+100%+75%)÷ 3 = 85%

ファスト・ストキャスティクスとスロー・ストキャスティクス

先ほど%DとS%D線の解説をしましたが、実際のところ、これらの違いは何でしょうか?

計算式でも示したように、この2本線は全く無関係の線ではありません。
オリジナルである%K線により近い反応を見せるのが%D線で、その移動平均を取ることで反応を緩やかにしたのがS%D線です。
つまり両者の違いは、%K線や相場に対する反応速度の違いと言えるでしょう。

そのことからも%D線を使った指標を「ファスト・ストキャスティクス」、S%D線を使った指標を「スロー・ストキャスティクス」と呼び分けています。

実際に表示させてみると、違いが分かりやすいでしょう。

下図が、ファスト・ストキャスティクスです。
MT4/MT5での仕様になりますが、メインラインには%K線が、シグナルラインには%D線が適用されています。

共に値動きに対して、鋭敏な反応を見せています。
しかし敏感過ぎて、カクカクしてしまっているのも分かるでしょう。
ラインの交差も頻繁にありますが、線の調子が合っていないため、果たして売買のサインと受け取って良いのか判別が難しくなっています。

対してスロー・ストキャスティクスでは、どうでしょうか?
MT4/MT5では、スロー・ストキャスティクスにした場合、メインラインに%D線、シグナルラインにS%D線が適用されます。

ご覧のように、反応は非常に緩やかです。
交差も非常に見やすくなっています。

RSIとの違い

ストキャスティクス考案のキッカケになったRSIも、レンジ相場で威力を発揮するとして、人気のあるオシレーターです。
両者は同じようにラインが枠の中を上下して、レベルが%数値で示されるという見かけが似通っています。
ただし計算方式は異なっているので、当然、その動きも同じものにはなりません。

では実際に違いを見てみましょう。

上のウィンドウがストキャスティクス、下のウィンドウの青い線がRSIです。

比較すると、ストキャスティクスの方が激しく上下に動いているのが分かります。
それだけ売買サインが頻繁に出ていると言えますが、ダマシに遭う可能性もあるので注意が必要です。

計算方法を大まかに比較すると、ストキャスティクスは、期間中の安値と高値の中で、今の価格がどこにあるかで計算します。
現在の価格が最高値なら100%、最安値なら0%と無条件でなるため、ラインが上下しやすいのです。
(実際にはそれでは動きが激しすぎるので、%K線を元にした%D線やS%D線が使われます)。

一方のRSIでは、期間中の上昇と下落の平均値に対する、上昇の比率を計算します。
先ほど示した例を使って違いを見てみましょう。

  • 108円→107円

  • 107円→111円

  • 111円→108円

  • 108円→109円

  • 109円→110円

  • 110円→113円

  • 113円→112円

この場合、%K線 = 80%、%D線 = 85%でした。

同じく、RSIで%K線と同じく過去5日分の値を出すと、次のようになり、ストキャスティクスよりも数値が低くなります。

{(1円+1円+3円)÷ 3}÷{(1円+1円+3円)÷ 3 +(3円+1円)÷ 3 } = 55.6%

つまり、RSIの方が反応が緩くなるということです。
そのため、ストキャスティクスで過熱感を示す数値が20%以下と80%以上とされるのに対し、RSIでは30%以下と70%以上となっています。

また、表示される線も、RSIは1本のみでシンプルです。
分かりやすい反面、2本のクロスを活かした売買サインは使えません。

実際に両者を表示させたものが下図です。

全体的な傾向は似ていますが、上下の動きはRSIの方が緩やかになっています。

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ストキャスティクスの見方と使い方

次に、ストキャスティクスの使い方について、詳しく見ていきましょう。

ストキャスティクスには、ファスト・ストキャスティクスとスロー・ストキャスティクスという2種類のラインの組み合わせがありますが、どちらも基本的な見方は変わりません。

  1. ラインの数値

  2. ゴールデンクロスとデッドクロス

  3. ダイバージェンス

  4. トレンド相場とは相性が悪い

ラインの数値

基本となるのは、ラインが示す数値の%です。

数値が20%以下になると「売られ過ぎ」、80%以上になると「買われ過ぎ」の状態になっていると判断されます。
そのため、20%を割ったら底値圏が近いと予測し、買いのエントリーや決済を準備しましょう。
80%を超えたら天井圏が近い可能性が高いので、売りのエントリーや決済を準備します。

表示している2本のラインが共にこれらのゾーンに入った場合、特にこの傾向が高まります。

ただし、ゾーンに入ってすぐに動くのは早計です。
その後、0%や100%を目指す動きをするかもしれません。
しばらくは推移を見て、ゾーンから抜け出したタイミングで売買しましょう。

ゴールデンクロスとデッドクロス

ストキャスティクスでは2本のラインを使うので、移動平均線のようにゴールデンクロスとデッドクロスが発生します。

もともとシグナルラインは移動平均線そのものですから、ここでも交差を利用した売買サインが使えるということです。

メインラインがシグナルラインを下から上に抜けて行ったら、「ゴールデンクロス」で、買いのサインになります。
その逆に、メインラインがシグナルラインを追い越すように上から下に落ちて行ったら、「デッドクロス」で、売りのサインです。

いずれもエントリーチャンスであるとともに、立てたポジションを逆サイドのクロスで決済するという関係になります。

クロスの信頼性を高めるには、先ほどの「ラインの数値」を活用しましょう。
20%以下でゴールデンクロス、80%以上でデッドクロスが出現したらチャンスです。
もともと買いや売りを示すゾーンですから、合せ技で確度が向上します。

数値によるサインと交差によるサインの違いは、交差の方が少し早いタイミングで発生するということです。

トレンド転換前に発生することが多いので、より優位性のあるエントリーが可能になります

ダイバージェンス

最後にお伝えするのが「ダイバージェンス」と呼ばれるサインです。
ダイバージェンスでは、インジケーターの動きと実際の価格が逆方向となります。

上図では価格が下降しているのに対し、ストキャスティクスは逆の上昇方向に動いています。

このような場合、価格の下降圧力が弱まっており、間もなくストキャスティクスの向きにトレンドが転換する可能性が高いのです。

つまり、相場の未来を早期に予見できる可能性があるということです。

ただし、それがいつ起きるのか、時間の特定まではできません。
また、一時的にダイバージェンスが出現したものの、トレンドの勢いが強くストキャスティクスの方が価格に合わせて向きを変えることもあります。

ダイバージェンスを活用する際は他の指標を併せて使うなど、相場環境の把握を重視しましょう。

トレンド相場とは相性が悪い

「上下幅の中での現在地を示す」というストキャスティクスの特徴は、逆に働くと上下ではなく、一方的に上昇や下降していくトレンド相場と相性が悪いということです。

しかし、相場はその7割がレンジ相場と言われています。
つまり半分以上の場面でストキャスティクスが活用できるということです。

また、トレンド相場においても他の指標を併用することで、局地的に使える手法があります。
とは言え向き、不向きはありますので、基本的にはレンジ相場に絞って使うようにしてください。

ストキャスティクスのMT4/MT5での表示・設定方法

では実際にストキャスティクスを画面に呼び出してみましょう。
ここではMT4やMT5を使って説明します。

チャートに表示させよう

まずは、ストキャスティクスの表示からです。
メニューバーの「挿入」から、「インディケータ」→「オシレーター」と進んで、「Stochastic Oscillator」を選択しましょう。

ナビゲーターウィンドウの「オシレーター」からも選択できます。

画面はMT4ですが、MT5でも同様です。

ストキャスティクスを呼び出すと、設定ウィンドウが開きます。
初期設定のままでも問題ありませんので、ひとまず「OK」をクリックしましょう。
チャート画面の下にサブウインドウが現れ、そこにストキャスティクスが表示されます。

初期設定では、メインラインには%K線が適用され、実線となっています。
シグナルラインにはS%D線が適用され、ラインは点線です。
つまりMT4/MT5では、スロー・ストキャスティクスで初期設定がされていることになります。

期間や線種の設定方法

パラメーターやラインの色、太さなどが変更できます。
ストキャスティクスの上で右クリックしてメニューを出し、「プロパティ」を選択しましょう。

「パラメーター」タブでは下記のような内容が設定可能です。

  • %K期間
    %K線の計算に使う期間(ローソク足の本数)を指定します。初期設定は「5」です。

  • %D期間
    %D線の計算に使う%K線の移動平均の期間を指定します。初期設定は「3」です。

  • スローイング
    S%D線の計算に使う%D線の移動平均の期間を指定します。初期設定は「3」です。

  • 価格帯
    %K線の計算に使用する価格帯の種類を指定します。初期設定は「Low/High(安値/高値)」です。

  • 移動平均の種別
    %D線やS%D線の計算に使う移動平均線の種類を指定します。初期設定は「Simple(単純移動平均線)」です。

  • 下限設定
    表示される最低の数値(%)です。初期設定は「0」です。

  • 上限設定
    表示される最高の数値(%)です。初期設定は「100」です。

なお、MT5では、上限設定と下限設定は「スケールタブ」に移動しており、代わりにラインの設定が統合されています。

移動平均の種別については、他に次のようなものが選択できます。

  • Exponential(指数移動平均線)

  • Smoothed (平滑移動平均線)

  • Linear Weighted(線形加重移動平均線)

ただし、他の項目を含めて初期設定のままで問題ないでしょう。

ここでのポイントは「スローイング」です。
数字が大きいほど長い期間を使うため、より緩やかな曲線となります。

では、期間を「1」にするとどうなるでしょうか?
計算に使う%D線の値が、直近のものだけになります。
つまり移動平均値ではなく、そのものズバリの値が使われるということです。
これはすなわち、ファスト・ストキャスティクスになるということです。

パラメータータブを含め、MT4/MT5では、ファスト・ストキャスティクスとスロー・ストキャスティクスを切り替える設定は見られません。
実はこの「スローイング」が、その切り替え機能を担っているのです。

スローイングを「1」にした場合はファスト・ストキャスティクスとなり、メインラインが%K線に、シグナルラインが%D線になります。

「2」以上にした場合はスロー・ストキャスティクスとなり、メインラインが%D線に切り替わり、シグナルラインがS%D線になるという設定です。

「色の選択」タブでは、ラインの色や太さが変更できます。

シグナルラインが点線で見にくい場合は、ここで実線に変更しましょう。

「レベル表示」タブでは、サブウィンドウに表示させる数値ガイドラインの変更・追加できます。

初期設定は「20」と「80」です。
ガイドラインが見にくい場合は、色を変えたり実線に変えたりしてみましょう。

おすすめの設定期間

各ラインの初期設定は、「%K線の期間:5、%D線の期間:3、スローイングの期間:3」となっています。
このままでも問題ありませんが、他に使い勝手の良い数値や組み合わせはあるでしょうか?

%K線では、より長期の動きを見るために「9」や「14」、「21」という数値も使われます。
その場合でも、%D線やスローイングの期間は「3」のままで問題ありません。%D線とS%D線との組み合わせで使う場合、動きを揃えるため、変更するにしても同じ数値にするのが原則です。

実際に、初期設定のままの状態と、%K線に「9」を適用させた結果の違いを見てみましょう。

値動きに対して、%K線であるメインラインの反応が遅くなっているのが分かります。
そのメインラインを移動平均化したシグナルラインも、影響を受けて反応が遅れるという結果です。

次に、%K線の設定はそのままに、%D線の期間だけを変えてみましょう。
初期設定の「3」から「9」に変えてみました。

シグナルラインの反応が非常に鈍くなるので、実用性は下がるでしょう。

その他、%K線の期間に「14」や

「21」を適用させた場合です。

ストキャスティクスを利用したトレード手法

売買の判断方法は先ほどお伝えしましたが、それを実際にトレードで活用するためのポイントをお伝えします。

  1. レンジ相場で逆張りしよう

  2. トレンド相場で順張りしよう

  3. ダイバージェンスはトレンド転換に効く

  4. 他のインジケーターとの組み合わせ

レンジ相場で逆張りしよう

もともとストキャスティクスはレンジ相場を得意としているインジケーターです。
そしてレンジ相場では、レンジの上下端を使った逆張りが一般的な勝ちスタイルとされています。
ですから相場の状態を見極めた上で、逆張りのエントリーを仕掛けていくのが代表的なストキャスティクスの使い方です。

なぜストキャスティクスがレンジ相場を得意にするのでしょうか?
それは、レンジ相場では一定の幅の中で価格が上下するからです。
ストキャスティクスはまさに、上下幅の中での現在地を教えてくれます。
レンジの下にいればそこから上がる確率が高く、上にいればそこから折り返し、落ちて行く可能性が高いでしょう。

特に、安値を付けた後に20%以下ゾーンを抜ける時や、高値を付けてから80%ゾーンを割り込む時がチャンスです。

タイミングは、先行して走るメインラインで判断しましょう。
シグナルラインでは一歩、遅くなってしまいます。

トレンド相場で順張りしよう

ストキャスティクスはレンジ相場が得意ですが、トレンド相場では役にも立たないかというと、そうではありません。
上手く使えば、トレンド相場での順張りでも効力を発揮します。

トレンドの最中でも、相場は上下を繰り返すものです。
局地的に見れば、一時的な停滞や逆行が発生し、そこでは一定の上下動が生まれるでしょう。
するとストキャスティクスの数値が活用でき、押し目買いや戻り売りをする良い機会となるのです。

ただし、勢い良く伸びるような相場は避けなくてはなりません。
重要なのは相場分析です。
トレンド相場が少し休んで、踊り場になっている時間帯を見つけましょう。

そこで併用したいのが、移動平均線です。
細かい上下動はストキャスティクスが担当します。移動平均線の役目は、大局的な流れを掴むことです。
そのため移動平均の設定期間は、短くても40や50、使い勝手が良いのは100や200になるでしょう。

大きな流れがある中で、狙うのは一時的な価格の逆行です。
例えば価格が切り上がっていく相場の場合、ストキャスティクスの数値は80%以上に貼り付きます。
レンジ相場であれば売りのゾーンですが、上げ相場では当てになりません。

しかし価格が逆行を始めると、数値はそのゾーンから落ちてきます。
そして、そのまま20%以下にまで落ちたら、押し目買いの準備をしましょう。
そしてラインが底を打って20%ラインを超えたら、エントリーのチャンスです。

この時、移動平均線が価格の下にあることにも留意しましょう。
価格が移動平均線を下抜けてしまうと、そのままトレンドが転換してしまう可能性があるからです。

価格が移動平均線の上にあれば、まだそのトレンドは生きています。
一時的な逆行の後は、再び元の上昇機運に戻るでしょう。

下降相場の場合も、逆の手法で戻り売りを狙えます。

ダイバージェンスはトレンド転換に効く

ストキャスティクスの向きと価格の向きが逆になるダイバージェンスは、ラインの角度が重要です。
ここでは、20%や80%など、ラインの位置を気にする必要はあまりありません。位置に関係なく常に発生する機会があるとも言えます。

また、ストキャスティクスは頻繁にラインが上下します。
そのため、ダイバージェンスが発生する機会も、他のインジケーターに比べて多くなります。

ただ持続する時間が短いので、注意しないと見逃してしまうことも多いでしょう。

下記は、ストキャスティクスにおけるダイバージェンスの事例です。

逆行が生じた後、価格が追従して下落に転じています。

このように、天井圏や底値圏でダイバージェンスが発生した場合、トレンド転換につながることもあります。

トレンドの起点を発見してエントリーできれば、大きな利益を得られる可能性が高まりますので、ぜひ参考にしてください。

他のインジケーターとの組み合わせ

先ほど、移動平均線を使ったトレンド相場でのトレード手法をお伝えしましたが、組み合わせて使うと精度が向上するインジケーターは他にもあります。

■MACDを使う

例えば、トレンドとレンジの双方で活用できるMACDは、ストキャスティクスと同じく2本の線を表示するインジケーターです。
そのため組み合わせて使えば、双方でゴールデンクロスやデッドクロスを確認できます。

下記の画像では、ストキャスティクスではデッドクロスが発生していますが、MACDを見ると様子がかなり違うでしょう。

デッドクロスになっていないどころか、ゴールデンクロスが起きています。
このことから、売りを入れるには根拠が弱いと判断できるのです。

■ボリンジャーバンドを使う

ボリンジャーバンドは、標準偏差を示すバンドに価格が当たり、反発した所を狙います。
逆張りが得意なストキャスティクスとは、トレードスタイルが似ているので、組み合わせやすいと言えるでしょう。

売買のタイミングは、価格がボリンジャーバンドの+2σや-2σに接近するか、接触して少し抜けた時になります。
+2σで、ストキャスティクスの数値が80%以上、なおかつデッドクロスしていれば売りのチャンスです。
-2σで、ストキャスティクスが20%以上、なおかつゴールデンクロスしていたら買いのチャンスになります。

いずれも逆張りとなるので、そのまま抜けてしまうのがリスクです。
ボリンジャーバンドでは、バンドの縁に沿って大きく上下するバンドウォークが時おり発生します。
しかしストキャスティクスを使うことで、反発するかしないかも読みやすくなるので、そうしたリスクを減らせるのもメリットです。

上図では左側でバンドウォークが発生しましたが、その間、ストキャスティクスの数値は高止まりをしています。

そのためバンド際での反発を狙った逆張りを行い、損失を出すのを避けられるでしょう。

また右側でも一瞬、バンドウォークの発生が疑われましたが、ストキャスティクスを見るとすぐに下降に転じています。
デッドクロスになった時点で売りを仕掛ければ、絶好のエントリーや決済のチャンスになるでしょう。

■RSIを使う

先ほどの説明で取り上げたRSIも、組み合わせの候補になるでしょう。

計算式が違うので、それぞれの動きは直接関連しませんが、いずれも相場の過熱感を示します。
そのため、もし挙動が同じ結果を示せば、信頼性の高いサインと言えるでしょう。

ストキャスティクス利用時の注意点

最後に、ストキャスティクスの利用時に気を付けたいポイントをお伝えします。

  1. 単純な使い方では上手く行かないこともある

  2. ダマシ回避の方法

  3. ストキャスティクスだけで勝てる?

単純な使い方では上手く行かないこともある

指標となるのは、あくまで相場の過熱感です。
「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」の状態になっても、それがそのまま売買のサインになるとは限りません。

例えば上昇トレンドであれば、常に買われ過ぎの状態であるとも言えるでしょう。
その結果、上昇期には数値が80%以上に貼り付くという現象にも繋がり、エントリーのサインとしては信頼性が下がります。

単に「数値が上がっているから買う」という姿勢では、天井圏で高値掴みをして、そのあと含み損を抱え兼ねません。
数値だけを見て売買するのではなく、まずは相場分析から始めましょう。

ダマシ回避の方法

売買サインが出ても、それと反対方向に価格が動いてしまうことをダマシと言います。
ストキャスティクスでも、ダマシを完全に回避することはできません。
しかし、一定の対処は可能です。

まず取り入れたいのは、ファースト・ストキャスティクスではなく、スロー・ストキャスティクスを使うこと。
もともとファースト・ストキャスティクスは価格の動きに過敏なので、ダマシに遭いやすい性質を持っています。
それより反応を緩くしたスロー・ストキャスティクスの方が、ダマシの回避に有効です。

また、苦手とするトレンド相場でも、ダマシが生まれやすくなります。
上昇トレンドで少しくらい「売り」サインが出ても、上昇の勢いに負けてしまうからです。
原則としてトレンド相場には手を出さないことが、ここでの回避策でしょう。

また長い時間足で判断すると、細かい値動きによる影響が減るので、相対的にダマシを避けられます。

ストキャスティクスだけで勝てる?

ストキャスティクスは強力なインジケーターです。
では、正しく使えば、ストキャスティクスだけでも勝てるでしょうか?

勝率100%は不可能ですが、熟練者であれば、収支をプラスにすることは出来るかもしれません。
しかし、初心者がそれを目指すのは無謀です。
仮にプラスにできる力があったとしても、他の方法を併用しない理由はないでしょう。

ここで紹介した他のインジケーターはもちろん、FXには様々なツールや手法があります。
それらを総合し、より優位性の高いエントリーポイントを見つけることが重要です。
もちろん、的確な決済や、資金をショートさせない資金計画も欠かせません。

ストキャスティクスだけに頼らず、FXの総合力を身に付けるようにしてください。

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