
作り話 〜季節巡り〜弐拾
ひとつの情景を見たあと、
周りを見渡すと、元いた鳥居に戻っている。
「見てきたか。」
と、あの者が口を開く。
私は頷くだけで何も言わなかった。
「鍵…………にある。但し、これは
ここに預けるだけだ。預ける者には使えない。使える者は私だけだ。」
と、あの者が静かに言う。
「存じております。しかし、何故貴方様が
持たないのか、解らないのです。」
その言葉にあの者は
「それは言えない。」
と、顔を背け、言う。
「隠すのは必要だからなのでしょうね。」
というと、じっとこちらを見てニヤリと笑う。
「鍵を再び持つ時が楽しみだ。」
そういうと、興味深げな様子で更に言う。
「お前は…………をどうするのだろうな。」
軽く笑い、尚もこちらを見ている。
「私は只のヒトですので…。」
と返すので精一杯だった。
隠した場所は………の所なことも
2重3重にある為すぐにはわからないようだが
元を辿ればわかるようになっていた。
「そうだな…。お前は喰えないヒトだ。」
と、頭の中を見透かしたように言い、ニヤリと
して言う。
𑁍܀続く𑁍܀