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泣いても麻痺側の目からは涙もこぼれない②

①はこちらから👇

入院前半(発症から7日目〜10日目)

入院は10日間。
まず職場に連絡。
ちょうど繁忙期は過ぎていたため、なんとか部下に任せて乗り切る。

仕事から離れたかったので良いタイミングだったかもしれない。

病院での一日は、

6:00:点滴
7:00:朝食
8:30:診察
9:30:リハビリ
12:00:昼食
14:00:点滴
18:00:夕食
19:00:点滴

というようなルーティンで、点滴のあとは寝てしまうことが多いため、最初は長いなあと思っていた10日間が、過ぎてみればあっという間だった。
リハビリで顔のマッサージの方法を教わったので、暇さえあればマッサージ。

何もしていないとネガティブな感情に飲まれてずっと泣いているか、
「死にたい」としか考えなくなるので、
なるべく無の感情でマッサージやネットサーフィンに没頭するようにしていた。

こうすればよかった、あれをしなければよかった・・・
考えても仕方の無い過去のことばかり考えてしまう。

元の顔には不満だらけで、整形のことばかり計画していたが、今思えば、発症前の私の顔はなんて美しかったのかとすら思う。

現状に満足できない自分への罰なのかもしれない。


本を読む気にはあまりなれなかったが、

アマゾンで👇この本を購入し、夫に持ってきてもらい、読み込む。
知りたいことがなんでも書いてある。

読めば読むほど、私は完治しない(完治=発症前の状態に戻ること)のだろうな、と痛感する。
しかし、筋電図検査のの結果によっては希望が持てるかもしれない。
この検査を受けるまでは前向きに考えるんだ!
と無理やりポジティブシンキングに。

検査までに少しでも神経が動き出すように、熱めのシャワーを顔に長めにあてたり、看護師さんが来るたびにホットタオルを作ってもらったり、
家族に電気毛布やカイロなどを持ってきてもらいひたすら患側を温める作業に注力。

悲しみと嫉妬

ちなみに、私は個室を希望していたが部屋が空いていなかったため、
4人部屋になった。
同部屋にお話好きのオシャレで上品そうなおばあさまがいらした。
私のことを「若くて綺麗だ」と褒めてくれていたが、
病状を説明しマスクを外して麻痺の状態を見せると、
ハッとした顔になり「ごめんなさい」と言った。
それきり、あまり話してくれなくなった。悲しい。

そんな中、
隣のベッドに、同じ顔面神経麻痺の患者(60才ぐらい)さんが入ってきた。

同病ということでちょっと親近感が沸き、話しかけてみたが、
軽度のベル麻痺らしく、私とは状態が全く違った。
入院期間も私の半分くらいらしい。
「お互い頑張りましょうね」などと口ではいったものの、
(症状が軽くていいな)と嫉妬のような感情が芽生えてしまう。
そんな自分にも苛立つ。

回診に来た先生にも「3ヶ月ぐらいで完治します」と言われていた。
羨ましすぎて泣きそうになった。

見回りのたびに症状をチェックする看護師さんも、
私の時は、気の毒そうな対応をするだけだが、
隣の方には「すごい!めっちゃ動き出てきてますね!」などと和気藹々としているので、大いに私の心を打ちのめした。

辛い。
ほんとに。
見た目だけではなく精神もどんどん蝕んでいく厭らしい病気だ。

とにかく目が辛い

目が閉じないことが何より辛い。
常にメパッチをしているため視界が悪いのも非常にストレスだ。
造形はのちのち考えるとして日常生活が不便なことは真っ先にどうにかしたい。

点滴が天敵

血管が細すぎて看護師泣かせっぷりでは類を見ない私こと櫻井びびこ。
採血、点滴ともに一度で上手く行った試しはなく、
ほぼ毎回手の甲の血管を使っている。

今回の入院でも、全く刺さらず。
何人もの看護師さんが次々と脱落していき、私の右腕は青々としている。
我ながら痛々しい。

「達人」と呼ばれる看護師さんさえ脱落した。(なんなら一番痛かった)

ついに、耳鼻科の主治医がぶっ刺しにやってきた。
まさかの一発成功。

さすが、としか言いようがない。
ちなみに主治医は若くてキレイな女性医師だ。
サバサバしていて説明も分かりやすく、変に希望を持たせるようなことも迂闊に言わない私にとっては良い先生だった。

もし、手術とかになってもこの先生なら任せられる、と
点滴の一件を以て再確認できた。

症状のピークと言われる10日目

私の中ではこの10日目をいかに迎えるかは非常に興味があった。
とりあえずはここが「底」であとは上がるだけ、と思えるか否か。

発症してすぐにはなんともなかった耳裏に痛みがある。
ハント症候群かもしれない・・・そんな予感が日に日に色濃くなっていった。
また、顔の動きもどんどん悪化している。
特に、話をしたり食事をすると顔がかなり強張る。
咀嚼ができない。ボロボロとご飯粒がこぼれていく。
一番食べづらかったのは「麺類」。
いちど、夕食で焼きそばのようなものが出たが、全く食べられなかった。
炭水化物の中ではパンが一番食べやすいので、
売店で菓子パンを買い食べることにした。

こういうこともイチイチ悲しい。

つづく。

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