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クソデカ子宮筋腫とくんずほぐれつバトった話

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2020年末頃からのクソデカ子宮筋腫とのバトルを克明に記した汗と涙と笑いの闘病エッセイ。
このマガジンは作者がクソデカ子宮筋腫を駆逐するまでの愛と悲しみを笑いを織り交ぜて、今後誰かの参考に…
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#闘病記

クソデカ子宮筋腫・序

 太った。  2020年9月のことである。  ふと気づいたらシャツをパンツにしまえなくなっていった。  しまうと、おなかが出るのである。  少し前までふつうにはいていたパンツのウエストがキツイし、シャツをタックインするとみっともないくらいぽこんと下腹が出る。  は? 死にたい。  マジで激太りしたのだと思って毎日腹筋に勤しんだ。毎夜寝る間を惜しんでフンフン腹筋した。  へこまないのである。  は? 死にたい。  腹筋をどれだけやろうとも、腹がへこむ様子はない。太った

こんにちは子宮筋腫

 11月某日。町の病院を受診した。  おや? 9月に親に相談して予約を取ったんではないのか?  と思った人もいるだろう。  そうだよ。9月に予約の電話を入れたら、11月に空きがあって診察の枠が取れたんだよ。  人気の医者だったというのもあるけど、わたしが仕事の関係で土曜の枠しか狙えなかったのが悪い。ひいてはこんな社会が悪い。総じて世界は邪悪。 「初診の方はこちらの問診票に記入をお願いいたします」  お決まりの、初めての病院でのあれやこれやを通過していざ診察室へ。  たしか

ハラキリを回避

 ツイッターの愉快な仲間たちと、mocriという通話アプリで話をすることが多い。  その夜も、愉快な仲間のひとりと通話をつなげていた。 『やあこんばんは』 「聞いてくれよ!!!!」 『なんだよ聞くよ』  このノリでわたしは今日の受診内容をぐちぐち愚痴るのである。  その日話を聞いてくれたファッキンクールガイは、え!? とかマジ!? とか言いながら話を聞いてくれた。 『命に別状はないの?』 「子宮筋腫って基本良性らしいから、たぶん……」 『でも手術するんだよね、大丈夫なの

ハラは切ってもヘソは切れない

 12月下旬。ドデカ病院を受診するために電車に乗っている。  このあたりになると、わたしはすでにぽっこりおなかを隠すためにオーバーサイズのスウェットみたいな服ばかり着ていた。ウエストゴムのスカートとか。  おしゃれが楽しめないのがマジでめちゃくちゃストレスだった。  そしてとにかく、デカい病院めちゃくちゃ待つ。かなりとにかく待たされる。  ようやく診察室に通される。優しそうな男の先生だった。  そしてここで大事件が勃発するのである! 「ふんふん、紹介状読みました。14cmの

善意のセクハラという暴力

「17cmだって、やばくね?」  mocriでぐちぐち愚痴る。  メジャーを出して17cmを測っておなかに当ててみると、けっこうマジでデカい。ええ~クソデカじゃん涙出ちゃう……。  ぐちぐち愚痴っているうちに、友達が「17cmってピカチュウくらい?」とか言い出した。  わたしは知っている、ピカチュウは40cmくらいあるのだ。  なぜなら昔我が家には等身大のピカチュウのぬいぐるみがあったので。しかも、最近のシュッとしたピカチュウじゃなくて、初期のずんぐりむっくりピカチュウなの

ぼくのデデンネ

 1月某日。ドデカ病院での再診日。  診察室に入ったわたしを待ち構えていたのは、MRIで撮ったおなかの輪切り写真だった。 「こんにちは」 「こんにちは」 優しそうな下がり眉の男の先生なんだけど、だからこそアメリカンコメディドラマみたいな嘘っぽさがにじみ出るのである。(失礼すぎる)

手術の日が決まったゾ

 2月某日。ドデカ病院3度目の診察。  まずは麻酔科で全身麻酔の説明を聞く。麻酔科の診察室で麻酔についての啓蒙ビデオ的なものが流れていたが怖すぎて漏らした。  全身麻酔中は呼吸を確保するため口を開けっぱなしにするため、口の中の環境が大事らしい。汚れていたり、抜けそうな歯があると誤嚥下による感染症の危険性が高まる……なるほど……。  啓蒙ビデオの中の口内環境が悪いわるおさんは術後の回復がよくなくて入院が長引いてしまったらしい……なるほど……ネーミングもうちょいなんとかならんかっ

美しい地球(ルビ:ほし)

 ところで入院中って暇では?  ということに気づいてしまったわたしは、Wi-Fiをレンタルしてネットフリックスに入会することを決めた。  ツイッターでおすすめのコンテンツをゆる募した。  病院でも、Wi-Fiのレンタルをやっているらしいと知り、詳細を聞きに行く。 「3台あって、今4人待ちです。タイミングがよければ借りられますよ。1日500円です」  やってられるか。  ふつうに借りれば1ヶ月4000円とかなのに。1日500円って8泊したらもう超えるじゃん。舐めてんのか。し

信じてたもの裏切られて、それでも人は生きてゆく

 4回目のドデカ病院。  この日も雨だった。思い出はいつの日も雨……。  ちなみに余談だが(今後の展開上決して余談では済まなくなっていくのだが)、わたしは血管が細い。  どれくらい細いかというと、健康診断の採血で散々肘裏の血管をぷにぷに指で押されたあげく、うーん、と唸られて一番細い針を使われてすごくすごく時間をかけて血を採ってもらうこともあるくらい細い。  しかし、ドデカ病院の採血室の人たちはプロなので、わたしの激ザコ血管をものともせずすいすいと血を採っていく。プロ、やば

人はいつ死ぬのか

 粛々と休職と入院の準備を進める。  人事が休職書類を持ってやってきた。 「体調はいかがですか?」 「笑えるくらい元気ですね」  人事、苦笑い。

聞いてないが????

 入院当日の朝、わたしは早朝からヒプマイの音ゲーをやって時間を潰していた。  そうつまり、遠足が楽しみすぎて寝られなかった小学生みたいに、早起きしてしまったのである。  付き添いの母親と、昼ごはんを食べてから病院に行こうと言っていたのだが、その待ち合わせ時間までの時間暇すぎて、結局早々待ち合わせ場所に行ってうろうろしていた。 「お昼なに食べたい?」 「うーん、しばらく病院のささやかな食事続くだろうから、とびきり肉肉しいなにかが食べたい」 「そりゃそうだな」  というわけで

親指立てて手術室に沈む

 手術前日、病院の夜ごはんを掻き込んでいた。  なぜならこれが術前の最後の晩餐だからだ。これ以降、午前10時からはじまる手術まで、一切の固形物を許されない。  ちなみにお水は午前6時まで。世が世なら干からびてる。  夕餉ののち下剤を飲まされて就寝。  病院の夜は早い………………。

ブッチャーズ・デデンネ

 前回までのあらすじ。  手術室までやってきて麻酔を注入されたと思ったら手術終わってた。以上。

腹から声出せない

 手術当日から翌日にかけ、看護師に「寝返りを打ったりしたほうがいい」と言われたけど、傷が痛すぎて無理だった。  横を向くだけで傷口が燃えそうに痛いのだ。この時ばかりはブルータスに同情した。(なんで?)  もちろん自分の傷口を見てみる余裕なんてあるわけない。