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沙羅双樹の花の色 1
琵琶法師が掻き鳴らしては語るのは
起きたことを悲しみを混ぜては語る。
語られぬ、沙羅双樹の花の色は
今は夏椿に姿を変え、僧侶により
語り継がれる。
悲しみ、怒り、それらを穏やかさに
変えて、語り継がれる。
語られている彼の時代のことだけではない
お話を。
知る者は僅かで、多くの人々は、
忘れ去る話。
青い草原に広がるこの地に集落が
國として在った。
集落の入り口には、鳥居の様な門が
誂えてある。
人々は、平和に暮らしていた。
しかし、あるコトから困り果てていた。
考え倦ね、堪りかねてヒトは、
してはならないことをした。
ある曇り空の雨の降る直前の空の時。
共に居たはずのモノを利用しようと
封じこめた。
白い石室を誂えて四つ角に顔を麻布で
隠した力のあるヒトを五色の糸を身体に付けさせ立たせた。
四つ角から少し離れた門から近い場所に
ある石室の前にたち、白い糸を持つヒトは
ナニかをそのモノと話をすると、
石室に入れた。
そこは、閉じられ開けることは許されず、
近寄ることは儀式の時以外は、
人々には決して許されなかった。
しかし、それが過ちの始まりだった。