儚き夢
「George〜!...し....い!」
.....なんだ?....何だか懐かしい声が聞こえる...
「ほ....さい!...」
この声は....
「起きろって言ってんだろ!!聞こえねぇのか!ポンコツ!」
「痛ってぇ!」
俺の目覚めは女性の怒鳴り声と木の棒の衝撃によりたたき起こされた。
「なんだなんだ!俺を誰だと思ってる!私はGeneralContractCompanyの社長!George......?嘘だろ…?」
朝目覚めた時俺は正気を疑った、何故かって? .....目の前に彼女がいたのさ....親友のエミリアが。
【儚き夢】
「何寝ぼけたこと言ってんだよ、アンタは...ほら、朝ごはんできたから早く来な、社長さんとやら?」
「え?あ、え、おう、待てよ、これは夢か?」
「次寝ぼけたこと言ったらまたぶん殴るよ」
「いぃ!?それは勘弁してくれ!」
思い出した、彼女はいつも起きない俺を叩き起してくれたんだ...木の棒で....そのおかげで朝起きる習慣が今でも続いている。 けど、きっと俺は夢を見ているに違いない、だって、だって....彼女は俺の手の内で亡くなった..
.あの光景を忘れることは無い...
「今日はいつもと調子が違うね?どうした?悪夢でも見たか?」
「え?あ、あぁ少し悪い夢をな...」
「なるほど....?まぁいいよ、とりあえずご飯できたから、早く降りてきな」
そう言われ、俺は久しぶりに彼女の作る手料理を頂くことにした。
「はいよ、本日の朝食!」
そこに出されたのは....懐かしい....エミリアの
手料理だった。
ベーコンエッグに豆料理、そして朝の一日に欠かせないスープ....若い頃一緒に過ごしてた時に食べた朝食だ
「どうした?気に入らないかい??」
「え?いやいや、少し懐かしい気分になっただけさ」
「懐かしい?確かにしばらく作ってなかったからなぁ」
「あ、あぁそうだったなハハッ...」
笑って誤魔化した
味の方は...そのままだった、
本当に思い出の味のままだった、
社宅で出される機械で作られた料理と違い、
人の心が入った正真正銘の手料理だ
「あんた、泣いてんの?おっかしいわね!ハハハハッ!朝から笑かさないでくれ」
「え?あぁ...すまない、何故か涙が、ハハハ....」
俺は涙ぐみながらたいらげた、彼女の手料理を
「ふふ....そんなに美味しく食べてもらえると嬉しいね...どうしたんだい?今日は...」
この夢が覚める前に幻覚でもいい夢でもいい、今までのお礼を言わないといけない。
「なぁ...聞いてくれ、エミリア、俺は....俺はな、お前に、お前に言わなくちゃならない言葉があるんだ。」
「どうしたんだい?急に、あんたらしくないわね」
「今まで本当に...ありがとう...お前に無理をさせた、お前に迷惑をかけた、お前のことを...守ってやれなかった...本当に済まない...本当に....」
「George!」
「エミリア…俺は…」
「いいんだ....それ以上、分かってるよ、私は...あんたのことを恨んだりしてないよ、それに感謝してるくらいさ、ちゃんと、うちの約束は守って
くれたしね」
「あぁ...もちろん...一時も忘れたことは無いさ...それに...それに...」
「いいんだよ、George、沢山泣きな。大丈夫だよ、ちゃんと感謝してるし、後悔しなくていい、立派だよ...あんたは」
気づいた時には俺は蹲りエミリアに抱かれながら泣いていた
「すまない...すまない....」
「ほら、George、顔を上げな?」
「え?」
「ほら!シャキッとしな!あんたは社長なんだろ!大企業の社長!みんなから愛されてる社長さんさ!もうすぐ時間だろ?ほら準備しな」
「分かった」
俺は自慢のスーツを装着し、いつもの服装になった
「カッコイイじゃないか!似合ってるよ!」
「そうか?」
「ぴったりさ....ほらそろそろ時間だよ、玄関まで見送ってやるからさ」
「あぁ」
玄関までの道筋、彼女の家から出ていった冬の時期を思い出す。
「なぁ、エミリア」
「どうした?」
「また....帰ってくるよ」
「二度と帰ってくるんじゃないよ!穀潰しがよォ〜」
「ハハハッ!色々と迷惑をかけたな、今までも今日も...」
「二度と帰ってくるんじゃないよ〜!あんたは今、他の人を支える立場の人間なんだ...それじゃ...さようなら、George」
「さようなら、エミリア」
玄関の扉を開けた途端
「ハッ!」
目が覚めた、どこか懐かしい夢を見ていたような気がする、
全然記憶にねぇぞ...?
「おはようございます、ジョージ様、いいお目覚めですね、前日の40%の良い睡眠でした。」
どうやら寝つきが良かったようだ、社宅にいるアシスタントAIがそう言ってるんだから間違いないだろう。
「ジョージ様、本日のメニューはパン、ベーコンエッグ、豆のトマト煮、マッシュルームスープです」
「おお!これはまた....私の好きなメニューじゃないカ」
そう、何故か私はこの組み合わせがすごく好きなんだ、何故かは分からないが、すごく懐かしい...味がして....どこで食べたんだったかな...
「ありがとう!サポートAIクン!早速今日の予定を教えてくれないかネ?」
「分かりました、本日の予定は〜〜〜」
今日は目覚めのいい日だ、きっといい日になるに違いない。
【儚き夢 END】
〜メタ解説のコーナー〜
起きた時に社長は夢の記憶をなくしてるよ!よくあるよね!
喋ったエミリアはなんと本人です!?幽霊カナ!?!?
https://generalcontractco.wixsite.com/gccompany/%E8%A6%AA%E5%8F%8B
↑エミリアについてはこちらをどうぞ!