作り話 〜季節巡り~拾肆
目を開ければ、あの銀色の場所にいる。
目の前にあの者が立っている。
「お前はまた、繰り返すのか…。」
「はい、ヒトですから。」
「…っ!お前は、ヒト、ヒトと言うが、
その…………も………のか。」
少しの間黙り込む。
「では、交換条件がございます。これにおいても理を破ることは許されませぬ。もしも、再びまた………たら、次は……ではいかがでしょうか。」
「…っ!…わかった。いいだろう。」
渋々のようにあの者は答えた。
すると、後ろから、
「もう良いでしょう。」
声が聴こえてくる。力が抜けてゆく。
「もう充分にございます。」
そう、口にしていた。身体が軽くなっていく。
「お覚悟は。」
と、訊かれる。
「覚悟は出来ています。」
と、不意に口から出る。
ずっと怖かったことが怖くない。
銀色の場所にいるせいかもしれない。
「成すことあるが、成せぬことも入り混じる。」
近くで声がする。
「これは、諦めではありません。
さぁ、……を……へ…て下さい。」
「良いのですね。」
「はい。私は、ずっと……だった。ですから、ら…。認めたくなかったの。……ではないことを。だから、次は受け入れることにするのです。」
あの者は目を見開いて…
𑁍܀続く𑁍܀
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