作り話 〜季節巡り〜弐拾参
「例え、忘れたとしてもまた思い出すトキが
来るのでしょう。ならば、私は私の信じた道を私のやり方で歩いてやりましょう。…や…など、肩に付いた木の葉を落とすようなもの。どんな道でもかまいはしませぬ。探したいものは自分でつかむと決めている。」
強く呟くと意識は薄れそうになっているが、
傍にある木に掴まりながら呟く。
白い大きな狼は静かに黙って聞いていたようだった。心なしか、少し笑っていたようにみえた。
見ていることに、気付いたように白い大きな狼は言う。
「お前は、我が命すら惜しくないのだな。」
覚悟したように笑いながら私は答えた。
「貴方は長きを見てきた。だから、私がこのようにすることもご存知だった。命…惜しくはございませぬ。所詮、只のヒトでございますから。そうであったとて、詮ないことにございます。そうしていくであろうことを知っておられた、違いますか。」
にこりとしながら、問う。
「短いヒトの一生の中で様々あるのは当たり前のこと…だろう。」
目を軽く閉じながら白い大きな狼は言う。
「ふふ…そうでございます。………だけはもう飽いたのでございます。」
白い大きな狼は、それを聞くと言う。
「あの者は、それを知っているだろう。
知っていても…………だろう。……は、……だろうが。…が違うからだ。」
目を閉じ、私は言う。
「それでも、もう良いのです。例えまた、……としてもそれは私の選択により成ったこと…。いずれまたあうでしょう。そのときに、すべてをわかることの出来るよう、弱きヒトとして生きるのでございます。」
白い大きな狼は軽く笑う。
「只、………………では無いのだな。」
私は笑い返し言う。
「ええ、只のヒトにございますから……。」
✿*続く…✿*
★作り話は創作話です★
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