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岩壁 柔らかな反響 水のメグリ

いくら手を伸ばしても届かない地上の
温かい温度は望めども叶わぬ温もり。
自分と水しか居ないこの場所は
誰も傷付けない安寧の場所。
暗くとも微かな明るさを持つ。
入り口だけでいい。
出口など要らない。
この唇から漏れるうたは
微かな温かさを持ち
遮る壁が柔らかく反響を繰り返す。
誰にも触れずに済むこの場所で
何故、自分は手を伸ばすのだろう。
何故、自分は涙を流すのだろう。
何故、自分は…。自分を仮に外して見ると…。
見えてくる景色はおそらく…
地に降る雨が流れこの身を伝い、
また水に還り巡り行く。
それは、全てのみこむような
螺旋を描く柔らかな水の流れ。
大小様々な波紋を繰り返す、
感情の流れにも似たそれは
この暗くとも微かな明るさを
持つ場所でのみ繰り返し巡る流れ。
そして、微かな明るさは消えない。
それは水の流れとメグリからの贈り物。
そしてタカラというのかもしれない。

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