紫苑の女性の愛し光
何があったのかは知らない。
ただ、その女性の周りにはいつも
とても美しい紫苑の花が見える。
慈しむ優しさに溢れたその女性は、
大切な愛し子を抱いていた。
そして…
ある時を境に女性は、愛しむあまり…。
そうして、朱に染まって行った…。
朱に染まりながらも愛し子を求める。
闇雲に求めながら、その女性は
やがてひとつの光を見い出す。
朱に染まる我が身を懐き、涙を流すと
『私の、愛しい光…』と、呟く。
そこには、女性の探していた
愛しい光が見えている。
蒲公英色の美しい光に向かい、
女性は真っ直ぐに前に居る者を見据える。
『もう、朱には染まらない。
私は、あの愛しい光の傍に行く。』
と、美しい笑顔で言い切った。
また、女性の周りに紫苑の花が甦り見える。
女性の姿は、美しい……に変わっていた。
そして女性は、紫苑の花を胸に抱いて、
愛しい光に飛び込んで行った。
愛しい光には会えたのだろうか。
紫苑の花を抱いた美しい女性のお話。
ふわっと読んでくださいね。
ふわっと受け取ってるだけだから…。