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作り話 ~季節巡り~拾伍

また、社に戻っている。
ただ、違うのは、自分と……だった。
あの者の姿は無く、時々狼が現れるのみだった。
「来たか。同じなれど違う世界だ。」

それだけ言うと、姿を消す。

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「あぁ、そうか。また…。」

すると、あの者が目の前に現れる。

「何故、泣く。」

「分からないのです。」

いつの間にか、涙が頬を伝い落ちていく。
その涙を見たあの者は静かに言う。

「大丈夫だ。泣くことはない。」

「心のどこかが痛むのはヒト故ですか。
一度も思ったことはなかったことを
今とても思うのです。」

「それは、何だ。」

「ヒトの器は、要らぬ…と。」

「しかし、それはお前の望んだことだ。」

「わかっております。」

暫くの沈黙のあと、震える声で呟く。

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「どうか、貴方様の手で…下さい。」

「それは、ならん。今はまだ聞けぬことだ。」

「何故ですか。貴方様は、もう諦めるようにと仰った。何故です。」

「あと………だ。お前が真に望んだ時に聞く。」

「まだ今は、真に望んではいないと仰るのですか。」

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無表情になり、あの者は静かに言う。
       
          𑁍܀続く𑁍܀

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