作り話 〜季節巡り〜拾漆
「お前は、辛くはないのか。」
静かにそう聞いてくるあの者は言う。
「辛いかと訊かれたら、辛い。しかし、
こればかりは譲れぬ。ただ、貴方だから
頼みたいことはある。何度も繰り返す中で
話し続けた貴方だから。次の……で、……を…
……い。私も、長いから、いや、古いと
言った方が良い。ただ、つつくほどで良い。
これからも、ヒトは、繰り返し続けてゆく。
生と…を。そして…。」
解っていたように、小さくあの者は笑い、
そして言う。
「それが、今回の交換条件だな。」
「そう。本音を言えば、今すぐにでも
貴方が私を探し出したその時に……ごと
して欲しいと思っているが、アレは
……てはならないから。……のない
……は続くようだから。」
「そうだろうな。ただのヒトとはもう
言わせんぞ。まぁ、言うだろうがな。」
と、あの者は冗談交じりに言い、
軽く笑ったが、すぐにこちらを見て言う。
「……は、全ては………い。そうすれば、
自分でも辿って探せるだろう。」
その言葉は、柔く深く響く。
「……と言ってくれて嬉しかった。
ありがとう。礼を言う。」
少しの沈黙のあと、私は
「本当は、器があってもかまわない。
見つけたすぐにその場で……て欲しいとは
今も思っている。」
そう呟く。あの者は真っ直ぐにこちらを見て、
「わかっている。もう、……でいたくないと。」
と、言う。
𑁍܀続く𑁍܀
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